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第1話 - あ

2023年08月01日

#恋愛

結城真矢

トウヨウ

あなた今日は早く帰ってきてちょうだい

トウヨウ

サエキさんがお見えになるらしいわ

ハッカイ

サエキさんか

ハッカイ

久しぶりだな今更俺になんの用だろう

トウヨウ

またあなたを巻き込もつもりじゃないだろうね

ハッカイ

俺はもうサッパリアシを洗ったんだ

ハッカイ

久しぶりの挨拶ってとこだろう

トウヨウ

とにかく早く帰ってきてちょうだいね

ハッカイ

今日は客があまり見えねえからな

ハッカイ

早めに店閉めて帰るとするよ

〜次の日〜

トウヨウ

仕事中にごめんなさい

トウヨウ

わたくしやっぱり昨日の話納得できないわよ

ハッカイ

しょうがないだろ

ハッカイ

俺は小せえ時からサエキさんにそれはもう世話になったんだ

ハッカイ

あの人が困ってんなら俺は動かなきゃならねぇ

トウヨウ

それじゃ組を抜けた意味がないじゃないか

ハッカイ

うるせぇ！

ハッカイ

お前は黙ってろ

ハッカイ

すまねえな

ハッカイ

これで最後だ

ハッカイ

この一件を片付けたらもうお前のために本当に縁を切る

ハッカイ

約束する

トウヨウ

わかりました

トウヨウ

無理はなさらないでくださいね

ハッカイ

お前に迷惑はかけねえよ

〜1ヶ月後〜

キリシマ

おい

キリシマ

お前トウヨウさんの旦那か？

ハッカイ

誰だ

キリシマ

俺はさ今トウヨウさんとお付き合いしてるもんなんだけどよ

キリシマ

アンタ邪魔だから消えてくんないかな

ハッカイ

言ってる意味が理解できねえな

ハッカイ

俺はあいつと結婚してる

ハッカイ

お前が付き合ってるトウヨウってのは違うトウヨウさんじゃねえのか？

キリシマ

もしそれが違うトウヨウさんならなんでその人の携帯にアンタの連絡先があったのかな？

ハッカイ

なるほどな

ハッカイ

浮気か

キリシマ

俺からすればお前が浮気相手みたいなもんだ

キリシマ

まさかトウヨウさんに旦那がいたなんてさ

キリシマ

知った時は相当ショック受けたよ

ハッカイ

悪いな

ハッカイ

こういうのは早いもん勝ちだろ

ハッカイ

悪いが諦めてくれ

ハッカイ

今仕事中だ

ハッカイ

悪いがこれ以上相手をしてられない

キリシマ

とりあえず今日トウヨウさんはお前の家には帰らないからよ

キリシマ

今日は一日彼女を堪能させていただくとするよ

ハッカイ

好きにしろ

キリシマ

随分とあっさりしてんな

キリシマ

トウヨウさんの白くて柔らかい豊満な太ももや

キリシマ

口元のセクシーなホクロ

キリシマ

大きく少し赤みのかかった熟れた桃のような胸

キリシマ

一つ残らず味わわせてもらうぜww

ハッカイ

待て

キリシマ

なんだよ流石にムカついたか？ww

ハッカイ

わざわざ連絡してきた理由はなんだ？

ハッカイ

隠して会ってれば良かっただろう

キリシマ

だから最初に言っただろって

キリシマ

早く離婚してくれよって話

ハッカイ

それにしてもこのやり方はあまりにも利点がないんじゃねえか？

ハッカイ

このまま離婚しても浮気となりゃ慰謝料を俺は請求できちまう

ハッカイ

人ってのは理由もなく波風立てたくないだろう

ハッカイ

何も言わずトウヨウから俺に離婚したいと言わせるのが利口なやり方だ

キリシマ

全く勘がいいねアンタは

キリシマ

思ったより頭が働くのか？

キリシマ

実は慰謝料なんていくらだって払ったっていいんだ

キリシマ

俺の兄貴はヤクザの幹部だからよ

キリシマ

それなりに金は沢山あるんだぜ

ハッカイ

ヤクザ？

キリシマ

ビビらせちまったかwww

キリシマ

すまんなそんなつもりわなかったんだがw

キリシマ

でもまあ俺とトウヨウさんの邪魔をするっていうなら兄貴も動かざるを得ないかもなあ

