主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 血表現注意⚠️ 花魁パロ
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13,崩れゆく矜持
花鏡楼の庭には、秋雨の名残が湿りを残していた。
石畳には水滴が光り、紅葉の葉がはらはらと散っている。
そんな景色を眺めながら、翠嵐はひとり縁先に腰を下ろしていた。
翠嵐
喉の奥を走る痛みに顔をしかめ、袖口で血を拭う。
赤がじわりと広がるが、すぐに打掛の裾で隠した。
――見せるわけにはいかない。
花魁は華でなければならない。
弱さなど晒せば、すぐに客は去る。
それが、翠嵐の矜持だった。
その夜。
座敷に呼んだのは、御家人の一行。
身なりは立派だが、金払いは良い。
花鏡楼にとっても逃せぬ客だ。
笑い声と共に酒が飛び交う。
翠嵐はいつものように盃を重ね、艶やかな笑みを浮かべようとした。
だが。
翠嵐
手元が揺れ、酒を注ごうとした盃が畳に落ちた。
朱の液が広がり、座敷が静まり返る。
冷ややかな視線が集まる。
翠嵐はすぐに拾い上げ、笑みを作った。
翠嵐
そう言って盃を呷るが、次の瞬間、喉の奥から込み上げるものを堪えきれず――
翠嵐
赤い飛沫が白粉の下を汚した。
女中が悲鳴を上げ、客たちが顔を見合わせる。
座敷の熱気が一気に冷えた。
客たちは慌てて懐から金を放り出し、蜘蛛の子を散らすように去っていった。
裏口。
こさめが駆け寄り、翠嵐の腕を掴んだ。
蒼霞
翠嵐
すちは突き放そうとするが、力が入らない。
膝が折れ、そのまま畳に崩れ落ちた。
黈羽
そこへなつ、いるま、らん、そしてみことが駆け込んでくる。
息を荒げるすちの姿に、皆の顔が凍りついた。
桃李
らんが青ざめた声を漏らす。
なつは扇を閉じ、静かに告げた。
紅鶴
紅鶴
いるまが睨むように囁く。
茈月
空気が重く沈む。
誰もが言葉を失い、ただすちの荒い呼吸だけが響いた。
翠嵐
苦しげに顔を上げ、すちが唇を歪める。
翠嵐
翠嵐
翠嵐
その必死の声に、皆は胸を締め付けられた。
黈羽
みことが声を上げる。
黈羽
すちはみことを睨んだ。
翠嵐
翠嵐
だが、その言葉は咳に遮られる。
また赤い血が地を濡らした。
黈羽
みことは震える手ですちの肩を支えた。
黈羽
黈羽
その必死の声に、すちの瞳が揺れる。
だが次の瞬間、力尽きるように意識を失った。
灯りの消えた座敷。
横たわるすちの顔色は、まるで死人のように青白かった。
なつが低く告げる。
紅鶴
その言葉に、全員の表情が硬直する。
切見世――病や年を理由に落とされ、安値で客を取らされる場所。
それは花魁にとって、生き地獄だった。
こさめが目を閉じ、静かに言う。
蒼霞
だが、みことは強く首を振った。
黈羽
黈羽
みことの小さな声が、闇に響いた。
――翠嵐の矜持は崩れ、仲間たちの心にも深い影を落とした。
13・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡140
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コメント
2件
一気読みさせていただきました! なんでこんなにも素晴らしい作品があることに俺は今まで気づかなかったんだ…