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コメント
3件
やっぱ飛花さんだな…
??年前
美咲
母達は笑って応じる。
とても平和なこの日だった。
22
母達と、入学祝いの遊園地
その帰り道の事だった
美咲
人が1人、叫びながら走っていった
美咲を固く結んでいた手が、ゆっくりと下に落ちていく。
美咲
彼女はようやく気づいた。しかし、気づいたときには遅かった。
母の1人が、鈍い音を立てて倒れた。
足元に赤いものが広がっていく。
もう一人の母は、急いで救急車を呼んでいるようだが、恐怖や焦りで何を言っているのか分からない。
美咲
目を逸らさないといけない。
けれど、目が離せない。
その場にへたり込み、恐怖に満ちた顔で倒れた母を見ていた。
やがて救急車の音が聞こえたが、どこか遠くから聞こえているようで、現実味がなかった。
小さい体ながら、理解してしまっていたのだ。母はもう助からない、と。
病院に行き、着いた直後。死亡が確認されてしまった。
不思議なことに、涙は出なかった。
隣で泣き崩れるもう一人の母を見て冷静になってたのかもしれない
否、死を理解したが、それに感情が追いつけなかったのだ。
一度家に帰ることになった。
母は、覚束ない足取りだった。
今にも人にぶつかりそうで、怖かった。
車も自転車も通らない道。その出口に差し掛かった瞬間、悲鳴が聞こえた。
美咲
横から衝撃が加わり、私は人混みに投げ出される。
衝突音に、ガラスが割れる音。車のクラクション。慌てふためく人々の声や叫び。
母の姿は、どこにもなかった。
美咲
待って……置いて行かないで
心が張り裂けそうなほど叫んだ。
けれど、現実は非情で。
気づけば私は、どこかも分からない場所に連れてこられていた。
近くに警察の格好をした人がいる。
交番とか、警察の人がいる場所なんだなって理解できた。
美咲
皆、首を振った。
横に。
縦だったらどれほど良かったろうか。
美咲
美咲
美咲
沈黙
この時にはもう壊れていたのかもしれない。
2人の母を失ってもなお、涙は出なかったし、取り乱さなかった。
ただ一つ、漠然と、もうお母さんは帰ってこないんだと、理解してしまった。
それからのことはよく覚えていない。
事実として、施設に入れられて、入学して、いろいろな事を言われて、いじめられて。
どんな事をされても、何も思わなかったし、何も感じなかった。
そして引き取り手が見つかって、私は施設を追い出された。
義母となった人も酷かった。
遺産目当てで、私の事は見てくれない。
けれど、まだ遺産は私の手になかった。管理できないからと、警察が預かっていたのだ。
それを知った義母は、私に暴力を振るうようになった。
1年耐えて、警察のところに行った。
痩せ細った体に、背が低い。
到底4年生だとは思えなかっただろう。
家事を覚えたため、もう1人で暮らせる。
家に帰りたいと訴えた。
育児放棄の証拠も提出した。
そして私はようやく
美咲
家に帰ることができた
机も、椅子も、棚も、ぬいぐるみも、写真も、全て、全てそのままだった。
壊れた心が、徐々に修復されていく。
美咲
今まで押し殺していたものが、全部出てきた。
美咲
美咲
4年間、必死に耐えてきた。
耐えて、耐えて、耐えて、耐えて、
ようやく、帰ってこれた
けれど、この家には、私1人
美咲
もう、いないんだ
美咲
今までの分、泣いていいよね
吐き出して良いよね
呼んでも良いよね
美咲
頑張ったねって褒めてよ
生きてくれてありがとうって、言ってよ
抱きしめてよ
名前呼んでよ
頭撫でてよ
また一緒におやすみを言おうよ
また一緒に、遊園地行こうよ
お願い、叶えてよ
お母さん
お母さん
お母さん
美咲
何もする気が起きなくて
もう匂いの残ってない、お母さんの布団で眠った。
飛花
飛花
飛花