テラーノベル
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主
主
主
夜の部屋にはある1つの音
それだけが生きている
暗い画面
小さなランプの光
そして机の上に置かれたパソコン
奏はキーボードに手を置いたまま
しばらく動けなかった
彼女のパソコンの画面には
作りかけの曲があった
まだ未完成のメロディ
奏は再生ボタンを押す
静かなメロディーが流れる
いい音…なのかもしれない…
けど…
奏
奏はすぐに止めた
何度も…何度も…
作り直した…けど…
それでも…
まふゆを救える音には…
届かない…
奏
本当に…私の曲で
本当に誰かを救えるの…?
奏は椅子に持たれる
そして天井を見る
昔から…
ずっと思っていた…
私の音楽…は
誰かのためにあるものだと
それは…お父さんの願いでもあり
約束でもある…
奏
奏
その時だった
パソコンの画面に
わずかにノイズが走らせた
奏
黒い画面にある文字が浮かんだ
パソコンの文字
奏
奏
画面は答えなかった
でも、文字は続く
パソコンの文字
パソコンの文字
奏の胸が少し揺れた
奏
奏
でも言葉は途中で止まった
本当に
私は…誰のために音楽を作ってる?
誰かを救うため?
それとも…
私が…
救えなかった過去を取り戻すため?
画面の文字が変わった
パソコンの文字
パソコンの文字
パソコンの文字
パソコンの文字
それはきっと
生まれつき刻まれているもの
変えられないもの
奏
奏
…たしかに
私は少しだけ…
音楽をやめよう…
っと思ったことがある
苦しくて…
怖くて…
全部…投げ出したい
それでも
私は…
また曲を作る…
音を探してしまう
誰かの声を
誰かの痛みを
音に変えようと…してしまう
まるで…呼吸みたいに
その時にスマホがふるえた
奏はその画面を見つめた
静かな部屋
でも…その向こうには
誰かがいる
もう一度画面を見た
さっきのパソコンの文字は
消えていた
黒い画面だけがあった
奏
もしも…私の中に
音楽が流れているならば…
止める必要は…ない
ただ…
その音を
誰かのところに…運べばいい
奏はキーボードを打つ
新しいコードを鳴らす
さっきまでは違和感だった音
少しだけ形になっていく
再生ボタンを押した
部屋に音が広がった
まだ…未完成だけど…
でも…
確かに前へ進んでる
奏はメッセージを送った
少しだけ間を空けて
奏は送った
数秒後
奏は画面を見ながら
静かに息を吐いた
音楽は…まだ完成してない
でも…
私の作る音が
届く場所があるのなら…
このDNAは
きっと無駄じゃない…
奏はまたキーボードに手を置く
夜はまだ終わらない
そして…
音も…まだ
続いていく
コメント
4件
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!尊いよ!!神作品だよ!!死にそうだよ!!(???) なんか『化けの花』だったら『瑞希の中に咲いているはな』今回だったら『パソコンの文字』とかが、なんか、こう……いい役割果たしてる!!(?)この花とか文字があったからこそ瑞希とか奏が前に進もうって感じの決意ができてるから……!!ナイス!! 今までは『誰かを救う曲を作る』が『自分のため』とかになってたかもしれないけど……文字のお陰で、『誰かを救う曲』の、あの、音?とかが少しだけわかってきたって感じも良き……👍