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第1話 - 一時保存:2020/09/05 00:22

18

2020年09月04日

#夜の星空の下で

#野球

ゆってぃ

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18

ゆってぃ

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私達保育園の時からずっと一緒だった。

ずっと五人で学校生活や、登校、部活、大学進学も五人で一緒の大学に行き大学生活最後の夏、思い出作りに一泊でキャンプに行った。

さくら

暑いね、めっちゃ暑い

たつや

暑いに決まってんじゃん
今年の夏は一番暑いって言ってたし。

ゆき

そうだよ。夏は暑いからこーやって海でキャンプできたり泳いだりできてんじゃん。

大和

そうそう！暑いから水着になれるんだぜ！

さくら

そうだね！
早く準備して海行こう！

ゆき

日焼け止め塗らなきゃ

ゆうじ

俺が塗ってやる！

ゆき

変態！さくらに頼むし

ゆうじ

変態？なんでだよ！
そんな下心ねぇし

たつや

いや、お前はわかんない！

さくら

ウケる！幼なじみにそんな感情ないっしょ？

大和

ないない！とりあえず今から迎え行くわ！

さくら

了解

ゆき

お願いします

たつや

了解！

ゆうじ

おぅ！

ゆき

やっとついた！
大和運転お疲れ！
はい、コレ

大和

おっ！ありがと！
つか、コーヒーなら運転中にくれよ！

ゆき

ごめんね〜！寝ちゃってたから！

大和

そんな事だと思ったよ！

さくら

荷物はウチらが運ぶよ！

たつや

俺のバックどこ？

さくら

これ？

たつや

おぉ！これこれ！まずは記念写真！

さくら

いいねぇ〜！

ゆうじ

俺の腹筋撮って

ゆき

ちょ、いきなり裸はないわ！

ゆうじ

惚れるやろ？

たつや

お前すげ！俺のビールっ腹とは違うじゃん！！

ゆき

BBQの肉美味しかったね！
絶対高い肉でしょ？

さくら

美味しかった〜！世わ満足じゃ笑

たつや

今日は男３人で出し合ったし、卒業記念だからな！

大和

そうそう！あと、記念日といったら、たつやとゆきが付き合って２年だからな！

さくら

そうだっけ？もう2年なんだ！
おめでとう！

たつや

ありがと

ゆき

ありがとう！

ゆうじ

ヒューヒュー！！
お似合いのカップルさん！

たつや

辞めろよ！
そんなん言われたら気を使ってしまうじゃを！

ゆき

そうそう！今日は幼なじみのこれからの出発も記念してるんだからね！

さくら

いいじゃん！仲良しグループで幼なじみでカップルが出来たんだからいい事じゃん！

大和

そうそう！
ずっと俺等は仲良しグループだよ！

ゆき

うん！ありがと！

その日の夜は都会じゃ考えられないくらい星空が綺麗だった。

大和

ふー

ゆき

あー！タバコ吸ってる！
辞めたんじゃなかったの？

大和

ゆき、なんやってんだよ！
お前等寝たんじゃねぇの？

ゆき

さくら達は酔っ払って寝てるよ！
私はちょっと眠れなくて。

大和

そうなんだ！
まぁ、俺も同じようなもんだな！

ゆき

星めっちゃ綺麗じゃん！こんなにあるんだね、、

大和

だな、地元じゃ見えないもんな

ゆき

うん、星って不思議だよね。
こんな気持ちになっても少しは楽になれる。

大和

ん？
なんかあった？

ゆき

・・・。

大和

どした？
泣いてんの？

ゆき

ううん！
ちょっと夜風に当たりすぎた。

大和

マジでなんかあった？
話して。
たつやには言えない事？

ゆき

うん。つか言ったらたつや怒ると思う。

大和

なんだよそれ、
じゃぁ俺に言えよ。

ゆき

…。
大和はたつやの事どう思う？

大和

たつや？
どう思うって、

大和

一緒に野球ばっかやってきたから
あいつが居なきゃ俺等最強のバッテリーはないと思うから大切な親友だけど。

大和

なんでそんな事聞くの？

ゆき

ううん、そうゆうと思ったよ。

ゆき

大和とたつやは常に一緒にいるもんね。

大和

親友だから！

ゆき

・・・。
やっぱ今から寝るね！

大和

えっ？なんだよ！
悩みあるんじゃねぇのかよ！

ゆき

・・。
私前から・・。
前から大和が好きの。

大和

えっ？

大和

俺？

ゆき

うん。
大和の方が好きだったんだよ。
たつやに悪いと思ってるけど、
今も大和が好きなの。

大和

ごめん、気持ちは嬉しいけどその気持ちには答えられない。
ゆきも大事だけど、たつやも大事だし。

ゆき

・・・。

ゆき

じゃ、今夜だけ。

ゆき

今夜だけで、手を繋いで星空を見ていたい。

大和

えっ？

大和

うん、俺等幼なじみだしそれくらいは

ゆき

ありがとう。

たつや

おぃ！

たつや

お前等何やってんだよ。

大和

たつや・・。

ゆき

たつや、これは。

たつや

お前等手繋いで何やってんのか聞いてんだよ。なんだよこれ

大和

違うんだ、そんな事じゃない！
お前が思ってる事は何もない

ゆき

そうよ！私がちょっと夜が怖かったから手を繋いでって頼んだの。

たつや

何言ってんだよ！それなら俺を起こして俺のとこに来るべきだろ

ゆき

・・・。
ごめんなさい。

たつや

もういいよ。わかったよ。
お前等が俺の目を盗んでこそこそイチャ付いてるって事がな、、。

大和

お前何言ってんの？
そんなんじゃないって言ってるだろ！

大和

俺がそんなにしんじれないのかよ

たつや

こんな状況じゃ無理はないだろ。

たつや

お前もゆきも信じられない。

たつや

それじゃ。

大和

おい、たつや

大和

たつや

大和

ゆきもなんか言えよ！

ゆき

・・・。

さくら

