誰もが戦争の影響を受けた。世界のあらゆる場所が。
人の意思は、かつて不可能とされた場所にさえ、戦いをもたらした。
アルプスの高みであれ、大空であれ、俺たちは道を見つけ出し、そこで戦った。
『すべての戦争を終わらせるための戦争』。
人々はこの戦争をそう呼ぶが、はたして、人の抱える野望や闘争心に、終わりなどあるのだろうか?
―――ルカ
ベッカ
パパ?

ベッカ
上なの?

ベッカ
どうしたの?みんな待ってるわ。

ベッカ
へぇ。すごい写真。

ルカ
ああ···あれは···凄い時代だった。

ベッカ
パパって軍服が似合ったのね。

ルカ


ルカ
私じゃない、弟のマッテオさ。

ベッカ
ああ···そうねごめんね、パパ。下で待ってるから。

ルカ
ああ別に、いいんだよ。お前にもマッテオの話をしよう。

ルカ
私たちが21になってすぐ···あれが一緒に戦った最後の戦いだった。

ルカ
マッテオの大隊は敵の勢力圏の奥深くにある要塞の攻略を命じられていた。

ルカ
私は特別な部隊で

ルカ
別の任務についていたんだ。

ルカ
任務はマッテオの大隊の援護。

ルカ
特別な任務だった。イタリアの命運を握る部隊。

ルカ
アルディーティだ。

ルカ
マッテオが下で前進している間、私達は山の上で、その部隊を狙っている敵を倒しまわっていた。

ベッカ
聞いているだけですごく危なそう。

ルカ
どうってことない!なにしろ···全身に鎧を着ていたんだ!それにアルディーティは皆勇敢な志願兵だった。

ルカ
峠道の先には敵が要塞化した教会が待ち受けていた。先に進むにはそれを突破するしかなかった。

ルカ
火炎放射器の連中を倒した残りはただの歩兵で、教会はすぐに私達の手に落ちた。

ルカ
こちらとマッテオの部隊を砲撃している大砲があって、私はすぐにそれを破壊した。

ベッカ
マッテオはまだ要塞に向かってたのね?

ルカ
そうだ。だからそれを支援したんだ。

ルカ
その大砲がある限り、マッテオはもちろん進軍中のイタリア軍すべてが危なかった。だから、破壊したんだ。

ルカ
その時の爆発ほど、あの戦争でスカッとしたことはない。

ルカ
しかし、休む暇はなかった。先にある崖に対空砲があって味方の飛行機を落としているのが見えたんだ。次の目標というわけだ。

ルカ
対空砲にはオーストリア=ハンガリーの兵士がいて、こちらで使う前に、それを倒す必要があった。

ルカ
最後の1人を倒したところで、あの忘れられない音を聞いた。

ルカ
標的はマッテオの部隊だ。私の体は勝手に動いていたよ。

ルカ
私1人と、敵の爆撃機1編隊の勝負だった。全機を落とす必要があった。

ルカ
私達に増援はない。あの味方がやられたら、こちらの進軍は完全に止めれてしまう。マッテオの命も危ない。

ルカ
全機が落とされる、と連中は私に狙いをかえた。だがマッテオを守るためだ。退くことは出来なかった。

ベッカ
鎧のおかげで無事に?

ルカ
ああそうさ、最強の鎧だ。

ルカ
だか突然、敵は引き返した。

ルカ
目を覚ました時、死んで地獄に来たのかと思った。

ルカ
連中は山を吹き飛ばした。私は連中もろとも生き埋めになったんだ。

ベッカ
ああそんな、マッテオは。

ルカ
マッテオを求めて、私は地獄へと下りていった。

ルカ
そうするしかなかった。

ルカ
マッテオを探したかったが、どこかもわからない。

ルカ
どうしようもなかったから、霧の先で真っ先に出くわした問題に専念することにした。山小屋で足止めされている味方の兵士だ。そこへ向かった。

ルカ
目よりも早く、音で気づいた。敵の要塞から戦車が向かってきていた。

ベッカ
でももう爆弾は使ってしまったでしょ!

ルカ
山小屋には敵の武器が保管されていた。それをかき集めて、戦いに備えたんだ。

ルカ
こうして決死の戦いで、私たちは戦車の連中を黙らせた。山小屋は無事で、私は先に向かった。

ベッカ
そういえば山小屋にマッテオはいたの?

ルカ
いや·····マッテオの部隊はもっと先に向かったと話を聞けた。

ルカ
私は塹壕を進むのはごめん被りたったが、イタリア語の叫び声が聞こえてきた。

ルカ
どこを見ても、手遅れだった。生きてる者は誰もいなかった。

ルカ
しばらくして、遺体を見続けるのに耐えられなくなった。要塞にたどり着いてるはずだと。

ルカ
自分がもう死んでいるのではないかと思わされるものさえあったな。

ベッカ
それって?

ルカ
炎だ。辺り一面の炎。

ルカ
要塞には2つの入り口があった。地下のトンネルを進むか、地上をぐるって回った裏から入るかだ。

ベッカ
正面からじゃなくて?

ルカ
鎧はもうなかったからな。それは無理だった。

ルカ
だかなぜか、マッテオはそこにいないと私にはわかったんだ。

ルカ
今もあの光景を思いだす···毎日。

ルカ
もうあきらめようとしていた。

ルカ
マッテオは無事に逃げたに違いないと。

ルカ
そしてーーー

ルカ
そうして私だけが、

ルカ
歳をとるんだ。

ルカ
誕生日おめでとうマッテオ。

戦争に続く動乱により、複数の帝国が崩壊し新たな国々が誕生した。 世界そのもの、そして人々の世界に対する見方が一変したのだ。
家族も変化を強いられた。それは身内を失ったものだけではなく、帰還兵を迎えた家においても同様だった。 この戦争で命を落とした兵士たちと帰還兵たちは「失われた世代」あるいは 「迷い子の世代」と呼ばれるようになった。