夜空に輝く一番目立つ星
それは一等星
例え、流星群の中でも
きっと君を見つけるよ
7月7日
星夜
君が指差す方を見ると、
流星群が広がっていた
夏織
夏織
夜空いっぱいに広がるそれは、
今世紀一、とニュースでも 取り上げられていた
星夜
君が呟いた
その顔が、なんだか切なげで……
夏織
そう言って笑い飛ばした
今世紀一の流星群なんて、 毎年くるんじゃない?
なんてね。
星夜
そう言って、君は小指を私に向けた
私の小指と絡めて
夏織
星夜
夏織
『指きった』
二人の声がハモると同時に、 小指が離れた
夏織
夏織
星夜
君の笑顔は、星くずを集めたみたいに輝いていた
一年後
シトシトと降り続く雨
夏織
君は来るかな
今世紀一の流星群を見るために
今世紀一かどうかは、知らないけど
夏織
また、君に
一年待ったんだ
あの場所でしか、会えないから
母
母も、残念そうだ
夏織
母
夏織
夏織
しまった。
星夜のこと、誰にも言ってないんだ
毎年、七夕の日は
夜に家を抜け出すんだ
家から徒歩30分
橋の向こうの広場で流星群を見るんだ
急いで自分の部屋まで行くと、 母は何も聞いてこなかった
夏織
星夜、どうしてるかな
今年、会えるかな……
夏織
不安で不安で、頬に水滴が流れた
幾度も流れるそれは、流れ星みたいで
夏織
夏織
ボーン ボーン
9時を知らせる時計の鐘が鳴った
あと二時間。
早く会いたいよ、君に。
ザーー…
タッタッタッ…
夏織
息切れする中、 私はあの場所まで走った
流星群なんて見れなくてもいい。
ただ、君に会いたいんだ。
夏織
夏織
降りしきる雨の中で叫ぶ
届け、君に。
会いたい。
星夜
橋の向こうで、 振り向く君が見えた
私が一番会いたかった人
やっと会えた……!
すぐさま走って行こうとすると
星夜
パシャッと私に水がかかって
私の体が鉄板に押されて
宙に浮いて
投げ飛ばされた
夏織
すぐそばを走る車を見て悟った。
私、ひかれたんだ
星夜
少し遠くで、君の声がする
こんなに必死な顔、初めて見たな……
意外と整ってるんだなぁ…
学校では、モテるのかな?
……ちょっと嫉妬しちゃうかもね?
なんてね。
どこからか、救急車の音がする
……ごめんね、星夜。
星夜
星夜
何度も私の名前を呼ぶ君
私は、斜め上から君を見てる
私の“脱け殻”と共に
星夜
君の頬に、滴が流れる
流星群みたいに綺麗だなぁ
泣いてる君に触れようとしたけど
私の手は使い物にならない
触れられないんだ、 ごめんね
透き通っていて、 何も出来ないよ……
夏織
夏織
きっと、聞こえてないよね
でも、本当にごめんね。
心から。
星夜
キョロキョロと辺りを見渡す君
聞こえてるの……?
夏織
夏織
おそるおそる、聞いた
星夜
星夜
涙なんて出ないはずなのに
泣きそうになったのは、私だけ…?
夏織
星夜
星夜
──やっぱり、見えないのかな
夏織
思わず抱きついた
伝わらないはずの温もり
知らないはずの感触
全部、分かる気がした。
星夜
夏織
星夜
見えてないはずなのに
君は私の方を見て笑った
夏織
星夜
夏織
ダメだな、私。
君が笑ってるのに、 私が泣いちゃうなんて。
会えて嬉しいはずなのに。
なぜか涙が止まらないや……
星夜
星夜
少し時間をおいて、君が言った
泣き声も、聞こえてたのかな…
そう考えると、ちょっと恥ずかしい
夏織
夏織
星夜
星夜
そう言って、君が笑った
夏織
星夜
呟くように、君が言った
夏織
星夜
ふわっ、と去年の記憶が蘇る
私が君に言ったんだ……
来年も、見れると良いね。 なんて言ったから
笑い飛ばす君に、
夏織
夏織
と、呟いた
星夜
星夜
星夜
一等星みたいに、君が笑った
一番輝く星、だっけ。
夏織
夏織
私が見えないはずなのに
君は私をぎゅっ、と抱き返した
星夜
夏織
星夜
夏織
『君だから抱きついたんだよ』
そう思ったのは、ここだけの話。
夏織
流れる人波の中、 一等星みたいな君を探す
人の流れは流星群みたいで
少し笑ってしまった
夏織
夏織
橋の向こう側に、君が見えた
あの雨の日と同じように、 立っていた
夏織
振り向く君は、 私を真っ直ぐ見てくれない
そう思うと、少し切なくなる
でも。
星夜
君が私の名前を呼んだ
あぁ、まだ私はここにいたんだ。
存在してたんだ。
良かったよ、君に会えて。
夏織
星夜
夏織
首を振る君に、ホッとする
星夜
『流星群』
二人の声が重なった
夏織
星夜
去年の事が蘇る気がして、 目を伏せた
まぁ、君には何も見えないけどね。
夏織
夏織
ちょっと気まずくなって訪ねると、
星夜
と呟いた
夏織
星夜
星夜
夏織
一昨年と同じように、流星群が流れた
泣いてしまいそうなほど、 綺麗で。
泣きたくなったんだ
もう見てくれない君の前で
星夜
君が呟いた
夏織
ねぇ、星夜。
ただ、これだけは言っておくね
織姫と彦星。
二人が毎年出会って、笑い会うように
私たちも、ここでは笑っていよう?
『星』の『夜』で、 『夏』を『織』り成して
流星群のような人の数でも きっと君を見つけるから。
一等星のような君を、見つけるから。
だから……
夏織
星夜
君が笑った
それは、一等星みたいに輝いていた。
コメント
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ロマンチックすぎる…!! 菜月さんのお話はほんとにキュンとムギュッと心を掴まれます
ありがとうございます😭 頑張ってください!!
ありがとうございます! sayaさんの作品も素敵ですよ笑