司
……
もうすでに家には誰もいなかった。 今日は休日か?ああ、土曜日か。
司
…えむに会いたい。
は?オレ今なんて言ったんだ? えむに会いたい?ふざけるな。 とりあえず朝食を済ませよう。
司
なににしようか…
だらだらと朝食を食べ終わったらもうすでに7時。学校の支度をする時間だが今日はなになくてな。フェニックスワンダーランドも今日は点検らしい。
司
…はあ
やることがなくまたため息を吐く。
えむ
殺して
司
ッ…!
いますぐえむに会いたい。いや、 会わなくてはいけない。
司
これ以上えむを殺したくない…
スターじゃない。こんな顔。 普段みんなの前ではしない顔。
司
えむ…
オレに殺される時のえむの顔は──
愛おしいほど狂っていた。
…………
意味もないのに制服で歩いている。 今日は本当に何も無い。
土曜の昼に制服でだらだら歩く男がいるか。ふつうは私服だろ。
司
はぁ…
路地をぬけた先に、ただひとりたっている少女がいた。
司
……あ、
司
えむ…?
えむ
司くん?
司
お、はよう。
えむ
うん、おはよぉっ
今日は土曜だよな?なぜえむも 制服なんだ?訳が分からん。
司
えむ、これからどこか行くのか?
えむ
でんしゃ!
ゾワッ
えむ
司くんが殺してくれないなら駅のホームで飛び降りるね。
司
ダメだ!!!!
えむ
?!
大きい声を出してしまったと 自分でもわかった。
司
き、ょう、は、オレ、オレとデートするぞ。
えむ
…ほえ?
…は?オレ、デートと言ったか?
司
あ、いや、その。
えむ
デート、するの?
えむ
あたし今制服だよお…
司
いやいつもと変わらんだろ。神高来る時も制服だし。今更どうだっていい。
えむ
たしかに!
この笑顔のえむは今日見る夢でまたリセットされるんだな。
司
ところでどうして電車…?
えむ
あー…用があったんだけど、司くんと<デート>だし明日にしよっ!
司
忘れてくれ…デートじゃないぃ…
えむ
デートじゃないならあたし帰ろっかな…
司
それはやだ
えむ
ふへへ、あたしも
行くあてもなくただ歩くこの道はやけに光ってるように見えた。