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ゼファ@投稿頻度低め
朝七時。 病院はまだ静かだった。 外来は始まっていない。 廊下には清掃の音だけが響いている ユイトはいつも通り、 誰より早く出勤していた。 理由は決まっている。 カルテ整理のためだった。
この病院ではカルテは 増えるだけじゃない。 減る。消える。書き換わる。 削除対象患者。 転院扱い。退院扱い。記録終了。 表向きはそう処理される。 でも実際は違う。 その多くは―― “存在がなかった” ことになる患者だ。
ユイトは無言でキーボードを打つ。 患者番号。処置履歴。 更新日時。削除理由。 一行ずつ正確に入力する。 医者の仕事は救うことだけじゃない 管理することでもある。 そう教えられてきた。
ただ一つだけ。 ずっと気になっている記録があった
地下記録庫にある閲覧制限カルテ
患者番号:L-07 担当医:不明
そのカルテだけは、 なぜか開くことができなかった。 理由も説明されていない。
一体なんだろうなあれは
主任
背後から声がした 主任医師だった
主任
ユイト
ユイト
主任
ユイト
主任
スタスタ
主任はそれだけ言って そのまま立ち去ってしまった
ユイト
僕は先生に渡された カルテを見た
ユイト
僕は目を疑った
患者番号:L-07
閲覧制限が付いている カルテを主任はどうして...
・・・いや、気にしない方が..
いいと僕は本能で察知した
ユイト
ユイト
東病棟三階は静かだった。 小児病棟のはずなのに、 笑い声がない。 足音も少ない。 まるで誰も近づかない 場所みたいだった。
ユイト
病室の前に立つ。 ネームプレートはない。 名前もない。 番号だけが書かれている。 L-07
正直いって 不気味だ
病院患者の名前が無いこともあるが 名前の代わりに番号が 書いてあるのが少し怖いと思った
コンコン
ユイト
返事はなかった
もう一度ノックする コンコン
やはり返事はなかった
ユイト
ガラガラ
窓際のベッドに、 小さな女の子が座っていた。 小学六年生くらいだろうか。 髪は少し長めで、 柔らかく揺れている。 そして――
両目が紫色だった
その瞳を見ると どこか懐かしい感じがあった
L-07
少女は私の顔を見ると ぱぁっと明るい笑顔を見せた
ユイト
ユイト
L-07
L-07
ユイト
L-07
L-07
ユイト
L-07
迷いのない声だった
ユイト
ルナ
ルナ
ユイト
意外な質問でぼくは少し 戸惑ってしまった
ルナ
ルナ
ルナ
その質問が妙に胸に残った
ユイト
ルナ
ユイト
ルナ
ユイト
ルナ
ルナ
ルナ