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桑、自身には「知恵」。 7歳なのにも関わらず、多くの知恵が身についているqnl。 見には「彼女の全てが好き」とあるがもう一つ。「ともにしのう」と言う意味がある。 もう既に、彼がしぬことを暗示していたかのように。
桑の花言葉を調べてみてくださいね。 色々と小ネタや伏線はあるので是非考察してみてください。
はじめに
🦍社二次創作🍌、🐷メイン 幽霊、虐待、一家心中、死の要素あり ご本人様とは一切関係ありません
ネタ集めコーナー第3話に記載の「ほどけた糸」のアイデアをもとに作られています。
この作品は、扱う内容に配慮し、センシティブ設定になっています。 これは、性的コンテンツではなく、暴力的コンテンツとしてのセンシティブ扱いです。
この作品は、私の作品の中では恐らく最悪なレベルの暗さの作品です。 此処までの注意を踏まえ、苦手な方、不快に思われた方はブラウザバックをする事を強く推奨します。
家庭内暴力、虐待に悩んでいる方や、そういった方を見かけた場合には、直ちに最寄りの警察、または#189(いちはやく)、行政が設置する相談窓口にご相談ください。 また、「死にたい」、「苦しい」と思っている方や、そう思っている方が近くにいる場合、#いのちSOS 0120-061-338や、その他電話、チャットの相談窓口等にご相談ください。
私の判断でこの作品を非公開にする可能性がございます。予めご了承ください。
「8月の僕達」
空を掴もうと、手を伸ばす。 透明なその手を空に翳して、俺はふっと笑った。
これは、俺と君の、夏の思い出だ。
星空を眺め、俺は静かに過ごしていた。
俺が居る小高い丘を、夏風が通り過ぎていく。
辺り一面に山が広がり、満天の星空が何処までも続いているのがよく見えた。
ずっとずっと、夏が終わらなければいいのに。
?
幼い声だった。明るくて高い声。
振り返ると、そこには少年が立っていた。
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何処か不貞腐れている君の顔を、俺は屈んで覗き込んだ。
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君の服は汚れていて、頬には殴られたような痣があった。
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幼稚な言葉を発する姿を見ると、何故か温かい気持ちを覚える。
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そう言うと、おんりー、とかいう奴は俺に背を向けて空を見上げた。
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こいつの悩みを、俺はなんとなく感じ取った。 身体の痣、悲しそうな顔、よれてシワだらけのシャツ。
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そう言うと君は俺の方を向き、手を握ろうとしてきた。
でも、君の手は、すんなりと貫通した。
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なんでもない事なのに、怯えているのか、少し後退りする君。
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すぐ反論した君は、草原に寝転んだ。
沢山の蛙の鳴き声が聴こえてくる。
耳を澄ませば、君の微かな呼吸が聴こえる。
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震える声でそう呟く君。
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ばっと起き上がり、大きく伸びをする君。
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空の月は、キラキラと輝き続けていた。
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目を擦って眠そうにする君。
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空は雲ひとつない、真っ青な晴天で、 蝉がジリジリと鳴いていた。
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お願い‼︎と言われ、押しに負けた自分は渋々君の後を着いて行くことにした。
君の頬に切り方や貼り方を教えてやり、自分で湿布を貼らせた。
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君はひょいひょいとジャングルジムを登り、てっぺんに座っていた。
こいつは運動神経がいいんだな。 何故か感心してしまった。
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ドズル、という人が来たら、おんりーはジャングルジムから飛び降りて、走り出した。
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簡単に幽霊と言わないでほしい。 言っておくが俺は不審者じゃないからな。
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律儀に右手を差し出してきたが、俺は勿論握手はできない。 一応右手を出して、感覚のない握手をした。
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こちらを怪訝そうな目つきで見てくるドズルさん。 待て待て語弊がある。 俺は幽霊だ。こんなお子ちゃまと下心あって寝てるんじゃない。 ひょいひょいと来て目の前で寝はじめたから仕方なくお守りをしてやっただけだ。
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君は静かに目を伏せた。 ドズルさんは悲しそうな顔をしていた。
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気まずい空気が流れている。 蝉の声が、やけに五月蝿く聞こえた。
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情緒が天と地くらいの差の人達がやってきた。 どうしてこの人達はこんなにも性格が違うのに仲が良さそうなのか。
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丁寧なお辞儀をしてくれた。 そんなの幽霊の俺にしなくて良いのだが。
ここはおんりーが通っている小学校らしい。 小さくて、古めな校舎だった。
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ドズルさんが手で示した方向に、眠そうな、身長が高い男が。これがぼんじゅうるさんか。
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眠そうな話し方、面倒くさがっている雰囲気。 ドズルさんとぼんじゅうるさんは大体10代後半といったところか。 おらふくんはおそらく10代前半だ。
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指で作って見せてきた数字は、「7」だった。 7歳。やっぱお子ちゃまだわ。
