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恋する学園〜彼女のカメラは彼と踊る〜

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恋する学園〜彼女のカメラは彼と踊る〜 第2話

♥

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2020年03月08日

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数日前、音楽予備校でピアノのレッスンを受けた帰り道──

──ドンッ

花森小夜子

!!

背後からの衝撃に、気づけばカバンが手元からなくなっていた

転んだまま顔を上げると、自転車がみるみる小さくなっていく

花森小夜子

引ったくり〜!

花森小夜子

誰か、誰か助けて!!

──ブゥゥゥン…!

花森小夜子

え…

エンジン音がして、路地から一台のバイクが躍り出る

歩道の縁石を伝ってバイクは鮮やかに引ったくりの行く手を塞いだ──

花森小夜子

すごい…

翌日

倉橋マヤ

…ってことがあったんだって

星奈さくら

何それ…ドラマじゃん

小夜子から聞いた話を、二次元マニアのクラスメイト、さくらに話した

さくらも小夜子と同じ生徒会所属で、私たち三人は仲が良い

倉橋マヤ

その後、引ったくりからカバンを取り返して

倉橋マヤ

小夜子に渡して、また颯爽と去って行ったらしいよ

星奈さくら

尊い…尊いよ

倉橋マヤ

あれは小夜子、完全に恋してるね

倉橋マヤ

ねー、さくら、こういう事には頭回るじゃん?

倉橋マヤ

そのバイク男の正体、突き止める方法何かないかなぁ

さくらと小夜子は、今は仲がいいけれど…過去に色々あって

だからこそ、私は相談相手としてさくらを選んだ

星奈さくら

…名前も顔も分からないの?

倉橋マヤ

そう

倉橋マヤ

付近の人の通報で警察が来る前に

倉橋マヤ

無言でいなくなっちゃったんだって

倉橋マヤ

もちろん、名乗ってもいないらしい

星奈さくら

なるほど…

倉橋マヤ

フルフェイスのヘルメット被ってて、顔も分からないって

倉橋マヤ

警察の人も、関わった人物として捜してるらしいんだけどね

星奈さくら

うーん…

倉橋マヤ

ね、何かアイデアない!?

星奈さくら

それは…

倉橋マヤ

それは?

星奈さくら

ズバリ…待つ

倉橋マヤ

は?

星奈さくら

こういう時、主人公と彼は必ず運命的な再会を果たすのよ

さくらは、キラキラとした瞳で虚空を見つめた

倉橋マヤ

(こ、この妄想女め…)

倉橋マヤ

ばっかじゃないの!

倉橋マヤ

上条先輩のこと、横入りして小夜子から取っちゃったんだからさぁ

倉橋マヤ

なんかウルトラ解決案を考えなさいよ

星奈さくら

星奈さくら

マヤは…本当に痛いとこつくなぁ

星奈さくら

私だって、花ちゃんのことならなんとかしてあげたいけど…

???

はああぁ〜

倉橋マヤ

!?

呆れたようなため息がどこからか聞こえてくる

倉橋マヤ

太田…

給水塔の影から、ゆらりと太田が姿を現した

倉橋マヤ

あんた、盗み聞きしてたの?

太田治

盗んでも聞きたくないわ、お前たちの会話など

太田治

ここで昼寝していたら、べちゃべちゃ喋りはじめて

太田治

出るに出られなくなったんだ

太田治

それに…運命の再会?

太田治

なんだそのベタな展開は

太田治

だからお前の脚本はつまらないんだ

倉橋マヤ

運命の再会を言い出したのは、私じゃないんだけど…

太田治

どっちみち、つまらん事に頭を使いすぎだ

太田治

物事を解決するなら、もっと建設的に考えろ

倉橋マヤ

建設的にって…どういうふうによ

倉橋マヤ

そこまで大口叩いたのなら、何か考えがあるんでしょうね

太田治

なくはない

太田治

だが…

倉橋マヤ

太田治

倉橋マヤ

何よ…結局何も思いつかないってわけ?

太田治

そうではない

太田治

人の特徴はわからなくとも

太田治

バイクやヘルメットに特徴は?

倉橋マヤ

あ…

太田治

その様子だと、そこまで花森に聞いてはいないのだな

倉橋マヤ

聞いてない…

太田治

お前は本当に迂闊だな

太田治

そのような特徴から追うことはできるだろう

倉橋マヤ

確かに!

倉橋マヤ

たまにはいいこと言うじゃん!

倉橋マヤ

ありがと、またね!

星奈さくら

あ、マヤ…って、行っちゃった

太田治

あいつは…猪突猛進という言葉がピッタリだな

太田治

話は最後まで聞いてほしいものだ

星奈さくら

最後まで…って

太田治

そのバイク男は、警察が来る前に立ち去ったのだろう?

星奈さくら

そう言ってたね

太田治

普通なら、そのような重要な場に立ち会ったのなら

太田治

きちんと説明するために残るものではないのか?

星奈さくら

あ…

太田治

立ち去ったのは、バイク男にも何か事情があるかもしれん

太田治

…花森が傷つくことにならなければいいがな

星奈さくら

太田くんって…

太田治

ん?

星奈さくら

なんだか、お奉行さんみたいだね

太田治

なんだそれは…

倉橋マヤ

小夜子!

花森小夜子

わあ!

校門を歩く小夜子を見つけて、私は背後から突進していった

花森小夜子

…マヤちゃん、どうしたの?

倉橋マヤ

あのさ、例の小夜子が恋したバイク男だけど

花森小夜子

倉橋マヤ

バイクやヘルメットに何か…

花森小夜子

しーーーーーーーっ!!

小夜子が慌てて私の口を塞いだ

倉橋マヤ

あ、ご、ごめん…

倉橋マヤ

で、でもさ!

倉橋マヤ

バイクやヘルメットに特徴はなかった!?

花森小夜子

バイクやヘルメット…?

倉橋マヤ

顔がわからなくても、そこから追えるんじゃないかと思って!

花森小夜子

あ、えーと…

花森小夜子

そうだなぁ…

花森小夜子

なんだか、普通のバイクより自転車っぽかったような…?

???

自転車っぽいバイク?

倉橋マヤ

背後から、聞き覚えのある声が飛んできた

振り返ると、そこにいたのは──

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