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LINE1007

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LINE1007

1 - あ

♥

36

2023年08月14日

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トウジ

おい、今日の弁当はどういうことだよ

ハル

え? 何か問題でもあった?

トウジ

問題しかねーよ

トウジ

クソまずかったぞ

トウジ

汗水垂らして金稼いでる旦那様にクソまずい弁当食べさせるとか、ふざけてんのか?

ハル

私が味見した時は、普通においしかったんだけど…

トウジ

口答えすんな

トウジ

それはお前の味覚がバカだからそう感じただけだろ

トウジ

俺がまずいって言ってんだから、まずいんだよ

ハル

ごめんなさい…

トウジ

ホントお前は何やってもダメだよな

トウジ

2年も専業主婦やってるとは思えないよ

トウジ

そもそもお前は子供も産めない欠陥品なんだから、

トウジ

せめて家事くらいは完璧にやれよな、このグズ

ハル

努力はしてるんだけど…

トウジ

その努力が結果として出てないから言ってんだよ

トウジ

結果を出さなきゃ意味ないの

トウジ

分かる?

ハル

はい…

トウジ

夕飯はちゃんとしたもん作っておけよ

トウジ

またまずいもん作ったりしたら、タダじゃおかないからな

トウジ

あと分かってると思うが、掃除も手を抜くんじゃないぞ

~数時間後~

トウジ

おいノロマ

トウジ

お前、トロトロと何やってるんだよ

ハル

え、何?

トウジ

何、じゃないだろ

トウジ

外見ろ、雨降ってるだろーが

ハル

うん、そうだね…?

トウジ

そうだねじゃねーよ

トウジ

雨降ってるんだから傘くらい持って来いよ

トウジ

全く気がきかねーな

ハル

えぇ…

ハル

傘くらいコンビニで買って帰ればいいじゃない

トウジ

はぁ?

トウジ

ノロマのくせに、俺に口答えするのか?

ハル

別にそういうつもりじゃないけど…

トウジ

もういいよ

トウジ

お前に期待した俺がバカだった

トウジ

今日はタクシー使って帰るから、お前、着いたら支払っとけよ

ハル

えっ? 何でタクシー?

トウジ

あぁ、言ってなかったっけ?

トウジ

今日は外でメシ食うことになったんだよ

ハル

そんな急に…もうご飯二人分作っちゃった後だよ?

ハル

それにタクシーって…そんなに遠くまで食べに行くつもりなの?

トウジ

急遽、取引先の接待で外食することになったんだよ

トウジ

しょうがないよな俺には仕事の付き合いってもんがあるんだから

トウジ

お前みたいな専業主婦とは違ってさ

トウジ

あーあ、専業主婦サマはいいよなー

トウジ

家で適当に家事やってるだけで暮らしていけるんだもんなー

ハル

それは、トウジが仕事辞めて専業主婦になって欲しいって言うからそうしてるんじゃない

トウジ

はぁ?

トウジ

専業主婦やらせてもらってるクセに、また口答えかよ

トウジ

大体仕事なんかしてたら、お前、家事をおろそかにするだろ

ハル

おそろかって…

ハル

そりゃ、共働きなら家事は折半して欲しいとは思うけど

トウジ

それは合理的じゃないだろ

トウジ

男と女じゃ、男の方が収入多いんだから

トウジ

それだと俺に負担が多くかかるだろ

トウジ

だったらお前が仕事やめて、俺が稼いだ方がまだマシだ

トウジ

そんなことも分からないのかよ、頭悪いな

トウジ

それにお前はトロくさいんだから、仕事したって周りに迷惑かけるだけだ

トウジ

現に専業主婦の仕事すらロクに出来てないじゃねーか

トウジ

俺、そんなに難しいことを要求してるか?

トウジ

夫を立てつつ、家事をしっかりしろって言ってるだけだろ

ハル

何かトウジ、変わっちゃったよね

ハル

昔はもっと優しかったのにな…

トウジ

お前がしっかりしてたら俺は今でも優しくできてたんだけどな

トウジ

とんだ貧乏くじだよ

トウジ

まぁこんなに何もできない女、俺以外、貰ってやれるヤツいないだろうけどな

トウジ

そう思うと俺って、お前の夫ってだけで社会貢献してるよな

ハル

そっか…分かった

ハル

今までごめんね

トウジ

そうそう、お前はそうやって謙虚にしてればいいんだよ

ハル

私たち、離婚しよう

トウジ

はぁ?

ハル

トウジは私に迷惑してるんだって、よく分かった

ハル

私も、もうトウジの暴言には耐えられない

ハル

離婚届はテーブルに置いておくから

ハル

じゃあね、バイバイ

トウジ

お前、何バカなこと言ってるんだよ

トウジ

おい?

トウジ

返事しろ

トウジ

ふざけんな

トウジ

許さないからな

~次の日~

ナツミ

ハル、家出したって本当!?

