吸血鬼と人間

俺の両親は優しく面倒見のいい人だった

お陰で毎日幸せに過ごしてる.......

ということなどなかった

何故なら俺の父さんは酒を飲むと人が変わってしまうのだ

父さんが酒を飲んだ時は毎日の様に俺と母さんは殴れ続けた

まだ小さかった俺はこの時の状況が理解できなかった

ある日のことだった

その日父さんは機嫌が悪かった

だからいつもより当たりが強く 些細なことでも怒ってくるようになった

そう言って母さんは買い物へ行った

そう思っていると突然部屋のドアが開いた

そこにはこっちを睨んで立っている父さんがいた

意識が薄れていく中最後に見たのは母さんが自分の代わりに暴力を振るわれている光景だった

目が覚めた時に辺りを見回すと父さんはいなくて隣には倒れている母さんがいた

次の日

そしてこの日俺と母さんは家を出ていった

そしてあの日から10年が経った

俺は学校に行けるようになって母さんも元気になった

今はもう父さんのことは忘れて 幸せに暮らしている

暴力も振るわれることなく安全に過ごしている

これからも毎日幸せに過ごしていける

そう思っていた...........

ｼｰｰﾝ.......

その日学校から帰ってくると家に母さんがいなかった

目線の先には机の上に一通の手紙が置いていた

宛名を見てみるとそこには 「隆へ」と書いていた

そう思い俺は封筒を開いて手紙を見てみた

隆へ 急にいなくなってビックリしたよね 母さんは元の家に戻ることを決意しました。 もし此処まで父さんが私達を探しに来てもし見つかったらまた隆が暴力を振るわれたら大変なことになるから..... そうならない様に母さんは家へ戻ることにしました。 生活費とかはある程度置いていきます 高校生までは持つと思います。 これからは一人暮らしになると思うけど隆には頑張って生きていて欲しい。 いつか自分のしたいことを見つけて 夢に向かって頑張って歩んで欲しい。 辛いことや悲しいことがあっても諦めないでね 困っている人がいたら知らない人だとしても助けてあげてね。 色んな人と触れ合って、話して...... そしていつか大人になったらまた会おうね。 一番大事なのは困っている人がいたら助ける。 そんな優しい心だよ それを忘れないでね 離れていてもこれからもずっと..... "愛してる" 「母さんより」

"会いに行く"

… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