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私はただ作品を完成させたかった
残りない人生の最後に
最高の作品を
あの方に
カオル
爺や！
はい、なんでしょうか？
カオル
これ見て！
おや、なんと……
御坊ちゃまが作られたのですか？
カオル
うん！
カオル
爺やのお手伝い！
なんと美しい人形でしょう
御坊ちゃまは手先が器用ですな
カオル
えへへ
私の作品を認めてくださったのは
私を一人の技術者として接したのは
彼だけだった
お嬢様が望まれた人形ですよ
ミワ
これが？
実際する人物の実寸大の人形
そう、お聞きしておりましたが
ミワ
まるで生きているみたいね
ミワ
気味が悪い
すまないが、作り直してくれ
これでは家に置けない
……分かりました
あの師匠とは違って物分かりが良いな
何処かで読んだ記事を見て
その作品を思いついた
私の技術を注ぎ込める
その作品を
カオル
これ僕のオモチャ！
ミワ
ふぅ〜ん
ミワ
ね、早く帰らせてよ
もう少々お待ちください
ミワ
なんで私が子守なんか……
外は醜くても
誰しもが綺麗な
美しい心を
持っている
ミワ
ヴッ
カオル
ぐる………じぃ
ミワ
ぢょ、ヴッ
そんな人形を
私を都合のいい老人とみなし
好きでもない子供の世話をし
ワガママな女の相手をし
作った作品を馬鹿にされ
私の人生を馬鹿にされ
私の師匠も、親も貶され
ただ黙って死ぬと思ったか？
生きているように創るのが仕事なのだ
創らなければならないのだ
ミワ
ん"！ん"〜！
お前達が気味が悪いと言った人形に
今からならせてやる
外見だけ取り繕った
私とは真反対の
人形を
女の腹を切り中身を出す
その中に処理しておいたガキを入れ
目立たないように結ぶ
眼球は作ったガラスに
髪はエッグにして縫い付け
用意しておいた衣装を着せ
杉の木箱に入れる
あぁ
なんと美しい
人形だろう
師匠が生涯を持っても創れなかった
その人形を
私がその気持ちを受け止めて
創り上げた
師匠
やっと完成しました
禁忌とされる師匠の技で
創らせていただきました
家族を殺され
絶望していた私を拾ってくださった
恩人の貴方への送りモノです
これでようやく
死ねる
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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