おはよー！

ゆうじ

おはよう！
マジ爆睡で最高だったぜ！

たつや

だな！おはよう！

ゆき

・・・。
おはよ・・。

大和

おはよう。

さくら

大和、なんか暗くない⁇
寝不足⁇笑

ゆうじ

本当だ笑
目の下がたんこぶみたいに腫れてんじゃん！

さくら

ゆき？
ゆきも何か寝不足⁇
大丈夫⁇

ゆうじ

本当だー！
顔色悪いぞ！
お前等本当大丈夫か？

たつや

本当だな！夜中二人でこそこそイチャついてたんじゃねぇの⁇

ゆうじ

はぁ？
なんだよそれ笑

さくら

そうよ、何言ってんの？笑
みんなおやすみって寝たじゃない！笑

ゆき

・・・。

大和

・・・。

さくら

えっ？どしたの？

ゆうじ

お前等マジでおかしいんだけど。

たつや

なぁ！
言った通りじゃん！

たつや

下向いたままのお二人さん！！

さくら

ちょっ、たつや何言ってんの？
ゆきも何かいいなよ。

ゆき

・・・。

ゆうじ

おい、大和。
たつやの話しマジかよ。

ゆうじ

お前、ゆきはたつやの彼女ってわかってそんな事したのかよ。

大和

・・・。

さくら

ねぇ、大和
本当なの⁇

大和

あぁ・・・。
酒の勢いで。

ゆうじ

な、
お前マジかよ！
バッカ野郎。

ゆうじは大和の胸ぐらを掴んで殴りかかった。

ゆき

ちょ、辞めてよ！
大和は悪くない。
悪いのはウチの方だよ。

大和

違う。
俺だ。
俺が一方的に手を握ったんだ。

さくら

嘘、大和はそんな事するような奴じゃないじゃん！

ゆうじ

てんめぇ！
親友の女にまで手を出しやがって！
許せねぇ。

ゆうじが大和を殴ろうとした時。

たつや

ゆうじ、もういいよ！

たつや

大和…。
今日から俺等絶交な。
もう２度とお前の顔は見たくねぇ。

たつや

野球も２度くんじゃねぇぞ。

たつや

じゃぁな。

ゆうじ

おい、たつや。
待てよ、待てって。

さくら

たつや、、。

さくら

ゆきも大和も
見損なったよ。

さくら

ウチ等、小さい頃からの幼なじみじゃん。
なんでこんな事になるのよ。

さくら

ウチ等の、卒業旅行だったのに。

ゆき

ごめん。

大和

……。
ごめん。

大和

たつや、本当に悪かった。

大和

俺の軽率な行動でお前を気づつけて。本当に悪いと思ってる。

大和

出来れば仲直りがしたい。

たつや

お前と話す事なんて何もない。

たつや

裏切り者と仲直りも、バッテリーを組む事も二度とない。

たつや

お前との関係は終わりだ。
じゃぁな。

大学の夏休みも終わり、秋からの学校始まった。しかし、大和の姿は何処にもなかった。

ゆうじ

大和が大学辞めたの知ってる？

さくら

えっ⁇
辞めたの？

さくら

休学じゃなくて？

ゆうじ

うん、辞めたらしいよ

たつや

・・・。

ゆき

・・・。
私のせいだよ。

さくら

違うよゆき。
ゆき何かのせいじゃないよ。

ゆきのすすり泣く音が教室に響いた。

たつや

今、あいつ何やってんだよ。

ゆうじ

今は配達の仕事やってるみたいだぜ！

さくら

本当に？

ゆうじ

あぁ、俺等ん中であいつだけが一足先に社会人になっちまったな。

たつや

・・・。

さくら

そうだね。

さくら

でも、一生会えないってわけじゃないし。ウチ等も内定もらって卒業できるように頑張ろ！

さくら

ねっ！
ゆき！

ゆき

・・・
うん。

ゆうじ

そうだな！
大和に負けてらんねぇな。

たつや

・・・。

たつやは何も言わず教室を後にした。

たつや

大和、お前何で学校辞めたんだよ

たつや

大学でて野球のドラフトかかるように頑張るんじゃなかったのかよ。

大和

わりぃ、今忙しい。

大和

その話しはまた今度な。

大和

じゃぁな。

たつや

ちょっ、大和

たつや

おい。忙しいってなんだよ。

大和からの返信も連絡はなかった。

ゆき

大和、起きてる？

ゆき

大学の話しなんだけど、
今話せる？

ゆき

大和に発信。

大和

あっ！
ごめん。
仕事が忙しくて。

大和

話しって何？

ゆき

大学を辞めた事何で皆んなに黙ってたの？

大和

あー。
そんな事か。

大和

親父の配送スタッフが足りなくて困ってたから。大学辞めて就職しただけだよ。

ゆき

そんな事って。
本当にそれが理由なの？

ゆき

野球選手の夢は？

ゆき

大学でて一年目のシーズンが大事って言ってたじゃん。

大和

あー。
そんな時期もあったな。

大和

でも、それはたつやとのバッテリーだったからだよ。

大和

あいつなしじゃ野球をやって行く自信なんかないよ。

大和

とにかく、俺が大学辞めたのはゆきのせいでも、たつやのせいでもないから。

大和

たつやと上手くやれよ！
あいつこの件でますますやきもち妬きになってるぜ！
あいつだけを見て、支えてやれよ！

大和

じゃぁな。

ゆき

・・・。
ごめんね！
ありがとう！
仕事頑張ってね！

そして、卒業の日を迎えた四人は、それぞれの道に進む事になった。

さくら

やっと卒業だね！
長かったようで短かったな！

ゆうじ

そうだな！早かったって言えばあっという間だったけど、長かったって言えば最後の三か月は死ぬほど長かったかな！

たつや

バカか！それはお前がテストの単位取れなくて、留年ギリギリだったからじゃねぇかよ！

さくら

そうそう！四人で揃って卒業って言ったのにゆうじだけダブろうとしてんだもん！

さくら

最後の勉強会で、ゆうじに教えるの難しかったんだからね！
ウチ等に感謝してよね！

たつや

そうだ、そうだ！
感謝しろよ？

ゆうじ

ありがとうございます笑
お前等様々のおかげです。笑

たつや

なんだよ！笑
バカにしてんのかよ！笑

さくら

感謝の目じゃないね！笑

ゆうじ

マジで感謝してるっちゅうの！笑

たつや

それが一番わざとらしいんだよ！