ハッカイ

トウヨウを危ない目に巻き込まないでくれ

キリシマ

トウヨウさんお前に疲れちまったみたいなんだよ

キリシマ

なんでも何度もトウヨウさんのいうことを無視して無茶してきたらしいじゃねえか

キリシマ

詳しいことは話してくれないけどさ

キリシマ

わんわんと泣いて俺に話してくれたよ

キリシマ

アンタとの苦痛な結婚生活を

ハッカイ

そうなのか

ハッカイ

それは悪いことをしちまったな

キリシマ

だから俺はお前をビビらせて少しでもトウヨウさんの鬱憤を晴らしてやろうと思ってな

キリシマ

ヤクザの血縁に寝取られたらお前も手出しできないだろwww

ハッカイ

結局お兄ちゃん自慢を最初からするつもりだったんだな

キリシマ

なんかムカつく言い方だなお前

キリシマ

俺短気だからさすぐキレちゃうよ？

キリシマ

いいの？俺のバックにはヤクザだよ？ん？

ハッカイ

すまん煽るつもりは別になかった

キリシマ

すぐ腰ひけてやがるw

キリシマ

トウヨウさんの言葉にもそれくらい素直だったら良かったのになw

キリシマ

そういやお前つい最近もトウヨウさんを困らせたんだって？

ハッカイ

なぜ知ってる

キリシマ

言ってたぜ

キリシマ

私に迷惑をかけないと言ったのにも関わらず

キリシマ

最終的には結局危ない目にあったって

キリシマ

アンタ一体何したんだ？

ハッカイ

まあ殴り込み指導みたいなもんだ

キリシマ

チンピラかよwwアンタ喧嘩っぱやそうだもんな

キリシマ

まあなんでもいいけどよ

キリシマ

離婚の件よろしく〜

〜その直後〜

ハッカイ

お前今何してる

トウヨウ

何してるって家でご飯の支度していますけど

ハッカイ

なんか変わったことは起きていないか

ハッカイ

怪しい奴が近くにいたりしないか

トウヨウ

何言ってるんですか

トウヨウ

いつも通りの何も起こらない日常です

ハッカイ

そうか

トウヨウ

なんです？

ハッカイ

それなら良かった

トウヨウ

変な人ですね急に

ハッカイ

今日も早めに帰る

ハッカイ

一緒に酒盛りでもしよう店の美味い日本酒を持って帰る

トウヨウ

すみません

トウヨウ

今日の夜から少し…

ハッカイ

ああそうか

トウヨウ

多分帰宅は1週間後くらいになるかと

ハッカイ

わかった

トウヨウ

ごめんなさいね

ハッカイ

気にするな

〜次の日〜

キリシマ

昨日はどんな夜を過ごしたよ

キリシマ

色々妄想したか？

キリシマ

自分の嫁が寝取られるってのはどんな感じよww

ハッカイ

あんまり気分がいいもんではねえな

キリシマ

そうかwなんか可哀想だなお前ww

キリシマ

それにしてもトウヨウさん堪んなかったわ

キリシマ

激しく揺れるごとに音を立ててぶつかり合う乳房

キリシマ

短く整えられた柔らかい濡れた恥毛

キリシマ

そして他のオスを呼ぶかのような甘く絡みつくような彼女の喘ぎ声

キリシマ

あんな完璧な人なかなかいないぜ

ハッカイ

お前はあれだな

ハッカイ

性格はともかく文才には少し光るものを感じるな

キリシマ

俺こんなナリで意外と小説読むからよw

キリシマ

官能小説だけだけどなw

ハッカイ

兄貴の趣味か

キリシマ

なんでそのこと知ってんだ？

ハッカイ

勘だよ

ハッカイ

弟ってのはたいてい兄貴の真似をしたがるだろ

ハッカイ

実際アンタはヤクザの兄貴の力を使ってヤクザごっこしてる

キリシマ

なんだよお前急に生意気だな

キリシマ

そうだよお前も言ってるように俺のバックにはヤクザがいることを忘れんなよ

キリシマ

俺が兄貴に一声かければすぐにお前は東京湾に沈められちまうだろうよ

ハッカイ

いいかそれは兄貴の力でお前の力じゃないんだ

ハッカイ

兄貴の威ばかり借りてたらよ

ハッカイ

いつか痛い目見るぜ坊主

キリシマ

いきなり説教すんなよおっさん

キリシマ

言ったよな俺は短気なんだぜ

