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―僕たちはまだ知り合ったばっかりで相手のことなんて何も分かってなかった―

8月も後半に入り、そろそろ夏も終わりを告げようとしていたその日は、午後から突然の豪雨に襲われた

なご

もーっ!天気予報の嘘つきっ!雨降るなんて聞いてなぃ

突然降り出した雨の中、傘をもたない なご は ひたすら走っていた。するとバスの待合室を見つけ慌てて駆け込む

なご

助かったー……うえっ びしょびしょで気持ち悪っ! えっとタオルタオル……あれ?

たいが

ほらこれ、つこうてええで。大丈夫、綺麗やから心配すんなや

そう声かけられたと同時にふわりとタオルを頭からかけられる

なご

あっあのっ…!ごめんね、借りちゃって。それと……ありがとう

たいが

どーいたしまして。まっ困った時はお互い様やろ!気にすんなや

心地よい甘い低音ボイスで 少年はそう言うと、ニコリと微笑む。

なご

かっこよ……

あまりの自然な行動に思わず声が漏れる。髪を拭きながらそっと相手の方を見る… 黒髪に少し切れ長の瞳、一見すると大人っぽく見えるけど、制服を着ている事から高校生だろう…本を読むその横顔がとても整っていて思わず見とれていた…

たいが

なん?俺の顔になんかついとる?

なご

ご…ごめん!じっとみて、気持ち悪い…よね

たいが

まぁ普通なら?けど、不思議とあんたに見られるんは嫌な気分しやんよ 。ただ……

なご

ただ?

たいが

あんたのその視線が めっちゃ熱いなぁ思うてな……

ふとぶつかり合う視線…その瞬間なごの心臓は大きく跳ね上がって鼓動が早くなる……

なご

すごく胸が苦しい……これが…一目惚れ…?

しばらくふたりの間に沈黙が流れ、激しい雨音と雷鳴だけが静寂な時の中 響いた……

たったひとつの恋

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