ゆき

四人…か。

さくら

えっ？

ゆき

いや、なんでもない！なんでもない。

たつや

・・・。

四人は揃って卒業出来きこれからの事を話す所にたつやに一本の電話がはいる。大和の母からだった。

大和の母

たつや君久しぶり。
元気？

たつや

こんにちは、お久しぶりです。
元気です。

大和の母

そうなの、よかったわ。
皆んなも元気？

たつや

はい、元気です。
皆んな相変わらずですよ！
どうかなさいましたか？

大和の母

実はね、大和が事故で亡くなったの。

たつや

えっ？
大和が？

大和の母

はい、今日の午前中の配達をしていて、車に跳ねられてね。

たつや

・・・。
大和に会わせて下さい。

大和の母

ごめんなさいね。卒業式にこんな話しして。

大和の母

来てくれるの？
ありがとう。
皆んなで大和を送ってあげて。

たつや

・・・。
はい。

たつやの表情が真っ青になり、ゆきたちもその変化に気づいていた。

ゆき

どうした？
誰から？

さくら

たつや？
どしたの？

ゆうじ

おい、たつや？どうしたんだよ。

たつやは俯いたまま口を開いた。

たつや

大和が・・・。
事故で死んだ。

ゆうじ

えっ？

ゆき

えっ？

さくら

えっ？なんて？

さくら

今なんて言ったの？

たつや

大和が・・・。
死んだんだよ。

ゆうじ

おい、お前こんな時にふざけた事言ってんじゃねぇぞ！

ゆうじはたつやの胸ぐらを掴む。

ゆき

ちょっと辞めなよ！

さくら

そうだよ！辞めなよ！

ゆうじは手を離した。

ゆき

ちゃんと説明して？

たつや

・・・。

たつや

配達の途中で車に跳ねられたらしい。

たつや

そこまでしか聞いていない。
今日通夜があるってよ。

たつや

皆んなで送ってやるしかねぇだろ

沈黙が続き静かにゆきが口を開いた。

ゆき

そうね。
幼なじみの私達が行かないと一番悲しむよね。

さくら

うん。
皆んなで見送ろう。

ゆうじ

そんなの、そんなの信じれられっかよ

ゆうじは教室を飛び出した。

木魚の音と、お坊さんの声が響き渡る。お焼香を済ませた四人は大和の母とこらえ行った。

大和の母

今日はありがとう。
大和も喜んでる事でしょう。
本当にありがとう。

たつや

いえ、当然の事です。

他の三人は涙を拭う事が出来ずにたつやと大和の母の話しを聞いていた。

たつや

なぜ、大和は事故に遭ったんでしょうか？

大和の母

あの子ね、大学を辞めてから毎日毎日、忙しく働いて。

大和の母

何かを忘れれるようにがむしゃらに働いていたの。

大和の母

あの日も、普段よりは早く仕事に出かけて行ったわ。

大和の母

今日は特別な日なんだって。
それだけを言い残して。

たつや

特別な日？

たつや

それはなんですか？

大和の母

それはね、あなたたちの卒業式よ。

大和の母

あの子は卒業祝いをするつもりでがむしゃらに働いて貯金をしていたの。

大和の母

自分のした事で皆んなを混乱にさせ、バラバラにしてしまった。
だから、一足先に社会人になった俺が、アイツらを新卒祝いに旅行に連れて行くってね。

四人は、大和の母の言葉を聞いて返す言葉が出来なかった。

たつや

俺はあいつに酷い事をしてしまった。

たつやがボヤいた。

大和の母

それは違いますよ。
その事があって皆んなを大きくしたのよ。

大和の母

人は誰しも過ちを犯す生き物だから。
その過ちから何かを得て変わる事ができれば、その過ちがいつかきっと笑い話になり思い出話しになるのよ。

たつや

・・・。
そうですね、

ゆうじ

・・・。

ゆき

・・・。

さくら

はい。

たつやの家へと戻った四人は一時間以上無言だった。

たつや

俺が死においやったのかも。

たつや

俺が殺したんだ。

さくら

違うわ。
たつやのせいじゃない。

さくら

それならウチだって、大和が大学を辞めてからろくに連絡しなかった。

さくら

ウチにも責任がある。

ゆき

私にだって。

ゆうじ

俺もだよ。
俺等はアイツを一人にしたんだ。

ゆうじ

アイツの分も強く生きなきゃな。

たつや

あぁ。そうだな。
今更俺等がもめたってしょうがないよな。

ゆき

うん。

さくら

ウチ等で天国で見てくれてる大和に強く生きてる姿を見ていてもらおうよ。

ゆき

うん。

たつや

あぁ。

ゆうじ

そぅだな。
約束だな！

それから10年の月日が流れた。たつやとゆきは結婚し、子供も授かった。

さくらは郵便局で受付の職に付き、ゆうじは市役所で働く公務員になっていた。

それぞれが違う道に進み平凡な毎日が過ぎていた。

さくら

ゆき久しぶり！
元気？

ゆき

元気だよ

ゆき

どしたの？

さくら

近くまで来たからお茶でもって思って！

ゆき

そうなんだ！もうすぐ子供の野球の時間だから、送ったら連絡するね！

さくら

わかった！待ってる！

ゆき

久しぶり！

さくら

久しぶりだよね！
蓮くん元気？

ゆき

元気元気！
今日もたつやとキャッチボールして学校に行ったよ！

さくら

そうなんだ！
蓮くんも野球始めたんだ！

ゆき

そうよ！
まだまだなんだけどね〜。
たつやが張り切っちゃって！

さくら

そうなんだ笑
そうだよね！
自分の夢だった野球選手を託してるのかもね！

ゆき

そうそう！
それが裏目に出なきゃいいけどね！

ゆきたちは束の間の時間を過ごした。

さくら

あっ！そろそろ帰らなきゃ。
またねゆき！

ゆき

うん！またね！

野球の監督

はーい。皆んな集まれ！
今日から学校に転校してきて野球部に入ったヒロトだ。仲良くしてやれよ

一同はい！！

野球の練習も終わり、ゆきは息子である蓮を迎えにきた。その時自分の目を疑った。転校生のヒロトの父親和大は死んだ大和にそっくりだったのだ。言葉を失い固まるゆきに和大は声をかけた。

