紺君のお母さんと別れた私は、その場を逃げるように自宅に戻った。
言いようのない不安ばかりが押し寄せてくる。
綾子
やるべきことは、分かっている…でも…
綾子
パスポートを持ってきちんと入国したのだから、命に関わる事件ならば、紺君のお母さんにも知らせがあるはずだった。
綾子
綾子
綾子
今日はどんな本を持っても、読み進める自信がなかった。
放心したように、部屋の中で立ち尽くしたまま、朝を迎えた。
翌朝
結局一睡もしていない私は、勇気を出して行動することにした。
綾子
数ヶ月前、紺君から貰った栞を手に取り、祈るような気持ちで、役所に片っ端から電話をかけた………
その日の夕方には、握りしめていた栞は、もはやシワクチャになっていた。
ずっと紺君と私を、繋いでいたもの。
綾子
涙が溢れて止まらなかった。
綾子
綾子
頭の芯がズキズキする。私の心の痛みそのものみたいに。
私は、紺君のお母さんと電話がつながったところを最後に、意識を手放した………
気がついた私は、白い部屋で寝かされていた。
綾子
私の声が聞こえたのか、紺君のお母さんが姿を見せた。
紺君のお母さん
綾子
紺君のお母さん
紺君のお母さん
ゆっくりと、記憶が蘇る。
綾子
紺君のお母さんは私の話を促そうとしたけれど、お医者さんらしい人が、制止した。
医者
紺君のお母さんは私とお医者さんに頭を下げて、部屋から出て行った…
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