しろう
頭を切り落とすだって!?
管理人
左様です。
しろう
やっぱり最初から俺たちを返す気なんてなかったんだな!!
管理人
そうですね…
管理人
可能であればそうして差し上げられたのでしょうけれど…
管理人
ここは厳重に管理された施設です。
管理人
残念ですが、簡単にお出口をお教えすることはできないのです。
管理人
…それに。
管理人
元はと言えば、しろう様ご自身からこちらに入られたのです。
管理人
ですからつまり、例えそこに出口が無かったとしても私は責任を負いかねます。
しろう
くそっ…!屁理屈ばかりだ
しろう
融通の効かないヤツめ
しろう
俺たちを捕まえて殺すのが目的か?
管理人
とんでもございません!
管理人
私共はそのような残虐な行為は致しません。
管理人
断頭は正当な理由がなければ行われない、行ってはいけないものです。
しろう
そんなの当たり前だ。
管理人
ですからこれは万が一の時のためなのです。ご理解ください。
しろう
意味が分からない。そんなので納得できるか。
言葉こそ丁寧だが終始古谷の顔は苛立つ俺を前に、蔑むような笑みを浮かべている。
管理人
それにご安心ください、しろう様。
管理人
しろう様も、ゆうた様も合格です。
しろう
俺たちが合格?
管理人
お二人様ともウイルスへの感染は確認されませんでした。
管理人
ですのであなた方が排除の対象になることはございません。
しろう
…!?ウイルスってまさか…
しろう
今世界中で大流行している
しろう
人類が初めて遭遇した未知のウイルス…
管理人
お察しの通りです
しろう
排除って
しろう
…!まさかここは隔離施設なのか!?
管理人
そうですね、ある意味そう言えると思います。
しろう
どうして濁すんだ
管理人
おっと、いけません。
管理人
これ以上は"一般入居者"の方にお教えすることはできません。
古谷はわざとらしげに驚いたあと口元に人差し指を立てて口角を上げる。
管理人
さぁしろう様、これから"アナザー"での新しい暮らしです!
管理人
思う存分お楽しみください!
すると今まで小さな部屋と思っていたこの場所は大きなエレベーターとなり、みるみると上昇していく。
しろう
なっ!なんだ!
こちらの部屋が明るいせいか、開いた向こう側の世界は暗く、何も見えない。
俺は椅子から立ち上がり、ゆっくりと部屋の外へ出た。
管理人
私はここでお別れです。
しろう
…
管理人
ずいぶん浮かない顔ですね。
管理人
そんなしろう様に、もう1つだけお教え致しましょう。
管理人
"出口は1つでは無い"ですからね。
しろう
1つじゃない?
管理人
それでは、しろう様。
またお会い出来る時を楽しみにしています。
しろう
あっ!くそっ、まて!
俺が手を伸ばした時には2つの戸の間から漏れる部屋の光は、1本の細い線になってすぐに消えた。
立ち尽くし、辺りが静かになると遠くから沢山の人がいる気配がした。
俺は吸い寄せられるようにそちらの方へ向かって歩き出す。
?
お待ちしておりました、しろう様。
?
ここからは私がご案内致します。