よく晴れた空に 肌を刺すみたいな冷たい風
街はクリスマスに 染まり始めていて
私の心も何処か 風船みたいに浮いている
そんな通学途中の朝
藍里
一人駅までの道を歩いていた
特に何もない平凡な日々に 季節だけが移り変わる
急かされるように周りの人達は 出会い別れを繰り返して
恋を知らない私は疎外感が募った
クリスマス……とか。 なんもないし。
プレゼントは恋する気持ち…だなんてふざけて言ってみようかな
凛
背後から声が聞こえた
藍里
藍里
ニコニコと弾けるような 笑顔をする彼女は今日も可愛い
なんて、本人の前では 絶対言わないけど。
凛
藍里
凛
なんてことだ
折角の彼氏がいる(かもしれない) クリスマスを勉強で消費するなんて
まぁ絶対居ないんだから 良いんだけど。
藍里
絶対、勉強会にならないだろうな
凛
凛
弾けた笑顔はきっと夜になったら
イルミネーションみたく 輝くのだろう
そんなことを思ったら 何処かで雀が鳴いた
祐也
無駄にテンション高い人が叫んだ
てか、いつメンじゃないし。
絶対そんなに 回数重ねてないでしょ
今日はクリスマス
約束の勉強会だ。
藍里
凛
私、凛の他に3人もいた
空気決定だ…こりゃ…
大樹
凛
空
ごちゃごちゃかよ
藍里
取り敢えず呟くと
祐也
にっこりと祐也が 隣で微笑んでいた
凛
大樹
空
凛
凛
藍里
祐也
祐也
凛
祐也の微かなツッコミは 静かに空気に溶けた
空
大樹
空
祐也
勉強会どこいった
どっから出てきた カラオケの話?!
あなた達凛の歌声 聞いたことあるのかい?!
和やか雰囲気飛んでくからね?!
言いたくないけど音t
凛
藍里
条件反射なのか それともショックなのか
凛の頷く仕草と言動で 発狂してしまった
大樹
凛
ありますとも 溢れるほどに
そんなささやかなツッコミも 彼らの騒音にかき消された
祐也
藍里
祐也の優しい言葉に深く頷いた
このままここでカラオケ大会とか始まったらたまったもんじゃない
藍里
そう言って私は指先に息をかける
白くなった息は指先を 一瞬温めては消えていった
祐也
藍里
藍里
上を向くと白い粉雪が 踊るように舞っている
俗に言うホワイトクリスマス ってやつだ
祐也
藍里
藍里
祐也
藍里
祐也
藍里
寒さを和らげるように笑うと 対象的に真面目な顔になる祐也
なんて言うの?凛々しい…?
祐也
藍里
祐也
緊張に染めた顔色で聞いてくる祐也
すごく真剣そうで 始めて見る表情で
藍里
藍里
和ませるように苦笑いした
祐也
残念そうに下を向く祐也
なんで、そんな顔するの…?
藍里
藍里
冗談めかして笑うと 雪が溶けるよりも小さな声で
祐也
祐也
祐也
藍里
呟いた声は 律儀に私の鼓膜を揺らした
祐也
耳まで真っ赤に染めて 私の前を歩き出す祐也
藍里
すぐに駆け出して隣を歩くと 何気なく手を掴まれて
祐也
いたずらっぽく笑った祐也
降り積もる雪に足跡を残して
何処からか聞こえる クリスマスソングに耳を傾けて
胸が鳴るのが不思議だった
あぁでもこういうとこ
藍里
祐也
藍里
恋って多分、不思議だ
たった一人の為に胸が高鳴って 特別な気分になって
それが恋なら
祐也
藍里
今、私は祐也に恋をした
コメント
104件
クリスマスガチで勉強してた人✨((塾
初コメ失礼します。 クリスマスに初恋それに初雪とても素敵です!
なんか…ツコッミが色々と共感出来ましたw あっ!初見です♪オススメに出てきたので見ちゃいました 凄い素敵なお話ですね! 私もこうなれたらいいなぁ…