悪寒と首筋に嫌な汗を感じふらつきながらも支度を終え仕事に向かう。芥川は自分が風邪を引いたと認めたくないから半分意地で動いている。
今日は休みだが太宰さんに呼ばれた為、近くの居酒屋へ向かう処だ。.....僕は風邪など引いていない。風邪など...
銀
兄さん...?ふらついているけれど、
芥川
僕は風邪など引いていない。先程、太宰さんから呼び出しを頂いた故、少し緊張しているだけだ。
銀
否、危ないからちゃんと寝ないと。
芥川
然し...
パタッ
銀
兄さん!?
芥川は高熱に犯され、倒れてしまった。
ちょうどその頃_
太宰
遅いなー...
敦
本当に、呼んだんですか?
太宰
勿論!私は紳士だから後輩の誕生日を祝うのは当然だろう?
敦
太宰さんがいいならいいんですけど...
カランカラン
中也
げ、なんでお前らがいるんだよ...
太宰
君は今日ここに来るだろうな、と思って
中也
だから態々嫌がらせしに来たって訳か?
太宰
ちがーう!君は部下の誕生日を忘れる程人でなしなのかい?
中也
うるせぇ!手前に言われなくても覚えてるよ!
敦
今日、芥川の誕生日を祝おう、って先程太宰さんが探偵社を飛び出しまして...
中也
そりゃ災難だったな。で?主役はまだなのか?
敦
太宰さんがメールを送ったそうなんですけど...
中也
彼奴が太宰の連絡を無視するわけねぇだろ。
敦
仕事中かもしれませんし...
中也
否、今日は彼奴は休みだ。首領から絶対に働かせないよう見張ってろと言われてる。
太宰
森さんも随分優しくなったね...
そんなこんなで話しているとメールがひとつ。
太宰
...随分と兄想いの妹を持ったね。
中也
なんの事だ?
太宰
芥川くんの家知ってる?
中也
知ってどうする?俺は知らねぇぞ。
敦
僕も...知りたくも無いですが。
太宰
まぁ知ってるんだけどね!さぁ行こう!
銀
無茶はダメっていつも言ってるのに...
すやすやと眠る芥川。銀は隣で静かに見守っている。
ピンポーン
太宰
銀ちゃーん、芥川くんは元気かい?
中也
なんで手前が知ってんだよ...
敦
ストーカーでもしてたんですかね?
インターフォン越しに太宰、敦そして少し離れて中也の声が聞こえ、慌てて玄関に出る銀。
銀
皆さん!兄は部屋で寝ています。
太宰
ありがとう。それじゃ、お邪魔しまーす!
中也
少しは静かにしろ!
熱に魘されているも、「太宰」という名が聞こえ目を覚まし体を起こした芥川。
芥川
太宰さん...何故?
太宰
何故って...誕生日祝いだよ。
敦
太宰さんが呼び出したのはお前の為なんだぞ。僕は反対したんだけど...
中也
その様子なら外に出てねぇな、よし。とりあえずこれでも食え。
何かないかと部屋を探索し始めた太宰、仕方が無いと言う顔で林檎と無花果を剥きに行く敦、首領に連絡を入れ薬を手渡す中也。
芥川
こんな誕生日も悪くない...
刹那の幸せを感じ、芥川は夢を見る。