主様side
もうここに導かれてから随分経ったから慣れてしまったけれど。
こっちの世界で過ごす時間は とても温かくて、優しくて
夢でも見ているかのような気分になる。
でも最近はこちらの世界に来るのが 苦しくて、辛くて
だってどう頑張っても、ここは私の 世界では無いから。
ここは私の本当の家では無いから。
ただ私は天使討伐を目標とする執事たちの 力を解放するためにいて
天使を全て倒すだなんて 現状何体いるかも これからどれだけ優れた知能天使が 現れるかも分からない中
何百年、何千年先の話かも 分からないけど
いつか終わってしまうであろう 私と執事たちの生活に
いつまでも思いを馳せてはいられない。
だからこの気持ちには蓋をしなくては
この館の主として。
そして 現実社会を生きる 一人の人間として。
だからどうか この世界に、執事たちに 幸がありますように。
私の想いが溢れる前に。
べレン
主様
べレン
主様
べレン
主様
べレン
べレン
主様
べレン
主様
べレン
主様
パタン…
べレン
主様は俺と出会った当初より 確実に隠し事の回数が増えてきた。
他の執事は知っていて、俺が知らない ことが沢山ある。
主様は俺と出会う前は1週間毎くらいに 担当執事を変えていたらしく。
固定の執事は居なかったそうだ。
だから他の執事が知っていることの ジャンルはまばら。
もちろん、それぞれ担当してる 役職や得意分野があるから そこに関して詳しいのはあるが。
1週間毎に変えていたことによって その週にあった出来事はその週に 担当した執事が知っているらしい。
もちろん俺も担当執事になった当初はよく 主様の世界での話を聞いていた。
今日は休みだったから友達と遊びに 出かけた、とか
今日は仕事で大きな企画の 代表役を任されて、仕事に力を 入れている、とか
明日休みだからと思ってゆっくり 過ごしてたら、夜更かしして 朝起きるのが遅くなった、とか。
時には上司に怒られてすごく落ち込んでた時もあったかな。
初めは主様の周りのことや好みを沢山 教えてくれていたのに。
いつの間にか主様はいつもどこか上の空で 俺に弱い所を見せることも 頼ることもなくなった。
それでも俺は主様の役に立ちたくて 主様の心の休める居場所になりたくて 俺が勝手にやっちゃってるんだけど
やっぱりどこか意識が別の場所に 飛んでいるような。 心だけどこかに置いてきたような そんな反応をする。
主様にとって俺は どんな存在…?
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