駅から家までの帰り道
紗良は、部室での出来事を 思い返していた。
紗良
やってしまった、 というのが率直な感想だった。
紗良
考えれば分かることだった。
部活の無い日の部室が 密室になることなんて。
完全に油断していた。
それとも私は、心のどこかで こうなることを 望んでいたのだろうか。
ハグだってキスだって、 向こうが無理矢理 してきた訳じゃなかった。
いくらでも拒むことは出来た。
いくらでも逃げる隙はあった。
そもそも、選択授業の教室で 隣に座ったのは自分だ。
席は他にも空いていたのに。
紗良
自分に腹が立つ。
言ってることとやってることが 違う自分に。
中途半端な自分に。
紗良
好きなら好きと 素直に認めればいいのに。
体だけの関係でもいいなら、 そうすればいいのに。
どっちでもないなんて。
どうしたいんだろう私。
どうしたらいいんだろう……
その時、 唯一連絡の続いている 男の子からLINEが来た。
「今度、会いませんか?」
紗良
涙が溢れた。
もう、誰でもいい。
誰でもいいから、
正博から私のこと奪ってよ。
……私の心を、奪ってよ。
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