〝すき〟って感情がわからない
ずっと、そう。
相手のことを考えるとドキドキして
異様に幸せ
それが〝すき〟なんだって
青
君に出会ってから教えてもらった
桃
桃
ほんとは
それだけじゃないのに
青
桃
落ち着いた声色
手足を絡めて近くなる距離
青
ふと、彼が思い出したように呟く
青
静かに震えた声
桃
桃
なんて
あんなに青を傷付ける未来が待ってるのに
桃
目が覚めれば
知らない天井
桃
「嫌いになったりしないよね……?」
桃
桃
なんで
俺が
桃
桃
必死に立とうと体を動かす
桃
力を入れた右腕に痛みが走る
桃
早く彼に逢いたい
散々傷つけといて今更だけど
いかないで───。
……ガチャッ
桃
看護師
桃
あれからの記憶がない
看護師
看護師
桃
───そうだ
あの時
青が飛び降りた時
必死に青の元へ行こうと階段を思い切り降りた
その時……焦ったせいで足がもつれてそのまま──
看護師
看護師
俺なんかどうでもいいのに
このまま死んじゃえばよかったのに
桃
看護師
看護師
異様にその反応が怖い
あのままあいつは───?
看護師
桃
カーテンの隙間からうっすら見えた
水色の髪の毛
桃
頭に包帯を巻いて
口元を呼吸器で繋がれた
何とも痛々しい姿
密かに
呼吸をしていた
桃
ぎゅうっと手を握りしめてはみるものの
握り返してはくれない
ほんの少し体温を持つ、白くて消えてしまいそうな手だった
桃
ごめん
そんな一言じゃ済ませないのは分かってる
看護師
看護師
看護師
看護師
看護師
桃
せめて俺が死ねばよかったのに
なんて痛いほど自覚する
看護師
看護師
桃
医者によると青は昏睡状態で
そもそも目覚めるかどうかも分からないらしい
もしかしたら
このまま
……って。
青が落ちた先は運良く芝生で助かったけど
頭部を打ち付けてしまった
芝生だから、頭部はそこまで大事には至らなかったらしい
ただ、結果はこの状態
桃
遠ざかってから大切さに気づく
──ガチャッ!!!バンッ!!!
桃
勢いよく開いた扉
桃
苦しそうに息を切らして
方を上下動かしながらも視線は俺を捉えている
赤
赤
桃
黄
赤
赤
こんなに赤が怒るとこ 見たことない
それもまあ仕方なく「ごめん」とすらも言えない
赤
赤
赤
黄
必死に涙を流して謝る姿
元々
俺と青の問題だから、赤は関係ない
桃
赤
赤
数秒経ってから ゆっくり口を開く
赤
桃
全部俺のせいなのに
赤
崩れ落ちて ただ泣き崩れる
黄
そんな赤を必死に宥める黄
桃
ただ俺は青の消えそうな手を握りしめることしか出来なかった
それすらも、ゆるされないようで──。
赤
桃
黄
桃
黄
桃
急な恋バナに困惑しながらも
話を聞く
黄
黄
桃
「ごめん」も違う気がして
白々しい相槌を打ってしまった
黄
それは物理的にも精神的にも言える事だった
すきってなんなんだろう
黄
それから
黄は黙って帰って行った
桃
数ヶ月経ってかなり回復してきた頃
そろそろ退院許可が下りる頃
また手をぎゅうっと握る
桃
桃
桃
何が何だかわかんない
桃
桃
桃
こんな世界で俺は生きてく訳にはいかないから
離そうとした手を気づかない程弱く握り返された
桃
青
小さくて弱々しい声は
やけに大きく俺の中で響く
桃
青
青は
何故だか全てを察しているよう
桃
「僕、ほんとに無理だよ……」
「ごめんね、ほんとに好きなの……」
桃
桃
青
声を出す体力もないのか否か
ただ黙ってこちらを見る
ナースコールを押そうとした俺の手を
すっと青が止める
桃
桃
青
少しだけ可笑しそうに笑った
桃
桃
真っ直ぐな視線に射止められて
顔を逸らせない
青
青
桃
それから
喋って体力が尽きたのか、眠ってしまった
複雑な心情を抱えたまま
ナースコールを押した
それから
俺は退院して
桃
ずっと家で引きこもりっぱなし
青の見舞いにすら行けていない
顔を合わせるのが、どうも申し訳なくて。
俺が知らない間に青は回復していくようで
退院も数週間か1ヶ月かすればできるらしい
桃
桃
いつか消えてしまおうって
でも それはいつ?
彼からのLINEをいつも期待してしまう
全部、君のせいだって
最期まで最低な言い訳を繰り返すのだろうか
青
通話
00:00
桃
桃
青
久しぶりに聞いた
少し小さな声
青
桃
前の距離感が分からなくて
冷たい返答
桃
青
青
桃
青
桃
思い沈黙
気まづい雰囲気
桃
こんなに青は
俺に寄り添ってくれるんだろう
近いうちに消えようなんて思ってる身なのに
青
桃
青
桃
プツッ
ツーツー
桃
ごめんって謝らせて
散々傷つけて
馬鹿だ
もう
二度と会えなきゃいいんだ
台所
かちゃりと手にした包丁
ひんやりとした感覚
桃
俺
もうむりだ
桃
___ピンポーンッ
桃
桃
苛立ちながらモニターを見る
桃
──ガチャッ
桃
桃
青
青
息を切らして
ドアに少し手をかけている
青
青
青
ふわっと広がった
少し切なげな愛想笑い
青
桃
青
青
そのまんまくらっとバランスを崩す
思わずそんな体を受け止めては
桃
ぎゅっと
抱き締めてみた
今更
ごめんなんて言えない
愛してるなんて言えない
青
青
青
胸の中で泣いている姿が愛おしくて
死のうなんて
このまま消えてしまおうなんて___
青
なんやかんや
上がらせてもらう
桃
青
もう
夜は遅い
ぎこちなくてどうしようも無い雰囲気
今日1日だけ退院許可が下りた
桃
青
青
先程から気になっていた
意図的に机の上に置かれている包丁
ずっと触れてみては 静かに持ち上げる
桃
桃
君がそう驚くのも
当たり前か
青
桃
ポタポタと腕からこぼれ落ちる血
青
桃
彼の右腕の裏に深い傷
一生残るはず
青
桃
桃
青
桃
桃
青
震えた声は
静かに部屋に響く
青
青
すき
だいすき
ああもう
何泣いてんだ僕
桃
青
青
君へなら狂ったっていい
むしろ狂わせて
桃
桃
桃
僕の愛なんて
最初からこんなもんだった
迷惑じゃないでしょ
あいしてるんでしょ
とことん溺れるし
死ぬほど狂って君に壊されたい
いいでしょ
すきって言ってくれたんだもん___
みく
解説たいむ.ᐟ.ᐟ
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
みく
ご拝読ありがとうございました🍀✧︎
コメント
2件
「死んでも生き続ける愛」めっちゃ天才だと思いました…題名にはそんな意味があったんですね そして傷跡をお揃いにするとか…どうやったらそんなの思いつくんですか…!! ほんとに天才だと思います!そしてめっちゃ最高でした!