三人の恋が枯れるまでの話

受験を控えるからなのか板書はより細かくされた。

その上これは化学式の授業だ。

正直言って、やりたくない

そう思って一限乗り越えた

三年になった時の意気込みはどこへ？ と言いたい程、退屈だ

三年生全員で先輩だ！ と言っていたのが懐かしく感じた

割と騒がしくなった教室に負けないくらいの声が 広がった

なんだろう、女子って恋バナしか出来ないのか？

そう思ってしまう、 当たり前だ無駄に大きい声で甲高く笑う女子の声がよく聞こえる

たまに……いや、よく奇声をあげる人も居る

かなり遠くから見ていた俺に気がついたのは驚いた

その衝動で肩が跳ねた

突然の質問で戸惑いが残ったまま なおきりさんの名前を口にした

なんだろう、やっぱり女子の会話には ついていけない。

流暢に話しすぎた、 そこで丁度、予鈴がなった

なぜ俺は名前を言われなかったのだろう 気にしていたらめんどくさいので呑み込んだ

サークルの打ち上げそっちのけで 1ヶ月検診に来た

検診には慣れた

ここは僕の大好きなリバーガーデン

ここに始めてきたのはゆあんくんが 亡くなった後だけど

ゆあんくんのおかけでヒロくんと知り合った。 ヒロくんはゆあんくんの唯一の親友だと言っていた

小さな身体を縮めて花に指さす彼は 僕を見て輝く笑顔を見せた

【赤城 柚杏】（あかき ゆあん） 末期の心臓病で去年の冬、亡くなった

僕が行ったことも聞いたこともない海岸を聞いて ピンとこなかった

思わずオウム返しして訊きなおしてしまった

姉さん……のあさんの事か ゆあんくんには【赤城 乃愛】（あかき のあ） と言うお姉さんがいる

焦って取り出したスマホは少し 熱暴走してしまっていた

当たり前だ、春の暖かさとずっと鞄に入っていた が原因。

写真フォルダを2スクロールしたくらいで 腹が虹色に輝いている魚を器用に掴むゆあんくんが 映っていた。

ゆあんくんの全力の笑顔がやっぱり少し ぎこちなくて、可愛い

他にも川で鮎を掴むヒロくんやゆあんくん、 他にものあさんが映っていたり

全部楽しそうだった

いつの写真なのかは気にしなかったけれど、今より ずっと小さかった

羞恥心に駆られたのか ゆあんくんは赤面で言った

それを見てついついニヤついてしまった

またゆあんくんの癖が出た 彼はいつもボソッと何かを言うのだ

まあ、全て聞こえる

それに僕は大声で答えてしまった。

周りの視線が一気に集まった いや、もしかしたらもっと前からだったのかもしれない

他の人はゆあんくんの事は見に見えないのだから

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