和大

こんばんは！
はじめまして。
ヒロトの父親の和大と言います。
今日からこっちに引っ越してきました。
よろしくお願いします。

ゆき

はじめまして。
こちらこそよろしくお願いします。

ゆきはたまらず挨拶をした後、その場を去った。

さくら

電話した？

さくら

ごめん気づかなかったの。

ゆき

ううん、いいの。

ゆき

それより大変な事が起きたの。

さくら

大変な事って？

さくら

何？

ゆき

それはね、驚かないでよ。

さくら

うん。何？

ゆき

実は、蓮の野球クラブに今日転校生が来たの。
その転校生の父親が大和にそっくりなの。

さくら

えっ？大和に？

ゆき

うん。

ゆき

どうしたらいいかな？
ゆうじに話すべきかな〜？

さくら

それはひとまず辞めとこ！！
明日ウチも見に行くよ！

さくら

それからの判断にしよ！

ゆき

わかった！
じゃぁ明日また連絡するね！

さくら

うん！
おやすみ！

次の日、ゆきはさくらを連れて野球部の練習を見に行く事になった。

野球の監督

おーい！声出せ！

子供達が元気よくプレーしてる。

和大

こんにちは！
監督、俺も参加させてもらえますか？

野球の監督

おお！熱い父親がはいったね〜！
いいよ！けど怪我だけはせんごと！

和大

分かりました！
ありがとうございます！

子供達と交じり練習をする和大。自分の息子が、転校した次の日という事もあり練習に参加していたのだ。

野球の監督

野球しよった？

和大

自分ですか？
いえ、してませんでした。

野球の監督

なかなかいい動きするやん！
子供達にもいい刺激だよ！

和大

ありがとうございました。

さくら

どれどれ〜？

ゆき

いた、あそこ！

さくら

ん？どこ？

ゆき

あそこ、あそこ！
グランドの中！

さくら

ん？
あっ！
本当だ！

さくら

てか何で練習してんの？

ゆき

さぁ、
でも練習しての見たらますますかぶるんですけど。

さくら

確かに似てるわ！

ゆき

でしょ？どうしよう。

さくら

ひとまず、この事は内密ね！
大和に似てたって子供達の野球には変わんないんだしさ！

ゆき

そうだよね。

たつや

蓮、野球はどうだ？

ゆき

蓮？楽しくやってるみたいよ！

たつや

そうか、ならいいけど！
今が基礎が身につく大事な時だ。

たつや

しっかりサポートしてやろうな！

ゆき

うん。
そうだね。

それから半年が過ぎ子供達の野球大会の日での出来事だった。

和大

中田さん！

ゆき

はい。

和大

明日の配車の件なんですが、子供達を何人乗せて行く事は可能ですか？

ゆき

家はワゴンなので五人大丈夫です。

和大

分かりました。
じゃあまた明日。
よろしくお願いします。

ゆき

よ、よろしくお願いします。

和大

ん？
僕の顔に何かついてますか？

ゆき

いえ、すみません。

ゆき

ある人に似てたまので。

和大

ある人？
と、言いますと？

ゆき

いえ、なんでもないです。
明日はよろしくお願いします。

和大

あっ、はい。
よろしくお願いします。

大会当日、ゆきとたつやは蓮の試合の応援に駆けつけていた。

たつや

蓮はまあまあいい動きしてんじゃん！

ゆき

たつやがいるからよ！
あの子本当にわかりやすいわ。

たつや

そうなのか？
いい顔してプレーしてるな。

ゆき

うん。

和大

こんにちは！

和大

はじめまして！
ヒロトの父親の相沢といいます。
よろしくお願いします。

たつや

な、中田です
はじめまして。
よ、よろしくお願いします。

たつや

おぃ、今の相沢さんの顔みたか？
大和そっくりだったぞ。

ゆき

え、えぇ
私もビックリしたわ。

たつや

お前知ってたの？

ゆき

・・・。

ゆき

黙ってるつもりはなかったけど、
言う事でもないかなって思ってね。

たつや

・・・。
まぁ確かにな。
似てるからって報告まではしないわな。

たつや

変ないい方して悪かった。

ゆき

ううん。
私も誤解されるような事してごめんなさい。

たつや

いいよ！
それより蓮を応援しようぜ！

たつや

蓮頑張れ！
深呼吸な！

ゆき

れーん！！
集中よ！！

ゆき

今日、たつやも大和に似てる父兄さんに逢ったわ。

さくら

えっ？
そうなの？

さくら

それでどうだった？

ゆき

はじめまはビックリしてたんだけど、ちょっと話して会話は終わって子供の応援してたわ。

さくら

そうだったの？
でも、何も無くてよかったじゃん！

ゆき

そうだね！
それが何よりだよね！

さくら

そうだよ！

季節は十二月。冬になり、野球もオフシーズン、練習も室内練習や、休みの日も多くなり、親同士が顔を合わせる機会も減っていった。

和大

中田さんこんばんは！

ゆき

相沢さん・・・。
こんばんは！

和大

買い物ですか？

ゆき

はい、息子のクリスマスプレゼントを買いに。

和大

偶然です。
僕も何ですよ。
何買うか決まってますか？

ゆき

はい、一応候補はバットを。

和大

そうなんですね！
僕も野球用品をあげようと思ったのですが、この辺の良い店を知らなくて。

和大

結局デパートにきちゃいました。

ゆき

そうなんですね！
良かったらご一緒しません？

和大

本当ですか？
助かります！

二人は地元のスポーツ店を周りそれぞれのプレゼントを買って帰った。

ゆき

今日さ、大和似の父兄さんと買い物しちゃった！

さくら

えっ？大和似ってヒロト君のお父さん？

ゆき

そうそう！

ゆき

駅で偶然逢っちゃって。
お互い息子のクリスマスプレゼントを買いに出かけてて。

さくら

そうなんだ。
でも、ゆき？
二人でってのはよくないと思うよ！

さくら

いくら偶然でも、周りから見たらそう思われないかも知れないよ？

さくら

特にたつやはさ！
気をつけないと！

ゆき

そうだね、わかってる。

ゆき

反省。