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俺がヒラヒラと手を振って煽ると、君はとても悔しそうにした。 そこはやっぱり幼稚で、可愛げがあった。
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ドズルさんに軽くあしらわれて少し涙目のおんりーを、俺は撫でてやった。 感覚がないから、わからないだろうけど。
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俺は別になんでもいいんだけどな。 身体はないし、時間は有り余っているし。
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そう言った君を、おらふくんがおんぶした。 おぶられた君は嬉しそうに笑っている。 なんだ、お前ひとりぼっちじゃねぇじゃん。
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おらふくんは、おんりーを降ろした。 代わりに、君の手をおらふくんがぎゅっと握った。
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そう言って、君達は賑やかに歩き出した。
俺にとって、それは眩しい景色だった。 子供だったあの頃の自分を思い出して、どこか切ない気持ちになってしまう。
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どうやら3人は兄弟らしい。 おんりーは、この人達といるとよく笑う。
それだけを見れば、ただの無邪気な子供だった。
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そう言って、君はみんなと別れた。 俺は後についていく。
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そう言って、立ち止まって顔をゴシゴシと拭いている。
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君は鼻声だった。
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おんりーは鍵を取り出し、慎重に開けて静かに中に入っていった。
俺の姿は子供しか見る事ができないらしい。 大人で見えた奴はこれまで一度も見た事がない。
だから、おんりーの家の中に、こっそり入ろうと玄関に近づいた。 幽霊だから、別に子供にも見えない姿にもなれるし。
純粋に、彼の両親の存在が気がかりだった。
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部屋の中は静かで、暗かった。
台所の方に、君は歩いていく。 静かに後ろから着いていった。
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刃の長い包丁が君の首に当てられる。 刃先が皮膚に触れ、傷ができて、血が出てくる。
母
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君は首元を抑えて、逃げる様にしてリビングを出ていった。
君の母親は、残酷だった。 子供を傷つける親だった。
寝室に入っていく君の後を追った。
🍌
父
舌打ちをして、君を突き飛ばした。 思いっきりおんりーの腹を蹴る父親。 当たり前かもしれないが、体格も力も、何もかもが君に勝っていた。
🍌
父
腹部を何度も蹴る父親。 こいつを今すぐにでもぶん殴ってやりたい。 でも、俺には実際の身体が存在しない。
見たくもない。でも、このままでは冗談抜きでこいつは死ぬ。
🍌
ずっと謝罪の言葉を口にし続け、苦しそうにする君。
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🍌
君は俺の声に反応した。
地を這うようにして、君はこの家から脱出する事に成功した。
激しく呼吸をする君。 家を出て、君は玄関の前で座り込んだ。
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君が服を捲ると、赤紫色の大きな痣が出来ていた。
痣は一つだけじゃなかった。服で見えない部分にも、沢山の痣があった。
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ゆっくりと立ち上がって、よろよろと君は歩き出した。
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やけに蝉の声がうるさかった。 カラスの鳴き声が響き渡る。
地平線の彼方に、輝き沈んでゆく夕陽が見えた。
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🍌
君は淡々とそう言った。
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🍌
暗く、星が広がる空を見つめる君は、月の明かりに照らされて、青白い顔に見えた。
🍌
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🍌
虫やカエルの鳴き声が聞こえてくる。 まるで、君に寄り添うかのように、優しい音色だった。
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🍌
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🍌
君は、笑った。
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🐷
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照れ臭くて、誤魔化した。 君はニコニコしている。
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君は、形の無い俺に、ぎゅっと抱きついた。 肌も、温もりも、何も無いのに、君は嬉しそうだった。
月を眺めていた君は、ベンチに横になってゆっくりと眠りについた。
すーすーと寝息を立てて、気持ちよさそうに眠る君。
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🐷
空には星空が広がっている。 俺達には届かない星空が。
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身体を揺さぶるような動きだけをする。 何をやっても、君を揺さぶれないけど。
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腹部を抱えて苦しむ様子。
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🍌
ベンチに横たわった君の顔を、しゃがんで見てみる。
目が合ったから、俺は君のお腹を撫で、そのままその手を空へと上げた。
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🍌
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おどけた話し方をすると、君は笑った。
馬鹿になんてしてない。 俺はお前が心配なだけだよ。 そう単純に言えたら、どんなに気が楽だろうか。
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君はまた笑った。 俺は、この2日くらいで君と近づいたと思う。
