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とある都会の路地裏
息の荒い女性
息を切らしながら走る。時々後ろに振り返り、“奴”が来ていないかどうかを確認する。
息の荒い女性
走りすぎて汗が出たのか、折角整えた化粧が剥げていく。
息の荒い女性
こうなった理由には思い当たる節がある。だが、それは私のせいではない。
息の荒い女性
私だって悪かったかもしれない。でもこんな事をしている奴らは、私以外にもごまんといる。開き直りではないが、そいつらが罰せられないのはおかしい。
息の荒い女性
???
後ろから聞こえた声にゾッとした。ゆっくり視線だけを送る。そこにいたのはフードを被った平均身長の若者だった。
息の荒い女性
恐怖からか腰を抜かしてしまった。逃げられない!
息の荒い女性
???
私の必死の叫びに、冷静かつ淡々とした声が鼓膜を揺らす
息の荒い女性
???
息の荒い女性
???
スラっと音がして銀色のナイフが刀身を見せる。私は今自分に起こりうる状況に青ざめた
息の荒い女性
悪あがきのようにそう言って私は鞄から通帳を取り出すと目の前の若者に向かって投げつける。
???
息の荒い女性
???
???
息の荒い女性
ホッと胸を撫で下ろす。恐怖の一部が抜けた感覚がする。そして若者に気づかれないように鞄で顔を隠す。
???
息の荒い女性
私は若者に気づかれぬよう携帯を取り出す。110…警察の番号になるよう打っておく。
息の荒い女性
心の奥底でニヤッと微笑む。我ながら悪どい性格をしている。
息の荒い女性
息の荒い女性
思いっきり床を蹴って走り出す。こいつは油断したのか一瞬チラッとだけ後ろを見た。
トゥルルルルル…ガチャ
警察官1
息の荒い女性
警察官1
息の荒い女性
警察官1
ガチャッ…ツーツー
息の荒い女性
息の荒い女性
突然、目の前に赤い液体が飛び散る。私は急な脱力感に襲われてその場に倒れた。
息の荒い女性
ドサッ…
???
???
???
息の荒い女性
どうやら喉を斬られた。しかも声が出ないところを見ると声帯ごと斬ったのだろう。朦朧する意識の中フードを被った若者の目は蔑んでいた。そして私の意識はそこで途切れた。
???
ナイフについた血を器用に壁に飛ばす。
???
ウーーーウーーーー
???
警察官1
警察官2
警察官1
警察官2
壁と壁の間を壁キックしてビルの屋上まで登る。やっと駆けつけた警察があたふたとしているのを高みの見物のように眺めていた。その様子は実に滑稽だ。しかし狙ったかのように携帯が振動した。取り出して確認してみる。
???
送信
赤城悠
送信
スマホを切ってポケットに入れる。下でぞろぞろと警察官が集まってきていた。見つかる前に去るとしよう。
シュタッ
その頃下では
警察官1
警察官2
警察官1
死体のすぐ隣の壁に血と思われる赤い液体で、「Deadly」と書かれていた。
警察官1
警察官2
その頃僕は、都市の最大級のタワーが見られる場所で一休みしていた。
そういえば…自己紹介がまだだったね。僕の名前は赤城悠。この腐った社会から弱者を救う者であり、
イノセントギルティ(罪のない罪)を背負って生きる者だ。
プロローグ END