さくら

わかったならよしとしましょ！

和大

この間はありがとうございました。
息子もとても喜んでくれました。

ゆき

いえ。
こちらこそありがとうございました。

ゆき

それじゃ。

和大

えっ？
中田さん？

和大

中田さん？

ゆきはさくらから言われた事で和大との距離を少し置くのであった。ゆきの中で和大と大和が重なるようになる事を恐れていたからだった。

さくら

はじめまして、相沢さん。

和大

はい？あなたは？

さくら

あっ、すみません。
私、ゆきの、中田の友達の森崎と言います。

和大

あー。
中田さんの！

和大

それで今日は何か？

さくら

はい、今日はゆきの事であなたとお話しがしたくてお呼びだてしてしまいました。

さくら

実は、ゆきが最近貴方に素っ気なくしてるのはある人が原因なんです。

和大

ある人？とは。

和大

どなたですか？

さくら

ゆきが好きな人だった人です。
叶わずに亡くなった人なんですけどね。

和大

好きな人が亡くなったんですか。
そして、僕がその方に似てると。

さくら

はい。

さくらは大学時代ゆきが大和のことを気になっていた事知っていた。そしてその事でゆきが今、大和と照らし合わせてる事を感づいていた。

和大

そうだったんですか。
それで
僕にどうしろと？

さくら

はい、
ゆきと二人っきりでの行動を今後しないようにして頂きたいのです。

さくら

これは、ゆきのためでもあるし、たつや、相沢さんのためでもあります。

さくら

買い物程度かも知れませんが、それを見た他の父兄から見たら変に思われたりするかもしれませんし。

さくら

よろしくお願いします。

和大

分かりました。

和大

以後気をつけます。

ゆうじ

ゆき！久しぶり！

ゆき

ゆうじ〜！
どうしたの？

ゆうじ

近くを通ってさ！

ゆうじ

たつやいる？

ゆき

いるわよ！

ゆき

たつや！

たつや

おぉ！ゆうじ久しぶり
最近全然連絡よかさねで何やってたんだよ！

ゆうじ

まぁいろいろとな！

ゆき

いろいろって何よ？

ゆうじ

俺、今プロ野球のスカウトしてるんだよ！

ゆうじ

社会人野球や、大卒野球を専門にな。

たつや

まじかよ！
スゲェじゃん！

ゆうじ

だろ〜？
そんでよ、ウチのオーナーにお前の話ししたら是非会わせてくれって聞かねんだよ！

ゆうじ

どうだ？
会ってみる気はないか？

たつや

はぁ？俺が？何言ってんだよ！
もう野球から離れて10年以上経つんだぞ。

たつや

そんな俺が今、そんなスゲェ人に会って何話すって言うんだよ！

ゆうじ

俺は別にお前にトライアウトを受けてプロになれなんて言わねえよ。
俺が今探してんのはバッティングピッチャーなんだよ！

ゆうじ

お前の大学時代のあの伸びのあるストレート。
それを活かすのはバッティングピッチャーしかないと思ってよ！

ゆうじ

どうだ？会ってみないか？

たつや

・・。

ゆうじ

返事は一週間待つ。
それから聞かせてくれ。

たつや

わかった。

ゆうじ

いい返事を待ってるぞ。

ゆき

たつや、どうすんの？

たつや

俺にもわかんねぇよ！
頭ん中がぐちゃぐちゃで。

たつや

俺が生きた球投げれたのは大和が居たからだ。

たつや

今の俺には投げられねぇよ。

ゆき

たつや、そんなの皆んなわかってるよ
大和が大学辞めて野球辞めた時、貴方もボールさえ握らなかった。

ゆき

それはあなたと大和が最強のバッテリーじゃなく、親友の二人で一つのバッテリーだったから。それをゆうじもわかった上で声かけたんじゃない？

ゆき

たつやなら大丈夫！
私も応援はするから頑張ろ！
蓮と一緒に挑戦してみようよ！

たつや

ゆき、ありがとう。

たつや

俺、頑張るよ！
蓮のため、お前のために。

そして、球団のオーナーと会う日がやってきた。たつやは10数年ぶりに通すユニフォーム姿でグランドに立った。

球団オーナー

こんにちは、はじめまして！
オーナーの立花ですよろしく。

たつや

はじめまして、中田たつやといいます。よろしくお願いします。

ゆうじ

立花さん、こいつが豪腕ピッチャーだった中田です。

球団オーナー

豪腕か、10数年のブランクは大きいはず。今日は面接ではなく魂のはいった一球を私に見せてください。

たつや

はい、よろしくお願いします。

そして、ブルペン入りしたたつやは打者を立たせて投げ込んだり、球団のテストは一時間にも及んだ。

球団オーナー

よし、こんなもんだろ。

球団オーナー

合否は一週間後、手紙で通達します。

たつや

はい、分かりました。
よろしくお願いします。

ゆき

お帰り！！
どうだった？

たつや

うん！思ったより緊張はなかったよ！

たつや

球も走ってたし、
良かったんじゃないかな？

ゆき

そうなんだ！
お疲れ様でした。

そして、一週間後。球団からの通知がきた。結果は見事合格だった。

ゆき

おめでとう！！
本当におめでとう！！

たつや

うん！
良かった。

たつや

本当に良かった。

ゆき

蓮もきっと喜ぶわ！
今日はお祝いね！

球団からの連絡で初仕事となる今日はとても良い天気で晴れの日のたつやを祝福してるようだった。

球団関係者

中田さん！
今日はこの選手に投げてください。

たつや

はい、分かりました！

球団関係者

通算153ホーマーのウチの４番です。

たつやは心臓の鼓動が早まるのがわかった。目の前には凄まじ勢いのオーラーを放つ球界きっての打点王だったからだ。

たつやは意を決して一投目を投げる。カキーンっと渇いた音が球場を鳴り響く。

二投目、三投目とリズムよく投げ込むこと30球目ロージンパックをつけそこねたたつやの放り投げた球は汗で滑り打者のインコースに向かっていく。打者は思わず外側に踏み込みバットを振り抜く。その瞬間バットに当たった打球はたつやの頭めがけて飛んでいった。どさっと言う音をたてながらたつやは倒れ込んだ。

