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航side

浦田航

はぁー、なんで殺人なんか……

姪っ子の舞姫が人を殺したらしい。 一歩一歩、足を踏み出す度に鞄の中に入った 刃物達が擦れて鈍い音を立てる。

浦田航

………舞姫、ほんとに大丈夫なのか?

電話越しに聞いた彼女の声は何処か 怯えているようにも思えた。 今日は寒いし雪も降るらしいから、着いたら 彼女にココアでも淹れてあげようか。

浦田航

さて、急がなきゃ。

たった一人の可愛い姪っ子が きっと凍えて待っているところだろう。

ピーンポーン♪

浦田航

はぁー、舞姫ー。開けてくれ、

望月舞姫

…………うらたさん、

人が一人ギリギリ通れるくらいの ドアの隙間から見えた舞姫の綺麗な服は、 赤く濁った血液で汚れていた。

浦田航

舞姫……入っても大丈夫か?

望月舞姫

うん、

浦田航

お、お邪魔しまーす……

浦田航

うわ。これは……酷い有り様だな。

望月舞姫

あはは、10分も死体と
一緒だったとか……気ぃ狂いそう。

浦田航

大丈夫、俺が来たからもう安心して。

浦田航

それで……コイツ、山に埋めるか
海に沈めるか、どっちにする?

望月舞姫

え、なんで……?

浦田航

警察に突き出されるとでも思った?
やんないよそんな事。俺も犯罪スレスレの
仕事やってるし、バレたら困るじゃん?

浦田航

それに……大事なたった一人の姪っ子を
警察になんか突き出して溜まるか。

望月舞姫

…………!

赤く暗く。ずっと濁っていた 舞姫の瞳は元の色である赤が混じった桃色を 取り戻して、キラキラと輝き始めた。

浦田航

そうだ。これ……舞姫にあげようと思ってさ。

望月舞姫

キャンディーポットと……
これ、テディベア?

浦田航

そう……どう?気に入ってくれたか?

恐る恐る舞姫の反応を伺う。昔、一度だけ 彼女の誕生日にキャンディーポットと テディベアをプレゼントした事がある。その時は……

《これは美味しくないものだから……》 《テディベアは、有難く頂くね。》

浦田航

……………

幼き彼女は、キャンディーポットを ゴミ箱の中へと放り投げた。 唯一受け取ってもらえた水色のテディベアは 数年後、再度彼女に会いに行った時には もう既にそれは無くなっていた。

望月舞姫

………ありがとう!

浦田航

えっ、

望月舞姫

このテディベア可愛い~!
なんでピンクにしたの?

浦田航

あー、あはは。舞姫にはやっぱ
水色よりピンクが似合うなって……

浦田航

お前も、確かピンク好きだっただろ?

望月舞姫

うん!大好きだよ!

望月舞姫

どっちも気に入ったよ~、ありがと!
わ~、中のキャンディーとか
金平糖美味しそう~!食べても良い?

浦田航

え、あ、良いけど……

望月舞姫

じゃあ、いただきまーす!
………ん~ふふっ、おいしぃ~♪

浦田航

……ねぇ、そんなに喜ぶならさ、
なんであの時、捨てたりしたの?

望月舞姫

………あのね、私生まれ変われたんだぁ。

浦田航

は?え、何言って……

ダイニングテーブルに頬杖を付いて 舞姫は淑やかに微笑んだ。 あれ、コイツ前までこんな顔する奴だったか?

望月舞姫

私ね、すっごいカッコ良いのに
とっても可愛い天使様に出会ったんだ。

浦田航

天使様……?

望月舞姫

白い髪に、赤いおめめがとっても
綺麗な男の子でね。まぁ私より
5歳も年上なんだけど、でも可愛いの!

浦田航

白髪に赤目……待って、そいつの
名前とか舞姫知ってる?

望月舞姫

うん、知ってるよ。

望月舞姫

相川真冬くんって言うみたい。

浦田航

……はぁ~、やっぱりなぁ……。

望月舞姫

え?なに、どうしたの?

浦田航

そいつ、俺の彼女の坂田の友達な。
因みに俺もさっきそいつ遊んだばっか。

望月舞姫

…………うらたさんが、天使様のお友達で、
さかたんも、天使様のお友達なの……?

浦田航

そう言うことになるな。

浦田航

因みにお前の幼馴染の一里さんの
彼氏の遼さんはそいつ……まふの身内な。

望月舞姫

…………私の友達みんな天使だった?

浦田航

どうしてその結論に至ったかは
分かんないけど…んで?コイツどーすんの。

俺は話の路線を戻す為に、 足元に転がっていた死体をゲシゲシと蹴る。 俺?靴とか脱いでないけど…なんで?

望月舞姫

あ、あぁ!捨てなきゃだよね……
まずはバラさなきゃ……

浦田航

じゃあ俺手伝うよ。小型ノコギリとか
色々持ってきたからさ。舞姫は
なんか手頃な袋とか探して来てくんね?

望月舞姫

分かった~。

望月舞姫

ごめん、ゴミ袋とか無かったから
麻袋で良いかな?どう思う?

浦田航

あ~、血は染み出すけど……
まぁ良いんじゃね?よし詰めるぞ。

望月舞姫

はーい。

その後は、明け方まで舞姫と 死体の解体をして過ごした。疲れて 寝てしまった彼女を抱き上げる。

浦田航

うわコイツ軽………

望月舞姫

んん………

浦田航

あー、やばい起きそう。

未だすやすやと眠る彼女を 比較的血が付いていないリビングの ソファーへと移動させる。

浦田航

さて、俺は血痕とか消しますか。

もしこの事が警察にバレたらって? はは、大丈夫だよ。その時は命に変えてでも 大事な姪っ子を守ってみせるから。

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