きっとこの国と運命は狂い出した
これは
「夜明け」と「黄昏」と「祈り」が織り成した物語
最後に両親を見たのは三年ほど前だった
聞こえたのは、銃声と人の怒号のような悲鳴
見たのは、気持ちが悪いくらいに警察のような服を着こなした大人と、 頭蓋を鉛玉で撃ち抜かれ、無様に血を流すつい先程まで笑顔で接していた両親だった
何故だろう、鮮明に覚えていた筈なのに声も思い出せない
大昔のような、1分前に起きたことにも感じられる
何が「裁き」だ
何が「正義」だ
何が「懺悔」だ
政府がしていることは───
身勝手な、殺戮じゃないか
きっとその日は奇麗な夕日だった
きっとその日は、誰かが笑っていた
その事実が全て自分をからかっている様に感じられた
カシュ、と炭酸飲料の栓を空けた音が鼓膜に響いた
ごくり、とそれを一口飲み込んだ
口に残るわずかな甘味と爽やかな喉越しでさえも、自分をからかっているように感じられた
はぁ、と小さくため息を漏らすと同時に、自身の名を呼ぶ声が聞こえた
「カルディアー」と。
カルディアー
フェリチタと呼ばれた少女(とは言っても同年代だが)が返事を返した
フェリチタ
フェリチタ
カルディアー
カルディアー
フェリチタがうん、と間の抜ける声で相槌を返した きっと彼女も、心の底では傷付いている筈だ
フェリチタ
カルディアー
また一口、炭酸飲料を口にした
青白い光が犯人を照らし合わせるスポットライトの様に、路地裏の二人を照らした
男性
男性
男性
腰が抜け、座り込み必死に命乞いをする男を、 ネオンピンクとアリスブルーの瞳を持つ青年は見下ろす
???
体感で1分ほどたった後、青年が口を開く前に男が口を開いた
男性
男性
???
???
青年は明るく、だが冷徹に言い放った
みるみる内に男の顔に血色が無くなっていく。
そして───
青年が担いでいたハルバードの槍部分が、男のみぞおちを貫いた
男性
赤い液体が雨のように、水溜まりを広げて行く
???
???
そっとハルバードの斧部分が、男の喉元へと突き立てられた
青年が再度口を開こうとした時、男がまた口を開いた
男性
男性
青年は無視し、合言葉を口ずさんだ
???
???
その言葉を青年が口にしたと同時に、男の首は一瞬にして斬り落とされた
赤い水がとめどなく溢れ、ごとりと肉塊が落ちる
しばらくして、青年が肉塊と化したそれに告げた
???
???
???
そう吐き捨てると、青年はカツカツとヒールの音と死体を残し路地裏を去った
次回
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