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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

数年前

慎哉

………

英祐

しーんや!どしたよ、そんな顔して

英祐

んなあほヅラしてると窓の向こうのカラスに笑われっぞー

慎哉

えいすけ…

慎哉

…ねえ、えいすけはさ、将来の夢ってある?

英祐

ん?なんだ急に

慎哉

…さっきさ、テレビでやってたんだ

慎哉

戦隊英雄 ブレイブレンジャー

英祐

あぁ、俺が寝てる時やってたやつ?

慎哉

そう

慎哉

カッコイイなぁって

英祐

そーだなー

英祐

俺はピンクのおっぱいの大きさばっか見てっけどな

慎哉

どこ見てんだよ

英祐

へへっ

英祐

で、それがなんで将来の夢の話になるんだよ

慎哉

……

慎哉

ヒーローって、どんなんだろうって…おもったんだ

英祐

ヒーロー?

慎哉

うん

英祐

カッコイイよな、ヒーロー

慎哉

…うん

慎哉

ぼくさ、

慎哉

いつかあんなふうになれたらいいなぁって、なんとなく思ったんだ

英祐

…!

英祐

どんなヒーローになりたいんだ、しんやは

慎哉

? ぼく? ……ぼくは……

慎哉

たとえば……

慎哉

レッドみたいな、ヒーローになりたい

英祐

あぁ、一番カッコイイよな

英祐

みんなを守ろうとしてる

英祐

同じ仲間も、悪い奴らにひどいことされる人たちも

慎哉

うん

英祐

でもなによりカッコイイのってさ

英祐

悪い奴らも絶対見捨てないとこだよな笑

慎哉

うん

英祐

なんだよ、お前レッドみたいになりたいのか?

慎哉

………なりたい、って思う。でも、無理だと思う。ぼくには

英祐

なんでだよ

慎哉

人をあんなふうに助けるのなんて、

慎哉

ぼくには、無理だよ

英祐

できるよ

慎哉

なんで?

英祐

2人で目指せばいいんだ

慎哉

2人?

英祐

おん

慎哉

もしかして、ぼくとえいすけで?

英祐

あったりめーだろ!

慎哉

えぇ!? 本気で?

英祐

おう!

英祐

しんや、俺には夢はあるぞ

慎哉

? どんな?

英祐

俺も将来な、ヒーローになりたいんだ

慎哉

え? もしかしてぼくと同じでレッドになりたいって思ってたの?

英祐

ちげえちげえ、そーゆうのじゃないな

英祐

いやまあちかいかもしれんけど

英祐

消防士に、なりたいんだよ俺は

慎哉

消防士?

英祐

そーだ

慎哉

…かっこいい、かも

英祐

だろ!?

英祐

俺の父さんはな、消防士だったんだぜ!

慎哉

そーなの?

英祐

おう!

英祐

…まあ、死んじまったけどな、お前と同じで

慎哉

…うん、そだね、聞いた。前にも

英祐

だな

慎哉

……こわく、ないの?

英祐

んあ?

英祐

怖いか怖くないかなら

英祐

怖いよ、そりゃ

慎哉

なら、なんで?

英祐

こわいからだよ

英祐

こわいからこそ、あん時の思いを

英祐

俺は誰かにさせたくないんだよな

慎哉

……!

英祐

息できなかったんだよな、おれ

英祐

真っ赤で、息吸えば吸うほど、くるしくて

英祐

こわかった

英祐

たぶん、あれはホンモノの地獄かもな

英祐

エンマ大王とかいなかったのにな

慎哉

………

英祐

でもさ、とうとう膝ついて倒れそうになった時窓を割って母さんと父さんが助けてくれた

英祐

そのまま、母さんも父さんも

英祐

かえってこなかったけど

慎哉

……

英祐

ヒーローだったら

英祐

きっと俺みたいに泣いて苦しんでるやつを助けれる

英祐

だから、俺は父さんや母さんみたいな消防士になるんだ

慎哉

……えいすけは、すごいよ、本当本当に、すごい

慎哉

だって、こわいじゃんか

慎哉

むりだよ、火が怖い。ぼくはむりだ、怖い

英祐

いいんだよ、おまえはそんなこわがってまで目指さなくても

英祐

お前はお前のなりたいヒーローになればいい

慎哉

ヒーロー……

英祐

おまえさ、こないだ作文書いてなかったか?

英祐

ほら、なんか病院からの応募で作文書くやつ

慎哉

……あぁ、こないだの?

英祐

そうそう

英祐

たしか、お前それで病院のせんせーからめっちゃくちゃ褒められてたじゃん

慎哉

うん……

英祐

おまえ、本とか書けるんじゃね?

慎哉

本!?

英祐

そうそう、ほら、なんだっけ、あの文字ばっかのやつ

慎哉

小説のこと?笑

英祐

そうそう笑

慎哉

小説家になれるんじゃないかってこと??

英祐

そー!!!

英祐

だってお前、俺がこの病室に来る前とかずっと本読んでたじゃん

慎哉

あぁ…

慎哉

だってすることないもん

慎哉

ずっと外の景色見るの飽きちゃったし

慎哉

看護師の先生が貸してくれた本が結構面白くてさ

慎哉

…漢字が全然読めなくて、先生に教えてもらいながら読んだけど笑

英祐

何冊くらい読んだんだよ?

