つづき
きっかけなんて特に無かった。
バイト先から帰宅する途中、
ショーウィンドウに映る自分の姿をぼんやりと眺めながら
この人格が、
僕が、僕で居られる最期の日である事を、本格的に悟ってしまった。
ショックではなかった。
いつか、この日が来る事は分かってたから。
それでも、残りの時間を考えると、
焦る気持ちを抑えることは出来なかった。
最期に、皆に会いたいと思った。
子麦粉
小さな後悔を胸に、ひたすら走る。
セブプラハウス近くの公園に着く頃には、息切れも酷く、
冬だと言うのに、額からは汗が溢れてくる。
見てくれも気にせず、電話ボックスへ入ると、
震える手で、彼のスマホの番号を押す
Ama.
焦りと不信感の混じったような彼の声。
子麦粉
Ama.
あまちゃんの声を聴いて安心してしまったのか、
これ以上、言葉が続かない。
Ama.
Ama.
Ama.
Ama.
コラボの誘いを受けて、遠出しているあまちゃんは、
僕が配信中に電話をかけたせいで、少しだけ声を荒らげて喋る。
それでも、声が聞けただけで嬉しかった。
子麦粉
我儘を言っても、許されるかな、
子麦粉
Ama.
Ama.
あまちゃんの驚いた声が聴こえる。
Ama.
Ama.
Ama.
Ama.
子麦粉
今日という日は、僕にとって最期の日でも、
Ama.
子麦粉
子麦粉
この子にとっては、何てことのない1日で、
Ama.
それが、少しだけ寂しかった。
子麦粉
子麦粉
子麦粉
最期に、この子に迷惑をかけたくないと思った。
子麦粉
子麦粉
あまちゃんの返答を聞くより先に通話を切る
家に帰ったら、荷物を整理してこの街を出て行こう。
皆との思い出も...全部処分してしまおう、
明日の自分が、皆の存在に気付かないように、
明日の自分に、
子麦粉
彼が恋をしないように。
子麦粉
あまちゃんに本当の事を言わなくてよかった。
言葉にしたら、もっと泣いてしまっていたから。
子麦粉
もう、二度と会うことの出来ない。
今まで過ごしたメンバーとの日々を思い返しながら、
いつまでも、受話器を握りしめていた。
コメント
2件
ごめんなさい、この時間帯に。今この作品一気見させていただいたのですが、涙が止まりません…
良いですね〜😁