ハル

あ、ナツミ、久しぶり

ハル

実はそうなんだ

ハル

トウジから聞いたの?

ナツミ

うん、そうだよ

ナツミ

ちょっとケンカして、それでハル、家を出ちゃったんでしょ?

ナツミ

何が原因でケンカしたのかは分からないけど、帰ってあげなよー

ナツミ

トウジくん、可哀そうなくらいションボリしちゃってるよ?

ハル

あぁ…会社ではそんな感じなんだ

ハル

私を悪者に仕立てようとしてるのかな

ナツミ

どういう意味?

ハル

私は別に、ケンカしたから家を出たわけじゃないの

ハル

結婚してから私に対する暴言がひどくてさ

ハル

今までずっと耐えてきたけど、もう限界

ハル

だから離婚するつもりで、離婚届け置いて家を出てきたのよ

ナツミ

ウソ、あの穏やかなトウジくんに限ってまさか…

ハル

外面だけはいいからね、あの人

ナツミ

お弁当だって毎日おいしいおいしいっていいながら食べてるし

ナツミ

それにハルの話になるとノロケばっかりだよ?

ハル

そんなの全部ウソよ、ウソ

ハル

私にはひどいことしか言わないもの

ハル

今もひどいLINEを送り続けてるし…

ハル

…あ、また届いた

ナツミ

ちょっとそのLINE、スクショとかで見せてもらえる?

ハル

うん、いいよ

~トウジからのLINE~

トウジ

おい、何で家にいないんだよ

トウジ

離婚とか、本気か?

トウジ

無視するな、返事しろグズ

トウジ

お前みたいなノロマ、一人で生きていけるわけないだろ

トウジ

浮気か?

トウジ

絶対に逃がさないからな、覚悟しておけよ裏切者

トウジ

地の果てでも必ず見つけ出してやる

トウジ

お前のせいで飯も買わなきゃいけないし、家も汚れるばっかりだ

トウジ

連れ戻したらタダじゃおかないからな

~ナツミとのLINE~

ナツミ

何これ…ほとんど脅迫じゃん!

ナツミ

ごめん、これはハルが逃げ出してもしょうがないわ

ハル

うん

ハル

こんな状態のトウジのところに見つかったら、何されるか分かんない

ハル

だから見つからないように友達のところを転々としてるんだけど…

ハル

いつまでもこのままじゃいられないし、私、これからどうしたらいいんだろ

ナツミ

警察には相談したの?

ハル

一応したけど、夫婦間の問題だから実害がでるまでこちらではどうにもできないって

ナツミ

はぁ!?

ナツミ

実害があってからじゃ遅いんだっつーの!

ナツミ

弁護士には? 相談してみた?

ハル

私の貯金、全部トウジに使われちゃってさ…

ハル

弁護士を雇うお金なんてないよ

ナツミ

大丈夫、そういう事情なら私が力になってあげられるかもしれない

ナツミ

ついでにトウジくんにも一泡吹かせちゃおう!

ハル

え?

~数日後~

トウジ

おい、いい加減にしろよ

トウジ

返事くらいしろ

トウジ

生きてるかー?

トウジ

分かった、働くことを認めてやるから戻ってこい

トウジ

仕事がしたかったんだよな?

トウジ

お前が苦手な家事も少しは俺が担当してやるから

トウジ

俺は優しくてよく出来た夫だからな

トウジ

家を出たことは、罰金10万円で許してやるから

ハル

呆れた

ハル

そんなこと言われてあなたのところへ帰ろうなんて思う人、いるわけないでしょ

トウジ

やっと返事したか

トウジ

まぁいい、今日中に帰って来たら俺を無視したことも許してやる

トウジ

家中汚れてるからな、しっかり掃除しろ

ハル

イヤよ、私にメリット全くないもの

トウジ

はぁ?

トウジ

そんな生意気なこと言って、後で後悔しても知らないぞ

ハル

あぁ、そうそう、あんまりそういうこと言わない方がいいよ

ハル

このLINE、弁護士さんに確認してもらってるから

ハル

ますますトウジの立場が悪くなっちゃうよ

トウジ

へ?

トウジ

べ、弁護士…? 何で…?

ハル

あなたと確実に離婚するために決まってるじゃない

ハル

今のままじゃあなた、離婚届けに判押してくれなさそうだったからね

トウジ

離婚の話、本気だったのか!?

