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琉雫

…はぁ……

ピロンッ

琉雫

…え、

木葉

学校の子に連絡先聞いちゃった!メンゴ!

琉雫

何この浮ついたメッセージ、

琉雫

(割と突き放したつもりなんだけどな、…)

ピロンッ

木葉



    画像
          

木葉

返してほしけりゃ、最寄駅に来な!!

写真には、わたしの生徒手帳と、その背景には彼が写っていた。

木葉

フェアじゃないからちゃんと赤葦居るって伝えとく!来いよ!

ちゃんと知らせてくれるあたり、だいぶ紳士的だ

生徒手帳には、学校で使うパソコンのバーコードやカリキュラムが挟んである。

絶対必要なものなのに…

琉雫

あーもう!

琉雫

…腹を括るしかないか…

赤葦

…久しぶり

琉雫

うん、木葉先輩たちは?

赤葦

あ、さっき帰った

琉雫

そっか

赤葦

ちょっとこっち、

琉雫

生徒手帳ありがとう

赤葦

琉雫

えっと…返して?

赤葦

ごめん

赤葦

俺、ちゃんと大事にできてなかった。関係性に甘えてたと思う。会いたくなかったわけじゃない。

琉雫

うん

赤葦

ほんと余裕が無くて、すごくかっこ悪いけど、スランプっていうか部活も勉強も上手くいってなくて八つ当たりしそうで、

赤葦

自分のことでいっぱいいっぱいだった

琉雫

うん。もういいよ、タイミング悪かっただけ

赤葦

そんなタイミングの問題で終わらせたくない

琉雫

もっと優しい子の方が赤葦くんにはいいと思う。私はもう少し近くて構ってくれる人が良かったのかも

琉雫

そういう勉強になったと思おうよ、

赤葦

っその呼び方も、他の奴に行こうとするのもやめて

彼とは思えない低い声に、思わず近くにある顔を見上げると、

その目は潤んでいた。

赤葦

ほんと、…心臓えぐられる…

瞬きしたら、泣くんじゃないかと思った。

私も、彼も、

琉雫

…そういうの、付き合ってる時に聞きたかった

赤葦

ほんとに…俺達別れたの?

琉雫

うん、

琉雫

やっぱり別れたら楽になった

赤葦

琉雫

ごめん、意地悪言ったね、私も悪かったのに

赤葦

いや、俺が悪いから

思わず、俯く彼の頭を撫でそうになるけど、手を止める。

赤葦

…撫でてよッ

そんな私に気づいたのか、

掠れた声を小さく溢す

…撫でられない、可愛くない女でごめんね

赤葦

幼馴染にも彼女いるって伝えた。周りの人たちにも。

赤葦

帰り、先帰ってって言ったのは遅い時間に一人で待ってもらうの心配だったから

琉雫

わかってるよ、私が我儘言っただけ、

赤葦

っ、どうしたら付き合えるっ?

聞いたことのない彼の声量に、肩が震えた

赤葦

連絡つかなくてっ、会えなくてっ、本当に辛くてっ…、

琉雫

辛いなら、やめたほうがいいよ

赤葦

っやめたらもっと辛いから困ってるんだよ!

意外だった。

こんなに粘る人ではないと思っていたから

どうするか、悩んだ末

彼の頭を撫でた。

赤葦

赤葦

ごめん、大きい声だした

琉雫

ううん

赤葦

周りにも迷惑かけて、ほんと自分が嫌になる

琉雫

先輩たち、優しいね

赤葦

…出会ったときから、俺の気持ちは変わらないよ

背の高い彼を見上げる

琉雫

赤葦

頑張るから、俺も

琉雫

…そんなの、疲れない?自然体でいれるほうが楽じゃない?

赤葦

え?

琉雫

無理して私に合わせて、疲れちゃわない?もう嫌だってなるかもしれないよ

赤葦

ならないよ

琉雫

頑張らなくていいよ、京治は京治のままでいてよ、

琉雫

私が我儘言ってるだけなんだから

赤葦

…どうしたの?

