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あの夏が飽和する。

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あの夏が飽和する。

1 - あの夏が飽和する。

♥

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2019年09月21日

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昨日人を殺 したんだ

君はそう言っていた。

梅雨時ずぶ濡れのまんま部屋の外で泣いていた。

夏が始まったばかりだと言うのに、君は酷く震えていた

そんな話で始まる、あの夏の日の記憶だ

殺 したのは隣の席の、いつもいじめてくるアイツ。

もう嫌になって、肩を突き飛ばして、打ち所が悪かったんだ

もうここには居られないと思うし

どっか遠いところで死んでくるよ

そんな君に僕は言った

それじゃ、僕も連れてって

財布を持って、ナイフを持って、携帯ゲームカバンに詰めて

いらないものは全部

壊していこう

あの写真も、あの日記も、今となっちゃもういらないさ

人殺しとダメ人間の君と僕の旅だ

そして僕らは逃げ出した

この狭い狭い世界から

家族もクラスのやつらも何もかも全部捨てて君と2人で

遠い遠い誰もいない場所で死のうよ

もうこの世界に価値などないよ

人殺 しなんてそこら中湧いてるじゃんか

君は何も悪くないよ。

君は何も悪くないよ。

結局僕ら誰にも愛された事なんてなかったんだ

そんな嫌な共通点で僕らは簡単に信じあってきた

君の手を握った時微かな震えも既に無くなっていて

誰にも縛られないで2人線路の上を歩いた

金を盗んで

2人で逃げて

どこにでも行ける気がしたんだ

今更怖いものは僕らにはなかったんだ

額の汗も、落としたメガネも

今となっちゃどうでもいいさ

あぶれ者の小さな逃避行の旅だ

いつか夢見た優しくて、誰にでも好かれる主人公なら

汚くなった僕達も見捨てずにちゃんと救ってくれるかな?

そんな夢なら捨てたよ

だって現実を見ろよ

シアワセの4文字なんてなかった

今までの人生で思い知ったじゃないか

自分は悪くねえと

誰もがきっと思ってる

あてもなく彷徨う蝉の群れに

水もなく揺れ出す視界に

迫り狂う鬼たちの怒号に

バカみたいにはしゃぎあい

ふときみはナイフをとった

君がいままで傍にいたからここまで来れたんだ

だからもういいよ。もういいよ。

『死ぬのは私1人でいいよ』

そして君は首を切った

まるで何かの映画のワンシーンだ

白昼夢を見てる気がした

気づけば僕は捕まって

君がどこにも見つからなくって

君だけがどこにもいなくって

そして時はすぎていった

ただ暑い暑い日がすぎてった

家族もクラスのやつらもいるのに

なぜか君だけはどこにもいない

あの夏の日を思い出す

今も今でも歌ってる

君をずっと探してるんだ

君に言いたい事があるんだ

9月の終わりにくしゃみして

6月の匂いを繰り返す

君の笑顔は

君の無邪気さは

頭の中を飽和している

誰も何も悪くないよ

君は何も悪くはないから

もういいよ

投げ出してしまおう

『そう言って欲しかったのだろ?なあ?』

あの夏が飽和する。

この作品はいかがでしたか?

34

コメント

6

ユーザー

空乃↪︎ありがとぉぉぉ! でもね、私は紙なのじゃ( ˙-˙ )

ユーザー

琴音っち↪︎違うよ!紙だよ!←確信

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