球団関係者

中田さん大丈夫ですか？

球団関係者

中田さん！

たつやは俯いて倒れ込んだまま動かない。反応もない。グローブにはたつやの頭に当たった時の血が付いていた。

球団関係者

中田さん中田さん！
誰かタンカを持って来て。

球団関係者

早く、早く

現場は騒然とし不穏な空気に包まれる。そのままたつやは病院に運ばれた。中田さん、中田さんと言う看護師の呼びかけにも応答はない。頭から血を流し目を瞑ったまま医師の懸命な治療も虚しく、たつやは息を引き取った。

球団と病院からゆきの元に連絡が入った。

ゆうじ

ゆき、ごめんな。
俺がこんな事進めなければ・・。

ゆき

ううん・・。
ゆうじのせいじゃないよ。

ゆき

私も乗り気で進めてたし、
何よりたつやも目標見つけて生き生きしてたんだよ。

ゆき

最近は家族の為に働いて、働いてって言う毎日だったし。ゆうじにはお礼しかないよ。

ゆうじ

本当にごめん。

ゆうじ

結果が結果だけに俺にも責任があるよ。

ゆき

ううん。
大丈夫。

ゆき

今は蓮のために前向くしかないよ。

ゆうじ

・・。
そうだな。
すまない。

初七日も過ぎ。四十九日も済んだ頃。季節は春になり、少年野球も新チームになり始動していた。

和大

中田さんお久しぶりです。

ゆき

あっ。
相沢さん。
お久しぶりです。

和大

残念でしたね。
お悔やみ申し上げます。

ゆき

ありがとうございます。
四十九日も過ぎ、やっと落ち着く事ができました。

ゆき

蓮も、やっと父親がいない事が少しずつですが慣れて来たのかなっと思います。

和大

そうですか。
子供は素直な時もありますが気持ちを上手く言えず隠す事もありますからわからないですよね。

ゆき

そうですね。
でも、私が前を向いて頑張らないとダメですから。

和大

無理はしないでくださいね。
もし、僕に出来る事がありましたらなんでも言ってください。

ゆき

ありがとうございます。

さくら

ゆき〰︎！
お疲れ！

ゆき

さくら、久しぶり！
どうしたの？

さくら

蓮君元気かな〜って思ってさ！！

ゆき

蓮⁇
蓮は元気だよ！
今までより野球に打ち込んでみるみたいだよ！

さくら

そうなんだ！
あんたはどうなの？

ゆき

私？
私は相変わらずだよ。
いつもと一緒！

ゆき

でも、何で？
何でそんな事聞くの？

さくら

ううん。

さくら

私はゆきが心配だったからさ。

ゆき

・・・。

ゆき

実は、まだあの人が気になっててね。

ゆき

たつやには悪いっては思うんだけど。

さくら

やっぱりね！
そう思ってたよ！

ゆき

えっ？なんで？

さくら

ゆきとはもう10年以上の付き合いなんだよ⁇こう見えてもゆきの事はわかってるつもりだよ。

ゆき

そうなんだ。
なんか恥ずかしい。

ゆき

そんな事してる場合じゃないんだけどね。

さくら

そんな事って？

さくら

ゆきは蓮のために頑張ってんだから、する事ちゃんとしてるんならいいんじゃない？

ゆき

たつやに悪いよ。
世間はそうは思わないよ。

さくら

ゆき！
世間なんてどうだっていいじゃん

さくら

世間はゆきをどうこうだの関係ないんだし。

ゆき

・・・。

ゆき

今はまだ気持ちの整理がついてないし。さくらの考えすぎだよ！

ゆき

でも、なにかあったら連絡するから。

さくら

わかった！
なんでも言ってね！

ゆき

うん！

和大

監督、お疲れ様です！
今日も練習に交ぜてもらっていいですか？

野球の監督

いいよ！どうぞどうぞ！
必死に球を追う姿を子供達にみせてやって！

和大

はい！
ありがとうございます。

和大はいつものように野球の練習に交ざり子供達と楽しく野球をしていた。そんな姿をゆきは見つめ、大学時代の大和と照らし合わせていた。

和大

中田さんこんにちは！
今日は暑いです！
まだ春なのに、これじゃ夏が思いやられますね。

ゆき

相沢さんこんにちは、
今日も頑張ってたんですね！
本当に暑いですよね！

ゆき

でも、相沢さんが野球をしていると子供達も笑顔で楽しそうですよ。

和大

本当ですか？
いや、中田さんにそんな事言ってもらえて嬉しいです！

和大

僕が自身が野球をあんまり知らなくて、プレーしながら覚えてる感じです！

野球の監督

そーゆー姿勢が子供達には嬉しいんだろうね！

野球の監督

子供の成長は親次第！
だから！
家でもキャッチボールとかしてやるとますます上達するよ！

和大

はい、ありがとうございます！
頑張ります！

ゆき

そうですね！
ヒロト君も絶対嬉しいと思います。

二人は野球を介し自然と会話が増えて行った。そうする中で家庭の話しや学校の話し。プライベートな話しまでするような仲になり、ゆきは和大が父親で一つヒロトを育てているのを知り、ますます和大に惹かれるようになった。

