前回までのあらすじ
妊婦さんを助けて階段から落ちたアニキは、 一度は亡くなるものの、初兎くんの大事なものと引き換えに生き返ります。
治ったと思われた骨折の後がまた痛みだし、 いふまろとないこと別れた後、アニキは倒れてしまいます。
「アニキの骨折」 の続きです。
また、「アニキの無痛症」から始まるシリーズの4作目です。
本編はこちら
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嫌な予感がした。
「今から帰る」 と言うLINEが来たのが2時間前。
いい大人、といえども、
初兎
この時間まで外を歩いてあるとは考えづらい。
初兎
先日事故で骨折したばかりのアニキ
初兎
不安ばかりが募り、いてもたってもいられなくなった僕は、 いつまで経っても返信を知らせないスマホと帽子を掴んで家を飛び出した。
灯りのまばらな住宅街を、 白い息を吐きながら駆ける
初兎
初兎
何度も鳴らす電話には、一向に出る気配もなく
初兎
初兎
いれいすのメンバーにまだ知らせていなかったことを思い出す。
初兎
震える手でアニキがいないことを打ち込んで送信したその時、
初兎
初兎
初兎
長髪を冷たいコンクリの地面に散らすように横たわる人影
汗に濡れた前髪を退かすと、 その顔は苦痛に歪んでいた。
悠佑
胸のあたりを、服の上からきつくきつく押さえつけて。
初兎
LINEを立ち上げ、メンバーに助けを求める。
指先が冷たく強張って、震えが止まらない
初兎
初兎
必死に現在地とアニキの状況を送信すると、 すぐに既読がついた。
初兎
初兎
初兎
初兎
初兎
初兎
初兎
初兎
ないこ
ないこ
初兎
ないこ
いふまろ
いふまろ
初兎
大人組の力強い返信を見て、 肩の力が抜けた気がした。
詰めていた息を吐き、大きく吸うと、 ひんやりと乾燥した冬の空気が肺にまで届いて少し咳き込む
初兎
初兎
初兎
初兎
声を捨てたのに
初兎
初兎
初兎
初兎
アニキの唇はどんどん色を失っていく
焦りはする物の、どうすればいいのかわからないまま
ひたすら悠くんに、 許さない と呼びかけ続ける
そうでもしないと、正気を保っていられないと思ったから
視界がぼやけて、慌てて上を向いた。
初兎
初兎
来ていたジャンパーを、 そっとアニキの体にかけると 遠くから近づくピンクと青が見えてきた。
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