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涙か雨か分からない 水滴が頬を伝う。

でも少し塩っぱかったから、 きっと雨じゃない。

伏黒恵

…悪かった

白浜司

なんで謝るの?

伏黒恵

なんでって…

白浜司

私は謝ってほしいんじゃないよ

伏黒の言葉を遮る。 私は構わず続けた。

今更止まれない。 止まる気もない。

ちゃんと 伝えなきゃいけないから。

白浜司

…謝ってほしくなかったんだよ

白浜司

私は伏黒に“好き”って言ってほしかったんだよ

伏黒恵

やっと合わせた瑠璃色の瞳は、

たった一日なのに すごく久しぶりに見た気がした。

涙で視界が滲んでいるのに、 その色だけは鮮明で。

白浜司

キスされて、嬉しかった

白浜司

でも突然のことで気持ちが追いつかなくて…

白浜司

謝るんじゃなくて、「好きだからキスしたんだ」って、

白浜司

ちゃんと言葉で言ってほしかったの

掴まれていた腕を引かれ、 伏黒の体に包まれる。

ザーザーと鳴る雨の音が 一瞬消えた気がした。

冷えていた体が じわりじわりと熱くなる。

伏黒恵

…悪い、謝るしかできなくて

伏黒恵

お前との関係が壊れることにビビって伝えられなかったくせに、

伏黒恵

結局手が先に出た

伏黒恵

挙句の果てには手ぇ出しても言えなくて…

伏黒恵

お前を傷つけた

耳元で響く低音。 その声に緊張が走る。

伏黒恵

好きだ

伏黒恵

司のことがずっと前から

伏黒恵

泣かせて…悪かった

伏黒の言葉に安堵して、 私も腕を回す。

ギュッと背中の服を掴んで 胸元に顔を埋めた。

白浜司

謝らないでってば

伏黒恵

あぁ

白浜司

私も好きだよ

伏黒恵

……あぁ

伏黒の顔が私の肩に埋まる。

私も伏黒も声が震えていて、

けれど泣いてる証拠は 雨と一緒に流された。

冷たく打ち付けるそれも 今の私達には

鬱陶しく感じる余裕もない。

ただ互いの体温を、心音を、

気持ちを分け合って 確かめるだけだった。

これは恋が下手な、 私と君の物語。

白浜司 伏黒のことは好きだったけど、自分の気持ちにも相手の気持ちにも鈍感なタイプのため、キスされるまで気付かなかった。突然キスされた事より、「好きだからキスをした」という伏黒の告白がなかった事にショックを受けた繊細な子。

伏黒恵 だいぶ昔から司のことが好きで、拗らせ過ぎた男子。10年間築き上げた2人の友達としての仲を壊したくなくて動けずにいたけど、好き過ぎる衝動と地雷を踏まれてキスしちゃう。司がキスをされたからショックを受けていると思っていた。相合傘していたのは、来栖が濡れていて困っていたからで、他意はない。恋が下手な男子代表。

恋 が 下 手 な 私 と 君

fin

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