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僕は目が見えない
小さい頃は見えていたらしいが あまり記憶がない
僕には山根 凛という 女の幼なじみがいる
凛と会ったのは小1だが その頃にはもう見えなくなっていた
でも彼女は優しかった
僕がどこからか叩かれたり 罵声を浴びせられたりすると
凛は
やめて!
と大きな声で守ってくれた
それに凛はずっと一緒に居てくれた
僕は小3の時に 目の見えない子供の学校に行った
本当は凛は別の普通の学校だったのに
毎日、同級生と遊ぶのも我慢して 僕の所に来てくれた
今日は小1の時の〇〇君が遊びに来たんだよ
今日はこんな事を学んだよ
私、徒競走で1位になったよ!
目の見えない僕にとって
凛の話す内容はいつも楽しみだった
そんな僕も凛も 今は高校生
別の高校だが あの時と同じように
毎日来てくれる
ある時、凛の声が小さくなった
どうしたの?
どこか具合が悪いの?
と、聞くと
しばらく間があったあと
実はね…
行きたい所があるの
と、もっと小さい声が聞こえた
きっともう僕の所に来たくないんだ
そう思って
いってきな
凛の好きなようにしなよ
すると凛の声が耳の近くで聞こえた
あのね
貴方と行きたいの
ビックリした
でも凛は真面目な時の声だったから 一緒に行くことにした
凛に手を引かれてもうしばらく経っている
凛は僕の手を引っ張っている時 ずっと喋らなかった
着いたよ
凛は優しい声で言った
耳を澄ましてもなにも聞こえない
手を少し動かしてもなにもなかった
オロオロしている僕を見てか
ここは家より少し高い場所だよ
と、説明してくれた
貴方の上の方に大きな丸があるの
でも私達は手が届かない所にある
なのに今にも届きそうなの
始めはなにを言っているのか 分からなかった
それでね凄く綺麗なの
本当はゴツゴツしてて 寒暖の差が激しくて
息もできないんだけど
ここから見ると凄く滑らかで
いつも同じように見えてね みんなを幸せにするの
それがね 月なの
目の見えない子供の学校で 習ったことはあったが
あまりよく分からなかった
でも凛の話は凄く分かりやすくて
本当に僕の目の前にある気がした
私ね
月みたいにみんなを幸せにできる仕事がしたいの
素敵な夢だった
凛の夢を聞いた時、初めて
月を見た気がした