コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
──俺は1年A組の幽霊だ──
深く俯いて自分の爪先を見つめたまま、 扉に手をかける
ガラガラ
その瞬間、エアコンで人口的に冷やされた空気が一気に溢れ出してきた
一虎
ぶるっと軽く身を震わせて歩きだす
もちろん俯いたまま
一虎
代わり映えのしない光景にうんざりしながら、
黙々と足を動かして 机の隙間をすり抜け自分の席に向かった
少しでも気配を消すために、
余計な行動は、控え
避けられない動きについては、それに不遇する音を極力抑える
一虎
一虎
一虎
考えてみるものの
頭が思考を拒否するようにぼんやりとしていて、思い出せない
鞄をそっと置いてから、小さく顔を上げて黒板の右側を見た
日直の男子の雑な字で『14』と書かれている
9月14日
一虎
一虎
そして"あの日"
───俺の生活が一変した日から、 すでに3ヶ月以上たっているのだ
一虎
一虎
1日中、始業から終業まで、 放課後になってもだ
俺がこんな生活を送っている理由
それは、
6月の"あの日"以来ずっと クラス中の人に無視されているから
一虎
無視されているのに、
いつも不穏な空気が俺を取り巻いている
誰とも目が合うことは、ないのに、
何故かずっと見られている気がする
俺がなにか目立つような動きをすると
どこからか
くすくす笑い声が聞こえてくる
一虎
でも、振り向いても、 誰も俺を見てなんかいない
俺は1年A組の幽霊だ
いるのに、いない
確かに俺はここに居るはずなのに、
誰からも存在を認められない