公園のベンチに座り、
暖かい日差しが降り注ぐ中、
リリーちゃんはゆっくりと口を開いた。
りりーちゃん
手紙をもらいました。ポストに入っていたんです。
フェリックスさんの言う通り、夢を叶えますという文章と
金のキーホルダーが入っていました。

彼女の声は震えており、
その瞳は悲しみに満ちていた。
りりーちゃん
手紙の事はずっと黙っていました。でも、ミミちゃんから相談されて、
人間のエドワードに会いたいという話を聞いた時に。。

フェリックス
手紙とキーホルダーの話をしたんですね。

りりーちゃん
はい。すぐに帰ってくるからという約束で、渡しました。私はミミちゃんの願いを叶えてあげたかったんです。卒業したらもう会えなくなるから...

りりーちゃん
すぐに帰ってくると思ったのに...

言葉を続けることができず、リリーちゃんは涙をこぼした。
彼女は自分の行動がミミちゃんの失踪につながったと、深く後悔していた。
フェリックス
なぜ、私にキーホルダーの話を?

りりーちゃん
フェリックスさんなら、きっと
ミミちゃんを見つけてくれるだろうと思って

フェリックス
その手紙は人間に興味がある少女にしか届きません。

フェリックス
りりーちゃんは人間に何か夢や希望を持っていたのですか?

りりーちゃん
私の夢は...著名なバイオリン奏者として、世界を巡り演奏することでした

りりーちゃん
その実現のために、人間のバイオリンの奏者に逢いたいと願っていたんです。

フェリックス
人間のバイオリン奏者の情報はどこから?

りりーちゃん
家に古いレコードが何枚もあって
その中の1枚が人間のレコードでした

フェリックス
その話はミミちゃんも
知っていますか?

りりーちゃん
もちろんです。いつもの
アイスクリーム屋さんで私たちの夢の話をするのが、
楽しい時間でしたから

フェリックスは温かい眼差しで
リリーちゃんを見つめ、
フェリックス
本当のことを教えてくれてありがとう。
ミミちゃんは、私が必ず見つけます

涙を流すリリーを見て、
フェリックスはワトリーに向き直り
フェリックス
ワトリー、リリーちゃんが落ち着いたら
家まで送ってあげてください

ワトリー
わかったのだ

そして、しばしの沈黙の中、
フェリックスはワトリーとリリーちゃんをそこに残し、
ひとり街へと歩みを進めた。
つづく