慎哉

病院の1階に保育園あるじゃん?あそこの隣って小さな図書館なんだけど

慎哉

看護師の先生がそこなら行っても大丈夫だよって言ってくれたから毎日通ってる

慎哉

もう図書館の半分くらいは本読んだかも

英祐

はぁあ!? え、半分!? 1000冊くらいない?!

慎哉

多分…? だってえいすけ来る前からここにいるもん笑

慎哉

小学校にも行ってないし

英祐

それは俺も同じだけどさ。おばさんとかに勉強見てもらってんだろ?

慎哉

そそ、おばさんていうかお母さんに近い感じだけど笑

慎哉

やっぱり学校の先生やってるだけあってすっごいわかりやすいよ

英祐

すっげぇーいいなぁ

英祐

俺も最近症状落ち着いてきたしなぁ、おばさんに勉強おしえてもらっおかなぁ

慎哉

えいすけ絶対寝るでしょ笑

英祐

は? 寝ねぇわ!

英祐

俺は天才だからな!

慎哉

笑笑笑笑

英祐

だってさーーー看護師のおばちゃんの話し方とろいんだもーーーん、眠くなるわ笑笑

慎哉

あははっはは笑

慎哉

でもわかる笑

英祐

……目指せると思うぞ、俺

慎哉

…え?

英祐

なぁ、しんや

英祐

2人で約束しねぇか?

慎哉

どんな?

英祐

こんな病気治したらさ

英祐

俺は消防士目指して

英祐

お前は小説家目指すんだよ

英祐

で、そのまま消防士になった俺の活躍を本にするんだよ!

英祐

なんだっけ? ふぃくしん?

英祐

ふぃくなんとかってやつだろ?

慎哉

…ノンフィクションのこと?

英祐

そー! それだ!

慎哉

それだったらフィクションでえいすけを何かのキャラにして物語作った方がいい気がする笑笑

英祐

なんでもいいわ!笑

英祐

つまりな、慎哉

英祐

俺たちで、目指せばいいんだよ!

慎哉

……?

英祐

『ヒーロー』だよ!

英祐

人を助けれて、みんなを笑顔にできる。世界を守るヒーローだ!

英祐

カッコイイだろ!!?

慎哉

……………!!

慎哉

…ひー、ろー……

英祐

そう! 2人で目指そうぜ!?

慎哉

ぼくと、えいすけで?

慎哉

なれるかなぁ

英祐

なるんだよ!

英祐

こんなとことっとと出て、2人でいっぱいいろんな人を助けるんだ! 泣いてる人も困ってる人も俺たち2人なら助けれるさ!

慎哉

……みんな、ほめてくれるかなぁ

英祐

おう、きっと褒めてくれる

英祐

それに、モテるんだぜヒーローって

慎哉

べつにもてなくなったっていいもん……

英祐

なんだよつまんねぇなーー

英祐

……でも、

英祐

ヒーローなら、いろんな人を守れる。

英祐

俺はなる、ぜったい

慎哉

……えいすけ

英祐

一緒に目指さねぇか?

英祐

慎哉

慎哉

…………

慎哉

────うん。

慎哉

なる、2人でなろう

慎哉

ぼく、いっぱい本を書くよ。その本で、人を感動させれるような、読んだ人を幸せにできるような、そんなヒーローになる

英祐

できるさ!! 俺とお前なら!

英祐

だろ?

慎哉

うん!!

英祐

約束な。

英祐

俺達はいつも一緒だ

英祐

心は離れてても

英祐

この約束は消えない

英祐

覚えとけよ?

慎哉

カッコイイなぁえいすけ笑笑

英祐

うっせぇ///

慎哉

………分かった

慎哉

覚えとく

慎哉

約束だよ

慎哉

英祐

_______________

08 : 16

慎哉

…………

慎哉

……ん

慎哉

夢、か

慎哉

……随分、懐かしい夢だなぁ

慎哉

……っ。…………あ、れ?

慎哉

なんだこれ

慎哉

なんで俺、泣いて……

慎哉

……………

……ヒタ…ヒタヒタ……

スッ

………ガララララ

慎哉

……………

慎哉

…っ、寒っ。

慎哉

………あ。飛行機、雲だ

ヒョオオオオオオオ…………

慎哉

慎哉

……きれい、だなぁ。つい撮っちゃったけど

慎哉

……………………。なんで、どうして、今になって……十年以上前の夢なんて、見たんだ俺……。

──────ふと、その時一緒に思った。

きっとあの雲は、たとえ水平線の果てまで行ったとしても

『決して』混じり合うことは無いだろうし

交差する事も、無いんだろうな、と。

______________

ザザァァァ……………サザァッ………

ヒョオオオオオオォォォォ………

『  』

『  』

…………………

─────だけど。

だけど同時に、と俺は思う。

もしも。

もしも、世界で、たった一人の君へ。

かつて彼と誓ったあの約束の様な強い願いと共に。

あの彼女へ、この思いを、伝える事が出来たのならば。

きっと俺は

たとえ明日にでも

この命が失くなったとしても構わないと

そう強く、つよく、

確かにそう────思ったんだ。

慎哉

「君に出会えて良かった」

『  』

「ありがとう」

そうたしかに────

伝える事が……出来たのならば。

To be continue

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