そして、新チームになり最後の試合が終わる季節、クリスマスが近づいていた。和大は子供のプレゼントを買いに出かけていた。

和大

ふー。寒いな〜。
早く帰ってヒロトにあいてぇな。

ゆき

相沢さん？

和大

中田さん。
こんばんは！

ゆき

お買い物ですか？

和大

はい。
ヒロトのクリスマスプレゼントを買って帰ろうとしてました。

ゆき

そうなんですね！
たしか去年も会いましたね！

和大

そうでしたね！
２年連続で会うなんてすごい偶然ですね！

ゆき

本当ですね！
すごい偶然ですよね！

和大

はい！
中田さんこそ買い物ですか？

ゆき

いえ、私は友達と待ち合わせです。

ゆうじ

ゆき！ごめんごめん！

ゆき

ゆうじ！遅いじゃん！

ゆうじ

ごめんごめん。
仕事長引いてさ！

和大

こんばんわ！

ゆうじ

こんばんは！

ゆうじ

⁉︎
大和・・？

和大

私、中田さんのお子さんと一緒の少年野球チームに入ってる相沢といいます。

ゆうじ

あっ、どうも。

ゆき

そうなの！
蓮と同じチームの父兄さんなの。

ゆうじ

そっ、そうなんだ。
ちょっとびっくりした。

和大

それじゃ、私はここで。
失礼します。

ゆき

あっ！

ゆき

はい、それではまた。

ゆうじ

失礼します。

ゆうじ

…。

ゆうじ

びっくりした！

ゆき

なにが？

ゆうじ

相沢さん、
大和にそっくりだろ！

さくら

おーい！

ゆき

さくら〜！
遅い遅い！

さくら

ごめーん。
めっちゃ混んでてさ。

ゆうじ

お前遅過ぎ！

さくら

ゆうじもごめんね！

さくら

てかさ、さっきの相沢さんじゃなかった？

ゆうじ

お前知ってんの？
会った事あんの？

さくら

あるよ！
一年位前だったかな〜。

さくら

ゆきに言われて、ウチもびっくりしてて。

ゆうじ

だろ？俺もびっくりだよ！
思わず大和っつってしまったよ。

ゆき

二人共！！
その話しはいいから早く行こう！

ゆうじ

あっ、あぁ寒いし行こうか！

さくら

そうだね！行こう！

和大

この間はどうも。

ゆき

相沢さん、こんにちは。

ゆき

今日は練習に参加されないんですか？

和大

はい、今日はそんな気になれなくて。

ゆき

そうなんですか。
何か顔色悪いようにみえますけど。

和大

そうですか？
気のせいだと思います。

和大

今日はこれで失礼します。

ゆき

はい、お疲れ様でした。

ゆき

さくら、お疲れ！

さくら

ゆき、どうした？

ゆき

ううん。
今日相沢さんに会ったんだけど、なんか様子が違うくてさ。

さくら

違うってどんな？

ゆき

なんか、私にだけ素っ気ないって言うかさ。

さくら

考え過ぎじゃないの？
何でそう感じたの？

ゆき

この前、さくらが来る前ゆうじと待ち合わせしてたのを見られてからだから変に思われたのかも。

さくら

えっ⁇
でも、ウチも居たじゃん！

ゆき

さくらは相沢さんがかえった後に来たから多分相沢さんには見えてないんじゃない？

さくら

そっか。
でも、それで、相沢さんが何でゆきに冷たくするの⁇

ゆき

それは、私がたつやを亡くして時間経たない内に男と会ってるって思われたのかも。

さくら

考えすぎだって。

ゆき

それだといいんだけど。

さくら

とりあえず、様子見てみたら？

ゆき

うん、そうする。

さくら

うん！
じゃ、またね！

それから、子供の野球も冬休みに入ることになった。ゆきは和大と会話する機会も少なくなり、和大の思いが分からずに居た。

ゆき

あの〜。

和大

はい？
あっ、中田さん！
こんにちは！

ゆき

こんにちは！

和大

今日が今年ラストの練習なんですよね。何かあっと言う間に時間が過ぎたような気がします。

ゆき

そうですね、
あっと言う間でしたね。

ゆき

息子達も、小学校で野球をする最後の年になりましたね。

和大

そうですね、監督にはいろいろご指導いただき感謝ですよ！

ゆき

そうですね、
監督ですね！

ゆき

ところで、ヒロト君には毎年どんな形でクリスマスプレゼントあげてるんですか？

和大

クリスマスプレゼント・・。ですか？

和大

そうですね〜、ヒロトが寝た頃にこっそりと枕元に置く感じですかね！

ゆき

そうなんですかね！

ゆき

家と一緒ですね！

ゆき

今年は旦那が居なくてどうしようかと思ってたんですが。

ゆき

良かったら一緒にクリスマスパーティーしませんか？

和大

クリスマスパーティーですか？

ゆき

はい、場所は家で良ければ！

和大

・・・。

和大

彼氏さんとしなくて大丈夫ですか？

ゆき

えっ⁇

ゆき

私、彼氏居ませんけど。

和大

えっ？
あの人彼氏じゃなかったんですか？

ゆき

ゆうじの事ですか？

和大

はい。

ゆき

ゆうじはただの幼なじみで、あの人は毎年幼なじみの中で集まる日にしてたんです。

和大

そうだったんですか。
僕はてっきり彼氏さんかと思いました。

ゆき

いやいや、そんな事はないですよ。

和大

そっか。
良かった。

ゆき

えっ？

和大

あっ、嫌、その・・。

和大

ク、クリスマスパーティーしましょうか！

ゆき

あっ、はい。
家でいいですか？

和大

全然大丈夫です！
寧ろありがたいです！

和大

家は男二人だけの暮らしだから散らかしっぱなしで。とてもお客さんを呼べるような所じゃないから。

ゆき

笑

ゆき

そんなの気にしないのに。

ゆき

分かりました！
じゃクリスマスの日おご馳走作ってお待ちしてますね。

和大

ありがとうございます！
本当に楽しみだな！

ゆき

さくら！こんばんは！

さくら

こんばんは！どうした？

さくら

何かいい事あった？

ゆき

うんとね〜、
今度相沢さんとクリスマスパーティーする事になったの。

さくら

えっ！！

さくら

急な展開！！
何があったの？

ゆき

やっぱ相沢さんは私とゆうじの関係を誤解してたの。

さくら

それで？

ゆき

私が誤解ですよって言ったら納得してくれたみたい。

さくら

そうだったんだ！

さくら

でも、良かったね！
誤解が解けて！

ゆき

うん！！
私の家でするから手料理頑張らなくちゃ！

さくら

そうなの？
やるじゃんゆき！

