テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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甘いチョコと、苦い恋

第1話 - 第1話苦い別れと、甘い出会い

2025年03月10日

#高校生

#恋愛

#青春恋愛

#年の差

#先輩後輩

#一次創作

まちまる

四宮高校1年生16歳加藤菜帆

片思いの相手は、28歳の料理人

「そんな恋、絶対叶うわけない」

たくさんの人に言われてきたけど

6年の恋がそんなにすぐ冷めるはずがない

付き合おうとか、そういう話じゃない

けど、ただ好きでいるだけで幸せだから─

堀友梨香

なーほ！おはよ！

加藤菜帆

友梨香！今日は朝練ないの？

堀友梨香

そだねー

堀友梨香

バレンタインの朝だし

堀友梨香

コーチも手加減してくれてるかも？

加藤菜帆

確かに、毎日はちょっとね

加藤菜帆

ここ最近ずっと遅刻ギリギリだったから

加藤菜帆

コーチも怒られてたりしそう笑

堀友梨香

うわーありえるー

堀友梨香

てか怒られててほしい笑

堀友梨香

あ、てかさてかさ

堀友梨香

放課後、渡すんでしょ？

加藤菜帆

あ、うんそのつもりだけど…

堀友梨香

結局今年もあそこの美味しいチョコ？

堀友梨香

あーなんだっけ、すいーつだいすき？みたいな

加藤菜帆

Sweet Factoryだよ笑

加藤菜帆

今年もそこだね、私料理下手だし

堀友梨香

いや、上手い下手関係なく手作りの方が喜ぶと思うけどなぁ

加藤菜帆

今年はまだ買ってなくて、買ってから行くよ

堀友梨香

なんか報告あったら言ってね？

堀友梨香

めっちゃ応援してるから！

加藤菜帆

応援されたところで叶うもんじゃないよ…

堀友梨香

叶う叶わないより、満足いくようにしなね？

堀友梨香

颯人さんも、そろそろ結婚とかの話もあるだろうし

加藤菜帆

そうだね…いつか気持ち伝えるよ

カランコローン…

加藤菜帆

こんにちはー…

店長

おー菜帆ちゃん

加藤菜帆

店長さん！

店長

今年もいらっしゃい

店長

いつものチョコでいいのかい？

加藤菜帆

はい！お願いします！

店長

今年もあの人に渡すのかい？

加藤菜帆

はい！

店長

ま、頑張ってな

？？

父さーん、牛乳切れたんだけど

店長

奥の冷蔵庫に入ってるぞ

？？

はーい

加藤菜帆

今のって…息子さんですか？

店長

そうだ、もうそろそろ教えてやってもいいかなと思ってな

加藤菜帆

へぇ…

店長

今度、あいつが作ったやつ食べてみてほしい

加藤菜帆

わ、私でいいんですか？

店長

そろそろいい感じのやつが作れるようになったはずだ

加藤菜帆

なるほど、それは楽しみですね！

店長

はい、これで1200円だな

加藤菜帆

これでお願いします！

店長

1200円ちょうど、だな

店長

また来てな

加藤菜帆

はい、ありがとうございます！

カランコローン…

加藤菜帆

はーやとさん！

柴田颯人

菜帆！

柴田颯人

久しぶりだな。正月以来か

柴田颯人

1ヶ月近くここに来ないなんて何があったんだ

加藤菜帆

いやーちょっと…高校に入ってから色々と忙しくて

加藤菜帆

部活とかもあるしさ

柴田颯人

まぁそうだよな

柴田颯人

そう考えると、大きくなったもんだな

加藤菜帆

子供扱いしないでよ！！

柴田颯人

初めて会った時、めっちゃ怯えてたもんな

加藤菜帆

そうだっけ？

柴田颯人

そうだよ

柴田颯人

その時と比べたら、段違いに可愛くなってる

加藤菜帆

そ、そう？

加藤菜帆

そ、それは嬉しいなぁ…

？？？

颯人くん、オーダー入ったよ

柴田颯人

ああ、ありがとう

加藤菜帆

あれ？あの人、見たことない気がする…

加藤菜帆

新しいバイトさん？

柴田颯人

そういえば、菜帆は知らなかったんだな

