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笹暮
轟焦凍
笹暮
笹暮
…………朝か…
なぜだか酷く疲れていて 起床が遅くなってしまった。
寮の共有スペースには誰もいない。 もうみんな登校してしまったのだろうか。
早く皆に会いたい。さっさと身支度を済ませて行こう。
この時間だと授業に遅れてしまうな。 飯田に怒られてしまうだろうか。
でも、飯田なら遅刻した事を心配してくれるんだろうな。
爆豪にはまた舐めプ野郎と言われてしまう。
女子達は恋愛話に花を咲かせているだろうか。どんな話をしてるんだろう。
切島や上鳴はきっといつもみたいに 明るくおはようと言ってくれる。
甲田と常闇、障子も小ぶりだが 遠くでも気づいて手を振ってくれるだろうな。
八百万と砂糖は菓子作りの話でもしてるんだろうか。今度混ぜてもらおう。
峰田はまた俺の真似をしてくれるかな。毎度瀬呂に色々言われているがなぜだろう。
そう言えば尾白は上鳴に尻尾を触られて困ってると言ってたな。俺も触ってみたい。
緑谷は笑顔で駆け寄ってきて挨拶してくれるだろうか。
それとも怒った爆豪をなだめているだろうか。
緑谷の事を考えると頬が緩む。 そろそろ教室だ。気を引き締めなければ
ガラララ
轟焦凍
緩む頬を押さえながら小さく呟く。
返答が返ってくることはなかった
轟焦凍
いつもなら微妙に揃っていない机も、 今日は綺麗に整頓されている。
轟焦凍
段々呼吸が荒くなる。 あまりにも静かな教室に体が強張る。 目眩がする。
轟焦凍
ただただ自分のうめき声だけが響き続ける。
そうだ。誰もいない。
もう皆居ないんだ。
皆を看取ったあの日の事が 走馬灯のように頭を駆け巡る。
皆、謝ってたな。
追いて行っちゃってごめんって。
お前等が謝る事じゃねぇのに。
嫌だ。思い出したくねぇ。
でも、忘れるのが怖い。
皆の声を。顔を。
笹暮
爆豪勝己
笹暮
爆豪勝己