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♪いつか夢見た童話の世界
♪それも今日でおしまい
♪そして新しく生まれるめでたし
♪のらりくらり刺していく
♪甘い幸せ奪っていく
♪たとえ私の心臓が
♪クリーム塗れの苺でも
♪誰にも食べさせてあげないの
♪百年経っても溶かされないの
(ピンクのどろどろした背景と)
(布やビーズで作られた絵)
(パッチワークのドレスを着て)
(気持ち程度の小さなティアラを被った女の子が)
(フォークとナイフを持ち)
(ケーキをザクザク刺し続けている)
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
『なかなか尖った曲ですね』
『完全に病んでるわ』
『主さんは多分聡明な方だとお見受けします』
『人類にはまだ早すぎたようだ』
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
『ありがとうございます』
『でもなぜそう思われたのですか』
夢香
夢香
『もしかしてあなたも』
『人を殺したことがあるんですか』
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
『鬲泌・ウ』
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
yume
yume
(スクショを貼る)
yume
yume
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
yume
yume
yume
yume
鬲泌・ウ
yume
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
yume
yume
yume
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
夢香
夢香
夢香
夢香
yume
鬲泌・ウ
yume
yume
鬲泌・ウ
鬲泌・ウ
夢香
夢香
(女の子がケーキに埋もれている絵を指す)
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
両親にとって私は馬鹿でした
念願の一人息子だったのに
“娘”になりたがるような人間でしたから
父には教育と称して暴力を振るわれ
母は至って無関心
ニュースでよく見るような光景の毎日でした
死ななかったのが奇跡だと思います
でもある時限界に来てしまったんですよね
まず頑なに禁止されていた女装をしました
見つかったら即殴られると分かっていたので
敢えて自分から殴りに行くことにしました
黙って家から出ることもできたと思います
でも私は殴り返さないと気が済みませんでした
格好に不釣り合いな声で
ドンドン壁を叩きました
反抗するのは初めてのことで
それくらいしか方法が思いつきませんでした
部屋から出てきた父はなぜか
怒るというより戸惑っていました
もっと早く怒っておけばよかったと思いながら
私は精一杯甘えた声で呼びました
それでも尚
子供扱いしてもらえなかったので
私は包丁を突きつけました
台所にある中で一番鋭利なものを選びました
すると父は呆気なく壁に追い詰められ
情けなくへたり込みました
そして今更のように泣き始めたのです
私は分かっていました
その涙は自分の為で
私の為じゃない
これからもこいつは
私の為に泣くことなどないのだと
私は父を刺しました
悶え苦しむ様を見て
果てしない喜びを感じました
大袈裟なくらい喜んでいないと
自分まで殺しそうだったのです
その時、既に脳内には
あの曲が流れ始めていました
私は鼻歌を歌いながら
次は母の書斎に行きました
そう告げると、母は一旦顔を上げましたが
と言ってすぐ書類に目を戻しました
母は本を書く人です
忙しいのは分かります
けれどそんなに仕事が大切なのかと思うと
それを奪ってやりたくなりました
私は当然母を刺しました
でもその間際
本棚に立て掛けてあった
『母と娘の───』
といった背表紙が目に飛び込んできて
少し力が弱まりました
と言うと、母は馬鹿にしたように笑いました
確かにそうだなと思い
私は包丁を引き抜きました
それから母は死体を隠すのを手伝ってくれて
自分の不注意による怪我だと
嘘をついて病院に入院しました
私はしばらく一人で暮らすことになりました
気が狂いそうなほど静かで
その分脳内ではあの曲が流れ続けていました
止めたら終わりな気がして
延々とその曲と暮らしていました
だからといって親に無関心になるのも良くないと思い
私は初めて母のパソコンを使い
初めてネットで母の名前を検索しました
どうやらあの本は出す前だったようで
私は正直ほっとしていました
何も知らないくせに
知ったかぶったことを書かれて
知ったかぶった感想が並んでいた場合
その人たちも全員殺していたと思います
本の代わりに母のTmitterを見つけました
恐る恐る開くと
最新の呟きは私に関するものでした
『あの馬鹿野郎、とうとう刺しやがった』
『まだ腹痛い、おかげでろくに書けない』
『締切もうすぐなのに、皆ごめんね』
私に謝ったことのない母が
誰でもない何かに対して
軽々と謝っていました
『大丈夫?無理しないでね』
『お家が大変なことは分かってるから』
『うちもそうだった』
『でも何とかなるよ』
『のらりくらり、ね』
返信欄には労いの言葉が溢れていましたが
私を労う言葉は一つもありませんでした
全員殺したくなったので
私はパソコンを壊しました
それで気が済むはずもなかったので
帰ってきた母を再び刺しました
こうして私は完全に一人ぼっちになりました
二人も殺したのに
拍子抜けするほど誰にもバレなかったので
とりあえず閉じこもって
ひたすら閉じこもり続けて
あっという間に時が流れて
生きているのか死んでいるのかも分からないまま
ただ、確かに呼吸をしては
あの曲を口ずさんでいました
スカートで過ごすのが夢心地過ぎて
足をめいっぱい広げて床に倒れながら
今までの全ては夢だったのではないかと思っていました
そのうち夢を見ました
余程気にしていたのでしょう
夢でも私は
殺人の再演をしていました
唯一違ったのは
二人が笑って
私を許していることでした
自分さえも自分を許していました
その時、私は無性に
あの曲を聞いてもらいたくなったのです
世界中の皆に
私がいつか殺すかもしれない
私をいつか殺すかもしれない
でも今だけは共存している
そんな人間たちに
どうしようもない生き物たちに──
夢香
(立ち上がる)
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
〜後日〜
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
夢香
『友達っていいな♪』
夢香
夢香
〜終〜