雄英高校の教室。
相澤消太
相澤消太
沈黙な教室に泣き叫ぶ声が響く。
けれど、爆豪は"泣かなかった"。
ピッ
爆豪勝己(将来)
>ダイナマ、…そろそろ、休んだ方が……
ピッ(切
休む訳にはいかねーんだよ、…
泣くことも忘れたかのように、爆豪は、デクの不在を埋めるべく、狂ったように戦場を駆け続けた。
爆豪勝己(将来)
誰もいない家。
洗濯物に残った柔軟剤の匂い。
冷めきった隣の枕。
爆豪勝己(将来)
爆豪はあの日から一度も足を止めていない。
そして、ある物が爆豪に届く。
警察から届いた報告書を、血走った眼で見つめる。
報告書には、あの日デクが飲み込んだヴィランの個性が、残酷なまでに詳細を記載されていた。
報告書。 『個性パラレル・ドリル』 物理的な破壊を司る「ドリル」と、空間をを穿ち別世界へ接続する「パラレルワールド」。 この個性には『デビル』と『エンジェル』という二つの意志が宿っている。本来はエンジェルの方が強大な力を持つが、所有者がヴィランへと堕ちたことで主導権は『デビルへと逆転。今回の爆発は、デビルが所有者の制止を無視し、強制発動させた暴走である。 被災者・緑谷出久は、多層構造のなかでも到達困難な領域――『過去』の世界へと強制転移させられた可能性が高い。なお、この『過去』は、最低でも"5年"は目覚めない。 そして、これまでにこの制限されている時間を破った人は"いない"。
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
爆豪は震える手でスマートフォンを掴み、受話器に向かって吠えた。
物間寧人
ガチャ
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
物間寧人(将来)
ガチャ
数十分後。
静まり返った事務所に、その男は現れた。
物間寧人(将来)
そう言って足を踏み入れた物間は扉を一枚隔てた先にあった異常なまでの熱量に、思わず言葉を呑み込む。
考えてもみて欲しい。
普段の爆豪なら、物間の態度にすぐさま、吠え返していただろう。
けれど、この部屋を満たしているのは、そんな次元の低い怒りではない。
それは、自分の命すら燃料にして燃え上がる、静かで聖火のごとき、『救済への意思』だった。
物間は、いざ爆豪の瞳を見て、本当の意味で言葉を失った。
そこには「ヒーローとしての精神の光」と「出久を助けたいという純粋な愛」が共鳴し、眩しい熱を放っていたからだ。
それは、自分を救うための光じゃない。
たった一人、誰にも助けを呼べない「過去」という名の密室へ放り出された愛しい相棒を、どんな犠牲を払ってでも引きずり戻してやるという、命を懸けた誓いの光。
物間の「来たよ」という軽い挨拶さえ、その光の中に吸い込まれ、一瞬で蒸発してしまったかのような錯覚。
爆豪の瞳は、もうこの現実の景色なんて見ていない。
色もついちゃいない。
ただ一点、あいつが独りで泣いているはずの、遠い過去の闇だけを射抜いている。
物間寧人(将来)
物間寧人(将来)
物間は震える喉を抑え、不敵に問いかけた。
バァン
爆豪は答えを返す代わりに、報告書を叩きつける。
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
物間は報告書に目を落とし、顔を伏せた。
物間寧人(将来)
物間寧人(将来)
物間寧人(将来)
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
その気高き執念に、物間は小さく笑った。
物間寧人(将来)
物間寧人(将来)
数日後。刑務所にて
物間寧人(将来)
物間寧人(将来)
物間寧人(将来)
物間寧人(将来)
ドォォォォン
轟音と共に空間が裂け、漆黒の穴が口を開ける。
爆豪勝己(将来)
爆豪は最後に一度だけ、首元の指輪に触り、振り返ることなくその深淵へと身を投げた。
緑谷出久(将来)
緑谷出久(将来)
緑谷出久(将来)






