蝕む記憶／潰える記憶

俺がこの病気を患ったのは、約2年前

中学2年生の時だ

医師から、現在の医療では治すことが出来ない、末期には寝たきりになり、死に至るものだと聞いた時は深く絶望した

あまりにショックを受け、3ヶ月ほど引きこもったことがあった

最初は、食べ物の名前を忘れたり、日常的に使われるものの名前から失っていった

けれど2年も経っているせいか、人の名前を忘れたり、絶対に忘れたくない大切なものまで忘れてしまっていた

そのせいで、何度も友達や家族の心を傷つけてきた

思い出せるものなら、思い出したい

けど、そのものに関する思い出事、俺の記憶から消えてしまう

何度教えて貰っても、次の日には記憶にない

俺はそんな日々に、自分に、嫌気がさしていた

俺のせいで、なつも.....ｯ

―ん、？

ら―！

らん、らん！

お弁当箱の蓋を開けた瞬間、絶句した

お弁当の中に、見たこともない食べ物が入ってたから

黄色い見た目をしていて、長方形の食べ物だった

俺が知らないものを聞く度に、いるまは顔を引き攣らせながらも説明してくれる

いるまに聞いているものの大半が、俺が知らなかったものじゃなくて、忘れてしまったものなんだろう

卵焼きを口に入れると、甘みがあって美味しかった

けど、俺の舌は覚えていないらしかった

俺が笑顔でいれば、.....ね？

なっちゃん........

そっか.....いるまとなっちゃんは仲良いもんね、

気になるのも仕方ないかと思った

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