キリシマ

今すぐ今日にでも離婚しろ

キリシマ

そして今舐めた口聞いたことも謝罪しろ

キリシマ

わかったな？

ハッカイ

お前は俺の嫁を寝とったんだろ？

ハッカイ

俺の方が損害でかいんじゃねえのか

キリシマ

わかったなって聞いてんだよ

ハッカイ

あんま兄ちゃんの真似すんな

ハッカイ

ヤクザなんて碌なもんじゃねえぞ

ハッカイ

何もかっこ良くないんだ

キリシマ

さっきからうるせえって！

キリシマ

キレた完全にキレた

キリシマ

お前寿司屋やってんだろ？

キリシマ

今日の夜潰しに行く

ハッカイ

それは聞き捨てならねえな

ハッカイ

俺の大切な店だ

キリシマ

知らねえよ

キリシマ

おっさんにヤクザの怖さ教えてやるよ

ハッカイ

やめとけ

ハッカイ

大問題になるぞ

キリシマ

大丈夫大丈夫

キリシマ

今までもぜーんぶ兄ちゃんがどうにかしてくれたからよ

ハッカイ

兄ちゃんが？

キリシマ

一回議員の子供をボコボコにしちゃった時があってよ

キリシマ

向こうの親がカンカンになって怒ってた時も結局兄ちゃんがどうにかしてくれた

キリシマ

俺は無敵なんだよ

キリシマ

ボロい寿司屋一つ潰すのなんてなんてこたねえのよ

ハッカイ

もし本当にやろうってなら

ハッカイ

俺も手加減しねえぞ

キリシマ

ただのチンピラ如きが何できるってんだよ

キリシマ

あんまヤクザ舐めんなよ？

キリシマ

お前あんま調子乗ってると攫っちまうぞ？

ハッカイ

お前言葉に責任持てよ

ハッカイ

攫っちまうなんてガキが威嚇に使う言葉じゃねえんだ

ハッカイ

お前から始めたことだからな

ハッカイ

後悔すんなよ

キリシマ

強がり乙ww

キリシマ

兄貴に連絡繋がった時が最後だぜ

ハッカイ

サエキさんは電話に出ねえよ

キリシマ

へ？

ハッカイ

お前の兄貴、サエキさんだろ？

ハッカイ

俺はよお前の兄貴の組の元頭だよ

キリシマ

へ？

キリシマ

元頭って？

ハッカイ

お前の兄貴が親父って呼んでるやつだ

キリシマ

は？

キリシマ

お前嘘つけよ

キリシマ

なんで

ハッカイ

お前ヤクザの嫁寝とってタダで済むと思うんじゃねえぞ

キリシマ

なんで俺の苗字しってんだよ

キリシマ

ちょっと待ってくれ

キリシマ

どういうこと

ハッカイ

なんだお前喧嘩売った相手も知らねえのか

キリシマ

トウヨウさんがヤクザの嫁？

キリシマ

パニックパニック

ハッカイ

とりあえず今日は夜道に気をつけろよ

ハッカイ

攫われちまうぞ？

〜次の日〜

キリシマ

許してください

キリシマ

お願いします

キリシマ

ここから出してください

ハッカイ

ほんとに攫われちまったみたいだな

キリシマ

ここはどこなんですか

キリシマ

教えてください

ハッカイ

すまほは使えるみたいだな

キリシマ

でも出口がないです

ハッカイ

警察に電話しようもんならどうなるかお前もわかってるよな？

キリシマ

はい絶対しません

ハッカイ

さてお前は元とはいえヤクザの身内に手を出したんだ

ハッカイ

しかも頭の嫁にだ

ハッカイ

これはタダで返すわけにはいかないよな

ハッカイ

わかるだろ？

キリシマ

はい

キリシマ

すみません本当に知らなかったんです

ハッカイ

知らなかったで済ませちゃ俺のメンツがたたねえだろ？

ハッカイ

土産もってくりゃ許してやるよ

キリシマ

みやげですか？

キリシマ

どこの名産品を

ハッカイ

ほんとヤクザのこと知らねんだな

ハッカイ

エンコって奴だよほらドラマとかでよく見るだろ

キリシマ

エンコって

キリシマ

小指ですか

ハッカイ

別に人差し指がよけりゃ人差し指でもいいんだぜ

キリシマ

勘弁してください

キリシマ

それだけはどうか

ハッカイ

だめだ

ハッカイ

これがお前の我が物顔で振り回してたヤクザのルールだ

ハッカイ

