かえで
なんでよ!
お父さん
かえで、ごめんな
お父さん
かえでの大好きなお菓子売り切れてた。
お父さん
でもかわりに、、
かえで
かわりなんていらない。
お父さんなんて大嫌い
お父さんなんて大嫌い
これは私が小学3年生の時。 大好きなお菓子をお父さんに買ってきてもらう約束をしていた。
お母さん
かえで、それじゃいや?
かえで
いや
私は自分の部屋に入った。 大きな音でバタンとドアをしめた。
お母さん
困ったなぁ
お父さん
はぁ隣町まで行ってくるか
お母さん
あら、大丈夫?
お父さん
おう
ピーポーピーポー
かえで
なんの騒ぎ?
お母さん
か、かえで
部屋から出てきたらお母さんが泣いていた。
かえで
お父さんは?
お母さん
救急車で運ばれたよ
母は泣きながらそう言った。
そして、病院へと向かった。
お母さん
お父さん!
かえで
お父さん大丈夫?
かえで
あ!かえでの大好きなお菓子!
お父さん買ってきてくれたんだ。
お父さん買ってきてくれたんだ。
その事をいうとお母さんはまた泣き出した。
お母さん
最後までいいお父さんでいてくれたね。
かえで
最後?どういうこと?
その翌日お父さんは亡くなった。 今思うとバカだ。私は。 お父さんがかわりを買ってきてくれたのに・・・。それなのに私は。 自分が許せない。
その日から何日泣いただろうか。 その日から9年がたった。
かえで
お父さん
かえで
私、高校卒業したよ。
それで一人暮らしするんだ。ちょっと寂しいけど、頑張る
それで一人暮らしするんだ。ちょっと寂しいけど、頑張る
私はお墓参りにいった。
かえで
だから少しこの町にはこれなくなるかも。少しバイバイだね。
でね、名門大学に合格したよ。
さよなら
でね、名門大学に合格したよ。
さよなら
そのとき風が吹いた。 そして、お父さんが「おめでとう、頑張れ」と聞こえた気がした。
かえで
お父さんじゃあね
私はその場を去った。
お父さん
かえで、大きくなったね
お父さん
さようなら
お父さん、ありがとう