パルフェと名乗った、
この子の瞳。
嘘が無くて、
嫌というほど、
真剣なのだと、
分かってしまう。
アンブル
少しだけ、
僕の話をしようか。
アンブル
歳は、
数え間違えていなければ
97歳になる。
パルフェ
魔力を体に循環させるのが
上手いんですね。
アンブル
君のお母さんには
負けるよ。
パルフェ
はい。
もう1000年近くは
生きているそうです。
アンブル
わぁお……。
魔力循環。
魔力の高さ、
そしてコントロールの上手さ
が物を言う。
長生きの魔法使いほど、
高尚な存在と言える。
アンブル
話を続けようか。
アンブル
僕は自分勝手な理由で
家から逃げてきてね。
自分の魔力をできるだけ
隠しながら生きてきたんだよ。
アンブル
人形造りは、
暇潰しに始めたんだ。
パルフェ
独学なんですか?
アンブル
お店で、綺麗だな
可愛いな、って思った
人形を参考にしながらね。
パルフェ
天才ですね!
アンブル
やめてくれ。
アンブル
思うように
造れるようになったのは、
何年経った頃だろう。
アンブル
上手くできた。
そう思った瞬間、
アンブル
気づいたらその人形の
胸を貫いて、
脚も壊していた。
アンブル
なんでこんなことしたんだろう。
そう思うのに。
その姿が、一番…………。
美しく見えるんだ。
パルフェ
それが、
ここにいる人形たちに対する
先生の愛し方なんですね。
アンブル
なにそれ。
アンブル
こんなの虐待だろ。
アンブル
相手が、
人間や
動物じゃあないだけ。
パルフェ
確かに特殊ですけれど、
僕はそれで
貴方を嫌いになったり
しませんよ。
アンブル
君のその右脚。
パルフェ
え?
アンブル
僕も義足を造ってあげようか。
パルフェ
!?
アンブル
それを装着した瞬間、
きっと僕は
パルフェ
ボクは貴方になら
何されても嬉しい。
パルフェ
けど、それじゃ
アンブル様、
貴方は傷つくし、
苦しい思いをする。
パルフェ
さすがにそれは
ボクも望んでいません。
アンブル
諦める気になった?
パルフェ
まさか!
ボク、強くなります。
貴方に、壊されないくらいに!
アンブル
は?
パルフェ
弟子になる充分な理由
になりませんか?
パルフェ
ボク、アンブル様に
義足を造ってもらう、
つまりは認めてもらうために
頑張ります。
アンブル
様付けやめてよ。
じゃなくて、
パルフェ
アンブル先生、
改めて、よろしくお願いしますね!
アンブル
もうこれ、
負けを認めるしかない
展開…………。
再び、見つかったのが、
運の尽き、
かもしれない。