ハル

当たり前じゃない、何だと思ってたの…

トウジ

俺はてっきり癇癪を起して家を出ただけかと…

ハル

相変わらずおめでたい頭してるわね…

トウジ

い、いや、でも、弁護士なんてウソに決まってる

トウジ

お前に弁護士雇うだけの金があるわけないもんな

ハル

そうね、働いてた時に溜めてた貯金も、あなたに全部使われちゃったし

ハル

でも心配ご無用よ

ハル

働いてた時に仲良かったナツミって子のお兄さんが弁護士でね

ハル

頼み込んで格安で相談に乗ってもらったの

トウジ

あのおしゃべり女か…

ハル

ちなみにアンタとのLINEは全部スクショして弁護士さんに預けてるから

ハル

有利な条件で離婚できるとは思わないで

ハル

脅迫LINEのこともあるし、慰謝料に加えて接近禁止命令くらいは覚悟しておいてね

トウジ

い、慰謝料!?

トウジ

何で俺が慰謝料なんか払わなきゃいけないんだよ!?

ハル

あなたの暴言が原因で離婚するんだから当たり前でしょ

トウジ

そんな…困るよ…

ハル

そうでしょうね

ハル

平社員のあなたの給料じゃ、慰謝料まで支払うのは大変でしょう

ハル

あ、今は平社員ですらないんだっけ?

ハル

あなた昨日、会社クビになって今は無職なんだもんね

トウジ

なっ、なんでそんなこと知ってるんだよ!?

トウジ

またあのおしゃべり女か!

ハル

そうよ、ナツミに聞いたの

ハル

今までの私への所業を周りの社員にバラされて、

ハル

カッとなってナツミに掴みかかったのを上に報告されたんだっけ

トウジ

やっぱりアレはお前も一枚噛んでたんだな

トウジ

ふざけんな、お陰で俺の人生メチャクチャだ

トウジ

何が慰謝料だ、慰謝料払うのはお前の方だろ!

ハル

私はただ、あなたのしたことをナツミに愚痴っただけよ

ハル

友達に夫の愚痴を吐くなんて、よくあることでしょ?

ハル

その後のことにまで責任持てないわ

トウジ

そもそも…お前がいい嫁だったらこんなことにはなってなかったんだよ!

ハル

そうね、もし私が明らかに家事に手を抜いていたり、

ハル

わざとまずいご飯を食べさせたっていうのなら、私に非があるでしょうね

ハル

残念だけどそのあたりもきちんと弁護士さんに話をして

ハル

私に非がないことを確認してもらってる

トウジ

そ、それに…俺が稼いでやってたからお前は暮らしていけたんだろ…

ハル

私の貯金を切り崩して贅沢してた人が良くそんなこと言えるわね

トウジ

それでも専業主婦っていうラクな立場でいられたのは確かだろ!

ハル

それはあなたが望んだからしていただけ

ハル

あなたのせいで私はキャリアを捨てることになったんだから、むしろマイナスよ

トウジ

何がキャリアだよ

トウジ

どうせ女なんてロクに出世しないんだから、そんなもんにこだわるだけ無駄だろ

ハル

はぁ…あなた私が働いていた時の役職、忘れてない?

ハル

私、係長だったんだけど

ハル

お給料だってあなたよりずっと良かったし、昇進の話だって出たんだからね

ハル

平社員だったあなたにそんなこと、言われる筋合いなんかない

トウジ

うっ…それは…

ハル

はぁ…私、ほんとにバカだったわ

ハル

キャリアも全部捨てることになったっていうのに、

ハル

恋に目が眩んで、ずっとあなたに尽くしてきたんだもん

ハル

この2年間ほんとに無駄な時間を過ごしたわ…

ハル

あなたと離れてようやく目が覚めた

トウジ

ちょっと待てよ、離婚しないでくれよ

トウジ

お前がいないと俺、ダメなんだよ

トウジ

今までのことは謝る、本当に悪かった

トウジ

反省するから、もう絶対お前を悪く言ったりしないから戻ってきてくれ!

ハル

イヤよ

ハル

どうせそんなこと言って、私を働かせて自分はラクしようって魂胆なんでしょ

ハル

これからもあなたに搾取される人生なんて、想像するだけで寒気がする

ハル

絶対にあなたのところへは戻らない、絶対に離婚してやるんだから

ハル

口先だけで私の決意がどうにかなると思わないでよね

トウジ

見捨てないでくれよ…

トウジ

俺、貯金もないし、これからどうやって生きていけばいいんだよ…

ハル

知らないわよ、そんなこと

ハル

さっさと再就職して、真面目に働けばいいんじゃない?

トウジ

お前と暮らしてた時に覚えた贅沢が忘れられなくて、

トウジ

もう結婚前の質素な生活になんか戻れないよ…

ハル

自業自得ってヤツでしょ

ハル

じゃあね、もうLINEには返信しないから

ハル

次は弁護士事務所で会いましょ

トウジ

そんなぁ…

ハル

その後、弁護士さんの尽力もあり、私はトウジと無事離婚することが出来ました

ハル

前職のキャリアを活かし、私は今、ノビノビと働いています

ハル

トウジは再就職した先がブラック企業だったらしく、ヒィヒィ言いながら働いてるみたい

ハル

もちろん慰謝料はしっかり払ってもらってます!

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