琉雫

京治が私の言ったこと気にして、疲れて、結局別れちゃうのは嫌だ

赤葦

琉雫

やっぱり自分が自然体でいれる人のほうがいいって思われるのは嫌だ

琉雫

…私わがままだから

赤葦

好きだよ

泣き叫ぶような私を、温かいぬくもりがそっと包んだ

赤葦

そばにいたいのも、別れたくないのも、理由はそれだけ、

赤葦

難しく、考えないでよ

背の高い彼に、すっぽりと収まるように包まれる。

琉雫

…もうあんな思いしたくないし、酷いことも言いたくない…

赤葦

うん、ごめん

琉雫

京治が無理するのも嫌だよ…

赤葦

側にいれたらそれでいい

琉雫

…もっと、

琉雫

ぎゅってして…、

私の言葉に、彼は痛いくらいに力を込めてくれる

赤葦

…ほんとは

赤葦

精神的に辛い時とか、調子悪いときとか、そういう時に会いたいって思ってたんだけど、

赤葦

八つ当たりして嫌われたくなくて、そう思ったら連絡できなくて、

琉雫

嫌いになんかならないよ…

赤葦

でも時々顔だけでも見たいと思って駅には行ったんだよ。声かけてないけど、

琉雫

そういうのは言ってくれないとわかんないよ、…

赤葦

ごめん

琉雫

八つ当たりくらい、受け止める。

琉雫

彼女だもん

琉雫

しんどいときは側にいさせて…

赤葦

でも、

琉雫

じゃあ私が悩んでる時も京治に相談しないし、会わないよ

琉雫

それでもいいの?

赤葦

それは…、だめだね、寂しい

琉雫

私も同じだよ

赤葦

うん、わかった

赤葦

ごめん

琉雫

私も酷いこといっぱい言ってごめんね

赤葦

とりあえず、ブロック解除してくれたら生徒手帳返すよ

琉雫

…解除するよ、ばか

見上げた彼の眼は赤くて、

琉雫

…もう隙見せちゃやだよ

赤葦

今までは周りに俺の彼女って興味持たれるのが嫌だったけ、

赤葦

俺のだから

琉雫

………え

予想外の独占欲の公開に顔が熱くなる

赤葦

でも、今回周りの優しさに救われた。こうして話せたのも先輩のおかげだし

琉雫

そうだね…

赤葦

幼馴染にも、他の友達とかにも、聞かれてはないけど、彼女いるって言ったよ

琉雫

友達もいきなりで意味わかんなかっただろうね…

赤葦

周り固めてる。絶対隙見せない

小指を絡めとられる

赤葦

誓う

赤葦

喧嘩もあると思うけど、不安にさせない。

赤葦

なんでも伝える

小指だけだったのに、いつの間にかまた抱きしめられてる

赤葦

もういちど、付き合ってください

琉雫

こちらこそ、頑張ります。よろしくお願いします

ふっと力が抜けたようにしゃがみ込む彼。

赤葦

ほんと…この一週間の俺のポンコツぶりを見せたいようで見せたくない…

琉雫

なにそれ

赤葦

先輩が黙って動いてくれるぐらいだからね

琉雫

想像できない…

赤葦

…もう、本当に離してやんないから

その言葉が嬉しくて、繋がれていた手に力を込める

赤葦

あーもう無理、来て

そのまま手を引っ張られたのは、駅の裏手側

赤葦

キス、していい?

聞いてくるのに、彼はもう近づいてきていて、

私はそれを受け入れるだけだった

息遣いも、鼓動も、

すべて感じる近さで泣き笑うような表情の彼

琉雫

京治

赤葦

ん?

琉雫

大事にするから、

琉雫

大事にしてね

赤葦

もちろん

優しく笑う彼から、頬にキスを落とされた

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