トントン・シュヴァイン
せっせと、家の手伝いの畑仕事をしながら考える。
毎日が退屈だ。 お偉い貴族様達のために切磋琢磨働いても、自分達農民に入るお金は雀の涙。
それでも生きていくためにはやらなきゃいけない。 そんな、どうしようもない感情に惑わされる今日この頃だ。
自己紹介が遅れた。 俺はトントン・シュヴァイン。何処にでもいる貴族至上主義に不満を持った、農家の息子だ。
トントン・シュヴァイン
がさごそと、奥の草の方から音が鳴る。 野生の猪と警戒し、ゆっくりとシャベルを持ちながら近づく。
大丈夫。俺には護身用のナイフがあるし、いざとなったら持ち前の早さで逃げればいい。 腰に手を当てて、ナイフの位置を確認する。
ゆっくり、ゆっくりと勘づけられないように・・・
グルッペン・フューラー
草の奥にいたのは、俺と同い年の10歳ぐらいの男の子だ。
服装の小綺麗な白いシャツと高そうなズボンで、すぐに彼が貴族であることが分かる。
ただよく見ると彼は手にケーキを持っており、それをリスみたいに食べていた。頬についたクリームがなによりもその証拠だ。
トントン・シュヴァイン
グルッペン・フューラー
顔を掴まれ、小声で彼は言う。
絹のように細い黄金色に輝く髪と、顔の3分の1ぐらい締めていそうな大きなレッドダイヤモンドのごとく光る瞳、そしてなによりもお人形さんのように整った顔がいきなり俺に近づく。
・・・まぁ、頬についているクリームのせいで台無しだが。
彼は俺を草木の方に移動させ、コソコソと周りを確認する。
どこからか足音が聞こえ、だんだんと近づいてくる。彼が真剣な顔をし、なぜだか自分までもがこの状況を深く考えてしまう。
一体この少年は誰だ? なんの理由があってここに? 疑問は出ていたらきりがないくらい思いついてしまう。
グルッペン・フューラー
トントン・シュヴァイン
グルッペン・フューラー
トントン・シュヴァイン
キョトンとした顔を浮かべ、こちらを見てくる。ちなみに、しっかりケーキ(ホールまるごと)を手に持っている。なんかムカつく奴やな。
彼は、この状況に飽きたかとでも言うかのようにケーキを食べ始める。
俺は、慌ててこの少年こと、グルッペンに聞く。
トントン・シュヴァイン
や、やらかしたーーー!
この国は貴族至上主義。平民どころか農民の俺がタメ口だなんて殺されるかもしれない・・・
慌てて訂正するも、もう遅いだろう。お疲れ俺・・・来世は社畜じゃない所がいいな・・・。
グルッペン・フューラー
トントン・シュヴァイン
グルッペン・フューラー
ふんわりと彼は微笑む。
言いたくはないが、顔がいい。とにかくいい。貴族様はこんな所でも俺ら庶民とは差をつけていくんやな・・・
彼はよっこいしょと言い、立ち上がる。
顔とセリフが(かなり)合っていないが、彼はそんなことは気にも止めてないようだ。
彼がこちらの方に、くるりと振り向く。
グルッペン・フューラー
トントン・シュヴァイン
帰ろうとする彼の腕を慌てて掴む。
グルッペン・フューラー
トントン・シュヴァイン
彼はびっくりしたよううに目を丸くする。
グルッペン・フューラー
トントン・シュヴァイン
びっくりしたかと思えば、彼はすぐに嬉しそうな表情に変わる。
グルッペン・フューラー
グルッペン・フューラー
トントン・シュヴァイン
彼は自信満々にそう言ったが、言っていることは無理難題だ。
たった今会った人の行動を予測できる訳ないし、未来を読める訳でもない。
それに俺なんかが出来る訳が無い!
グルッペン・フューラー
俺を見つめるその瞳から、彼が言っていることが本気なんだと分かる。
グルッペン・フューラー
グルッペン・フューラー
そう言うと、彼の周りから白いオーラみたいなのが出てきて、彼は消えていく。
幻想的なその光景に言葉が出てこない。
話せるようになったのは、それから何分か過ぎてからだ。
トントン・シュヴァイン
なぜ名前を知っているかも、なぜ此処に居たかも、誰に追われていたかも、彼が何者かも、彼が突然消えたのは何故かも分からない。
ただ、一つ分かることがある。 これはきっと面白いこと。
俺の退屈な日常を変えてくれる何か。
その事実に心が踊ってしまう。
トントン・シュヴァイン
これは、ただのスローライフを送っていく物語ではない。
これは平凡な俺が、 アイツらと一緒に主役になるまでの物語。
コメント
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リュフ!あのアプリ(ピグ)の僕のキャラが消えてもーてん るぅって名前でやってるんやけど、、、 また、会えたら会おうね!! ストーリー良かったよ!!!