やっぱりほんとは

今日は４人で集まって動画撮影をする日。朝方になる前に全てを終わらせたいのに、俺たちは相変わらず撮影前にダラダラと話し込んでいる。

今はガッチさんとレトルトが別の部屋でパソコンをいじりながらデバイスについて語り合っているようだ。

俺はというと、キヨとバカ話をして盛り上がっていた。毎度毎度話題に尽きないなんて、すごいよなぁ。俺はキヨと相性がいいのかもしれない。まぁ嫌いだったらこんなに長く一緒にいないよな。

だから俺は……

え、俺なに口走ってんの？ 『好きかも』じゃねぇよ、恋する乙女かよ！恥ずかしすぎ……///

こいつ、なんなん！？ どういう気持ちで言ってんだよ！俺のこといじってんのか！？

ぐいっ

急に腕を引っ張られて体勢を崩した瞬間、耳元で囁かれた言葉が俺の身体を瞬時に熱くした。……いや、発火させた。

ドタドタッ

別部屋

恥か死しそうだった俺はとにかく逃げたくて勢いよく部屋を出た。

てか、俺はなんでこんなに狼狽えてるんだろうか。何に怒っているんだろうか。……なんで、キヨの顔が見れないんだろう……。

嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい

ん……？ 嬉しい……？

俺もうっしーのこと好きだよ

キヨのあの言葉は、動画を撮り終えたあと数日間頭の中から消えなかった。ずっとモヤモヤしててぎこちない態度の俺に、キヨはいつも通り笑いかけてくれる。

でも、ふとあいつを見ると、時折寂しそうな顔をしている時がある。

そんな表情をするのは、俺が自分自身の気持ちに素直になっていないから……？

……俺、気付いたよ

キヨのこと、好きかも

END