柴田颯人

俺の妻だよ

加藤菜帆

……え？

加藤菜帆

それって、ほんとうなの……

柴田颯人

そうだよ、わざわざ嘘つくわけないだろ

柴田颯人

年始に籍入れたんだ、式はまだだけどな

加藤菜帆

なんで…教えてくれなかったの…

柴田颯人

そりゃだって、菜帆が年末以来全然店来ないから言えなかったんだよ

加藤菜帆

…いつからの知り合い？

柴田颯人

大学の同じ学部で、去年の9月くらいにこっちに引っ越してきたらしくて

柴田颯人

まぁ俺も、こうなるとは思ってなかったけど

加藤菜帆

そっ…か

加藤菜帆

そうなんだ

加藤菜帆

よかったね

加藤菜帆

お幸せに…ね

柴田颯人

あぁ、ありがとう

柴田颯人

そういえば、ここに何しに来たんだ？

加藤菜帆

そ、そういえばやらなきゃいけないことあったんだ

加藤菜帆

早く家帰らないと

柴田颯人

え、どうした急に

加藤菜帆

ま、またね！

カランコローン…

頭が真っ白だった

涙をこらえて走った

いつの間に先を越されたんだろう

私の方がずっと前から好きなのに

私の方が絶対に好きなのに

なんで、私じゃないの…

叶わない恋だって分かってた

だけど、本当に置いていかないでよ

ずっと、みんなの颯人さんでいてよ

私、まだ好きって言ってない

これじゃもう、言えないよ…

加藤菜帆

（そういえば、チョコ渡してない）

加藤菜帆

（まぁ、こんなの貰ったって嬉しくないよね）

加藤菜帆

（でも残すのはもったいないし…）

加藤菜帆

（私が食べちゃってもいいよね）

パクっ

加藤菜帆

…っ

堪えていた涙が、今流れてきた

ここ外なのに、涙が止まってくれない

？？

…どうしたの

加藤菜帆

え…？

声をかけられて後ろを振り向くと

同い年くらいの男の子が立っていた

杉山湊

泣いてるの、気づいてるでしょ

加藤菜帆

あ、うん…（涙を拭く）

杉山湊

…俺ん家の店来てくれた子だよね

加藤菜帆

え…？

杉山湊

そのチョコ、親父の店のやつ

加藤菜帆

そ、そうなの…？

加藤菜帆

（そういえば、息子さんが練習してるみたいに言ってたような…）

杉山湊

俺まだ見習いだから、店には出せないけど

杉山湊

たまに隠れて店に並べたりしてるやつもあったりする

加藤菜帆

へ、へぇ…

杉山湊

多分そのチョコ、俺のやつだと思う

加藤菜帆

え？

杉山湊

形ちょっと崩れてるし、断面が雑

加藤菜帆

そう…？

杉山湊

どう考えても店に出せるものじゃなかったな…

杉山湊

誰かに渡すつもりだったとか？

加藤菜帆

あ…

加藤菜帆

（言っちゃっていいのかな…）

加藤菜帆

（もう過去のことだし…いっか）

加藤菜帆

そうなんだけどね…

加藤菜帆

その人、結婚したらしくて…

杉山湊

そう…なんだ

杉山湊

なんか、ごめん

加藤菜帆

気にしなくていいんだよ！

加藤菜帆

私がいいと思って話したんだから

加藤菜帆

それにこのチョコ食べたら、美味しくて元気出てきたかも

杉山湊

美味しい…？これが？

加藤菜帆

え？うん

杉山湊

…ちょっと食べていい？

加藤菜帆

ど、どうぞ

杉山湊

《パクっ》

杉山湊

ふふ…やっぱり美味しくないよ

加藤菜帆

いや何を言って…

杉山湊

また食べてよ、俺のチョコ

杉山湊

今度はもっと美味しいから

加藤菜帆

えぇ…

杉山湊

じゃあね

杉山湊

その目どうにかしてから帰りなよ

加藤菜帆

ま、また…

加藤菜帆

（あ、名前聞きそびれちゃったな）

加藤菜帆

（まぁいっか、今度お店行った時に店長に聞こう）

加藤菜帆

（それに、またねとは言ったけど会う機会ないだろうし）

私は、腫れた涙を隠しながら家路へ急いだ

その時は気づいてなかったけど

颯人さんのことは頭の隅にいた

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