兄ちゃんの力で色々してもらってきたんだろ？

キリシマ

はい

ハッカイ

これでケジメつけりゃお前ももう立派なヤクザだよ

キリシマ

すみませんでした

キリシマ

ヤクザにはなりたくないです

キリシマ

お金じゃだめですか

ハッカイ

わかったよ条件だ

ハッカイ

お前今フリーターだろ？

キリシマ

はい

ハッカイ

職につけ

キリシマ

ヤクザですか

ハッカイ

ちげーよ

ハッカイ

カタギの仕事だよ

ハッカイ

そんで兄貴の力に頼らず兄貴の真似事せず真っ当に生きろ

キリシマ

それでいいんですか

ハッカイ

その代わりもしお前この約束破ったらよ

ハッカイ

失うものは小指どころじゃ済まねえぞ

ハッカイ

わかったな

キリシマ

はい！わかりました！

キリシマ

真っ当に生きます！

キリシマ

本当にありがとうございます！

ハッカイ

おうもう帰れ

キリシマ

それで

キリシマ

どうやって帰ればいいですか

ハッカイ

それは

ハッカイ

知らねえよ

キリシマ

そんな…

〜次の日〜

トウヨウ

もうお仕事行かれたんですか？

ハッカイ

おう今日は市がいつもより早く開くんだ

ハッカイ

もう帰ってきたのか

ハッカイ

義母さんは元気だったか

トウヨウ

ええ元気すぎて困っちゃうわよ

トウヨウ

あんまりにも大丈夫そうだからあなたの方が心配ですぐ帰ってきました

トウヨウ

お母さんもうすぐ70になるのにダンス始めたんですって

トウヨウ

ヒップホップ

ハッカイ

エネルギーすげえな

ハッカイ

何か変わったことは起きてないか？

トウヨウ

あなた毎日それ聞いてきますけどね

トウヨウ

お腹の子どもそんな急いで生まれてきませんから

ハッカイ

そうか良かった

ハッカイ

サエキさんの件片付いたよ

トウヨウ

それは良かったですね

トウヨウ

今度はどんな泣かせ方したんですか？

ハッカイ

俺の嫁っていう設定の女を近づけてよ

ハッカイ

調子乗ってヤクザぶってる弟さんを懲らしめてやったんだ

ハッカイ

ちょっとだけ手荒にな

トウヨウ

あなたすっかり組の家内の子守り担当になりましたね

トウヨウ

あなたが良い頭領だったからみんなあなたを頼るのね

ハッカイ

これでも結構断ってたんだけどな

ハッカイ

サエキさんはが小さい時からよく面倒見てくれてたからよ

ハッカイ

その時の恩を返しただけだ

ハッカイ

サエキさんにもガキが生まれること報告したからよ

ハッカイ

多分もう関わってくることはないだろう

トウヨウ

この子の為にもそれが良いですね

ハッカイ

ああ間違ってもヤクザなんかにしちゃいけねえ

トウヨウ

でもあなたヤクザ以外育てたことないじゃないですか

ハッカイ

うるせえ

ハッカイ

もう店開ける

トウヨウ

今日も頑張ってくださいね

ハッカイ

おう

〜後日談〜

ハッカイ

サエキさんの弟はその後工場勤務をしているらしいです

ハッカイ

まだビックマウスの癖は抜けてないらしいが真っ当に生きてるって聞きました

ハッカイ

組のガキ達はあれから一度も連絡をよこして来なくなりました

ハッカイ

縁が完全に切れてから全くガキ達も見かけなくなりました

ハッカイ

まるで最初からいなかったかのようにガキ達の気配は無くなりました

ハッカイ

そういえば

ハッカイ

変わり身とはいえ名前をそのままトウヨウと名乗らせたのは少し失敗したなと思いました

ハッカイ

本当のトウヨウじゃないと知っていてもラインの文面を見たときは

ハッカイ

怒りで魚を捌く包丁を無意識に固く握っていましたから

ハッカイ

自分の中にあるヤクザの血を抜くにはもう少し時間がかかりそうです

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結城真矢

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