本物の身体があれば、どれほど良かっただろうか。
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墓石に刻まれた自分の名前を指でなぞる。
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未だに死んだ実感が湧かないのは、何故だろうか。
死んでから初めて自分の墓を見に来た。 自分が入る番が来るとは思っていなかった。
🍌
🐷
🍌
君は、俺の墓をじっくりと見た。 そしてこっちを見て、また墓を見た。
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俺は幽霊だよ。 おんりーは生きているから分かんないかもだけどさ。
死ぬって、酷いもんだよ。
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そう言うと君はどこかに走って行ってしまった。
そして、何処からかバケツとブラシを持ってきた。
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水をかけて、綺麗にブラシで磨いている。 俺の墓なんて綺麗にしなくていいんだけどなぁ。まあ、嬉しいけどさ。
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君は近くに落ちていた、実と葉がついた状態の枝を持ってきた。
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🐷
🍌
そう言って、君はその枝を墓の前の花瓶に入れた。
おかしいな。
君はニコニコ笑って、俺は叫んだ。
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痣だらけの君の顔、血のついたナイフ。
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もうすぐ、この夏が終わる。
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明日から9月だ。8月はお別れだ。
蝉の叫び声が聞こえる。 空は曇っていた。
俺達は、一体どうなっていくんだろうな、おんりー。
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君は笑顔でそう言った。 この歳の子が、大人に、ましてや両親に気を使うなんて。
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そう言って走って家へと帰っていく背中を、俺は見送ることしかできなかった。
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🍌
涙が止まらない。苦しい。
顔がズキズキして痛いな。 こんなに痣があると、学校で先生に訊かれちゃうな。
母
父
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パパとママは、僕に果物ナイフを渡した。そして、
そのナイフで俺達を刺して、自分も刺せ、と言ってきたんだ。
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🍌
人の気配がした。 さく、さく、と草が踏まれる音がした。
息は荒くて、過呼吸の様になっていた。 か細い声で、何かを言っている。
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振り向くと、そこには痣だらけの君がいた。
君が手にしているものを見て、俺は言葉に詰まった。
血がついた果物ナイフ。 君のいつものシャツにも、べっとりと血がついていた。
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「死んじゃったんだ。」 その言葉が、俺にはにわかに信じられなかった。
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君は右手にナイフを握っていた。
その手は、がたがたと、震えていた。 呼吸が激しかった。
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君の肩を掴んだ。相変わらず身体が透けているせいで、君には届かない。
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君は首元にナイフを当てた。 君と出会って2日目にできたあの傷口にだった。
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君はもうおかしくなっていた。 7歳のガキが背負っていい物なんてない。
なのに、君は沢山背負った。 育児放棄されて、虐待されて、挙句の果てには一家心中。
だから、君は壊れた。 俺はそれが悔しかった。 どうして自分は止められない?
どうして自分は、こんなにも無力なのだろうか。
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口から出る言葉は、綺麗事ばかりだった。
そんな自分が嫌で嫌で仕方がなかった。
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こいつは7歳にしては口が達者だった。 1人でなんでも背負っている事の表れだろうか。
そんな事言わないでほしかった。 こいつだけはそんな事をほざかないと信じていたのに。
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そんな言葉は、多分君には聞こえていなかったんだ。 君はナイフを胸に向けた。
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君は最期に笑った。無邪気な笑顔だった。
無邪気な笑み、邪気に満ちた動き。 対になった状態の君。俺は止めたかった。
君は、ナイフを…
叫び声は、誰にも聞こえずに、空に吸い込まれた。
神様が、もしもこの世界に存在するなら。
俺は祈りたい。
こいつの来世が、幸せな人生でありますように、って。
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乾いた笑い声しか、出なかった。 涙が、止まらなかった。
視界がぼやけて、君の血が広がっていくのがなんとなく捉えられた。
俺は、君の頭をそっと撫でた。
感覚があった。人肌の感覚だった。 俺は信じられなかった。 どうして触れるのだろう。神の慈悲か?
撫でると、まだ君の温もりは残っていて、生きているんじゃないか、と錯覚した。
でも君は、死んでいた。
俺の視界もぼやけていく。 失われて、灰になっていく自分の幻の身体が目に入った。
俺、やっと成仏できるのかなぁ。
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名前を呼んだのに、君からの返事はない。 俺は何度も何度も名前を呼んだ。
次第に声が掠れていった。 君の温もりを感じられる手も、消えていった。
視界が、真っ白になった。
また友達になろうね、men。
そんな声が聞こえた気がした。
また8月が始まった。
夏が幕を上げた。 これまでとは違う夏だ。
だって、
自分の身体があって、
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他愛のない話で笑い合える、
大切で、最高の友達がいる夏だから。
8月は、繰り返すことをやめない。