朱音
なあなあ
見て
見て
朱音
このウィッグかぶったらさ
朱音
ほら
朱音
男と会う時はもう少し化粧もするけど
朱音
どう?なかなか美人だろ
朱音
今まで奪ってきた男どもも、みーんな完璧に騙されてたよ
朱音
どいつもこいつも、オレが男だなんて思わないんだ
朱音
笑うよな
理香
朱音!どうして……
理香
どうして、こんな……
朱音
はあ?
朱音
本気で言ってんの
朱音
今までお前に粉かけてきた男全員こうやって奪ってたの
朱音
その理由、本気で分からない?
理香
分からないよ!
分かるわけないじゃん……!
分かるわけないじゃん……!
朱音
……
朱音
お前はさ
朱音
昔からオレのこと、小さいだの可愛いだの言ってたよな
朱音
お前にとっては褒めてるつもりだったのかもしれないけど
朱音
オレはずっと辛かった
理香
……?
理香
男の子なのに可愛いって言われてたことが……?
朱音
それもあるけど
朱音
お前に異性としてまるで意識してもらえてないことが
朱音
今だってそうだ
朱音
オレのことを少しでも異性だと思ってたら
朱音
一緒に住もうなんて言わなかっただろ?
理香
(確かに朱音のことは男の子というより、ほとんど女友だちみたいなつもりで思ってたけど……)
理香
でもだからってこんな……
朱音
男として見てもらえないから
朱音
せめてお前を他の男に盗られないようにしようと思ったんだ
理香
……!?
朱音
何驚いた顔してんだよ
朱音
オレは幼稚園の頃からお前のことが
朱音
ずっと好きだった
理香
え……
朱音
十五年を超える片思いの辛さ
朱音
お前に分かるか?
理香
そ、そんなこと言われても……
理香
私、朱音のこと、そんな風に思ったことないし……
朱音
……そうか
そうだよな
そうだよな
理香
そ、それにいくら何でもひどいよ
理香
私が好きになった人を、女の子のフリして奪うなんて……
朱音
ひどい?
朱音
お前がオレをこんな風にしたっていうのにか?
理香
私が?
朱音
お前が全然振り向いてくれないから
朱音
オレはこうなったんだ
理香
そ、そんな!
理香
急にそんなこと言われても困るよ!
朱音
あー
朱音
何か面倒くさくなってきたな
ガシッ
理香
や、やだ!離して!
朱音
女が一人で男の部屋に入るってのはさ
朱音
そういうことだろ
理香
いや!何するの!?
理香
やめて!!
朱音
最初からこうしていれば良かったなあ
理香
い
理香
いやぁーーー!!