暇72
彼は俺の耳元で
『大好き』とだけ呟いて、
俺に背を向け、 多分また部屋に戻った。
何しにきたんだろ。
考えるだけで無駄だとわかった。
抱きしめられた体に 余韻が響く。
じんわり暖かい胸あたり。
押さえると、 心臓の鼓動の早さを知った
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すちの匂いがまだ少しする。
同じ洗剤だけどみんなとは少し違う
お日様みたいな暖かい匂い。
それと、知らぬ間に咲く 蒲公英みたいな甘い匂い。
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そばにいる、そう感じるだけで。
心は自然と、 温かくなる。
膝の上で握られた拳。
なぁすち、知ってるか?
お前も俺に“愛”って 教えてくれたんだぜ。
お前のおかげで。ね。
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不意に、力強く握った手が震える。
天を仰げば、じんわりまた 目頭が熱い。
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離れるなんて、
もう会えなくなるなんて、
…ー考えたくない。
あいつには俺が居なきゃダメだから。
だめだ。ほんとに。
なぁすち。教えてくれよ。
お前は、俺と一緒に居たいか?
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まず家に帰って1日目。
みことの提案でみんなで ある喫茶店に行くことになった。
おれはそう、すちと半分にするために 少し大きめのパンケーキを頼んだ。
らんとこさめはパフェ、 みことは可愛らしいケーキ。
いるまは見た目に似合わない カラフルなドーナツだった。
らん
みこと
いるま
こさめ
すち
いっただきまーす!
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何かとみんな、それらをペロリと 平らげ、机の上には、 先ほど頼んだコーヒーやカフェオレ などが並んでいた。
みんなはみんな各自で話をしていて 俺も気がつけばすちと話していた。
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すれば首を傾げて すちは答える。
すち
…だよね。
俺は薄々気がついていた。
こいつの記憶が完全に戻る その鍵を。
俺は多分
全てを思い出したこいつとー…
すち
すち
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…すちは思い出したことを 色々と話した。
昔、らんがすちの大切なものを壊した それでらんが連れて行ってくれた 飲食店のこと。
いるまと遊びに行った時、 一匹の猫、やにゃぎを拾った時のこと
みこととカフェに行ってなんでか 説教されて、 みことからダメなことを教えてもらったこと。
こさめが、昔あるいけないことをして なんでかわからないけどそこにいた すちが怒られる羽目になったこと。
みたいにたくさんだった。
夏祭り、それはまだ 思い出してないらしい。
すちの思い出していることは、 行動と共鳴していた。
8月15日、町で行われる夏祭り。
俺とこいつとの人生の、
あと少しの1ピース。
コメント
7件
あと1ピース!!次はどんな展開だろ??楽しみ!!!
続き楽しみです!