さくら

頑張れ！！

ゆき

ありがとう！

ゆき

たつや、どう思うかな？

さくら

たつやはゆきの幸せを第一に思ってると思うよ！

さくら

たつやが亡くなっても、自分の事より蓮君のことを頑張ってたし。
周りが遊んでるの知ってるのに、ゆきは遊びにも行かず、ずっと蓮君のそばにいたじゃない。

さくら

たつやはわかってくれるよ！

ゆき

そうかな〜？

ゆき

それだと良いけど。

さくら

大丈夫！！
今度ウチがたつやのお墓のまえで話しとく！！笑

ゆき

笑

ゆき

ありがとう！

ゆき

さくらはずっと私の大切な親友だよ！

さくら

何よいきなり！
そんなの当たり前でしょ！

ゆき

うん！

ゆき

じゃあまた連絡するね！

さくら

あいよ！！
頑張れ！！

さくら

おやすみ！！

ピーンポーン。今日はクリスマスパーティーの日ゆきは手料理を並べ準備していた。

ゆき

はーい！

ゆき

蓮！お迎えして！

和大

こんばんは！
お邪魔します。

ゆき

どうぞ。汚い家ですけど。

和大

全然！
寧ろ綺麗すぎません？

ゆき

そうですか？
ありがとうございます。

クリスマスパーティーが始まり、食事しながら色んな話しをした。野球の話しやこれから中学の話し。色んな話しをしている内に時間が午後１０時を過ぎたようとしていた。

和大

そろそろ帰ります。
長居してしまってすみません。

ゆき

えっ？
私は大丈夫ですけど。

ゆき

子供達も寝ちゃったし。
今日は泊まって行きませんか？

和大

えっ？
それはまずいですよ！

和大

他の父兄に知れたりしたら、とんでもない事になりますし。

和大

その事で、子供等にも迷惑かけてしまうかも知れませんし。

ゆき

そうですね。

ゆき

すみません、変な事言ってしまって。

和大

いえ、僕も嬉しかったです。
今日はありがとうございました。

ゆき

こちらこそありがとうございました。

そして、和大はヒロトを担ぎ家を後にした。

ピコーン和大の携帯が鳴った。

ゆき

今日はありがとうございました。

ゆき

とても楽しかったです。

ゆき

また次も食事しましょう。
おやすみなさい。

和大

こちらこそ今日は何から何までありがとうございました。

和大

また機会がありましたらよろしくお願いします。

ゆき

はい。

ゆき

あの、周りの目を気にせずに会える方法ってないんでしょうか？

和大

周りの目を気にせずに会える方法ですか？

和大

例えば、チーム全体で会ったりとかですか？

和大

他の方法は・・。

ゆき

真剣にお付き合いしていたら・・。
とかですか？

和大

そうなりますよね！
それだったら他人からの目も気にならないと思います。

ゆき

そうですね。

ゆき

そうなれたらな。

和大

えっ？

和大

それは僕とですか？
それとも僕が大学時代に亡くなった中田さんの好きな人に似てる僕にですか？

ゆき

最初はそうでした。

ゆき

相沢さんが野球してる姿を見るたびに、彼を照らし合わせてる自分も居ました。

ゆき

でも、相沢さんと付き合って行くたびに、少しずつ惹かれて行ったのかも知れません。

ゆき

真剣に、私とお付き合いしていただけませんか？

和大

そうだったんですか。

和大

実は僕も中田さんの事が気になっていました。

和大

中田さんが練習を見に来るたびに、頑張ってる自分がいました。

和大

こんな僕で良ければ、
よろしくお願いします。

ゆき

本当ですか？

ゆき

すごく、すごく嬉しいです。

ゆき

こんな私をよろしくお願いします。

こうして、二人は付き合うようになり。子供達も無事に小学校を卒業した。それから２年が過ぎた頃。二人にある出来事ができた。

ゆき

ん、、、。

ゆき

気持ち悪い。

和大

ゆき、どうした？

和大

大丈夫か？

ゆき

ちょっとトイレ行ってくる。

和大

まさか。

和大

赤ちゃんできたんじゃ？

ゆき

・・・。

ゆき

そうなの。もう3か月の赤ちゃんが居るの。

和大

本当に？

ゆき

うん。

ゆき

嫌いにならないの？

和大

なんで？

和大

なるわけないだろ！

和大

俺等の子供だろ⁇
嬉しいに決まってんじゃんか！

ゆき

本当に？

ゆき

喜んでくれるの⁇

ゆき

すごく嬉しい。

和大

何言ってんだよ！
当たり前じゃんか！

和大

俺達、結婚しよ！

和大

たつやさんもきっと喜んでくれるとおもから！

ゆき

嬉しい。

ゆき

私、嫌われると思ってずっと言えなかった。

ゆき

もし、嫌われて、お腹の赤ちゃんに会えなかったらって考えると、夜も眠れなくて。怖くて怖くて言えなかった。

ゆき

私、お腹の赤ちゃんを抱きしめる事や、抱っこしてあげる事、おっぱいを飲ませてあげる事、そんな当たり前の事が出来ないって思ってた。

ゆき

和大さん、本当に私でいいんですか？
こんな、取り柄もない私でいいんですか？

和大

勿論。
ゆきがいい。
ゆきじゃなきゃ、だめなんだ。

和大

ヒロトも、蓮も、産まれてきてくれる赤ちゃんも。ずっと俺の宝物だ。

和大

ゆき、俺と結婚してください。

ゆき

…。

ゆき

はい、よろしくお願いします。

ゆきと和大の間に小さな命が芽生えて、それが二人の結婚を後押しした。結果がどうであれ二人は夫婦となる事をきめ、共に歩み共分かち合う事にサインした。

それから数ヶ月。二人は結婚し結婚式を挙げた。その日は快晴で二人の祝福を天国にいる幼なじみも祝福してるように思えた。

さくら

おめでとう！

ゆうじ

おめでとう！

大和の母

おめでとう！

ゆき

ありがとうございます！

野球の監督

おめでとう！

和大

ありがとうございます。

球団オーナー

おめでとう！

ゆき

ありがとうございます。

和大

ありがとうございます。

そして、チャペルの牧師の言葉で二人は正式に夫婦になった。

牧師の言葉いかなる時も、あなた達二人はお互いを必要とし助け合い共に生きることを誓いますか？これからどんな困難があろうとも二人で立ち向かい生きることを誓いますか？誓えるならココにお互いの名前のサインをお願いします。今ここに、二人を夫婦とし指輪の交換を二人が永遠に夫婦とした事を誓いアーメン

ご愛読ありがとうございました。