テラーノベル
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橙
赫
唐突な質問だった。
彼女は少しだけ含んだ笑みで、黒板消しを持ったまま近づいてきた。
橙
小悪魔的に口角を上げ、訊いてくる。
赫
橙
赫
橙
保守的なんだねと言った言葉に、ガッカリされた気がしたので失敗したと俺は内心後悔した。
あの日の、あの瞬間の、あの教室には、檸檬のような柑橘系の甘酸っぱい香りが漂っていた。
今でもずっと好きな匂いだ。
2023年6月4日
外科病棟で、働き始めてから2年がたった今でもなんとなく落ち着かない。
その原因は鉄筋コンクリートの白い壁に熱を感じないからだ。
無機質で不変的な冷たい造形物は、何らかの意味を持ってそこに存在する。
ここで芽吹く命や逆に途切れる糸は、まるで生命リレーのようだ。
そのリレーは人間が抗う事ができない。 その事実は頭では深く理解している。
だけど...少しでもその終に抗うべく、頭ではなく心が先に動いてしまう。
「それが俺らしくていいんだ」と、勝手に俺自身は思っている。
村山
触診の手を止め、質問者の方に顔を見上げた。
赫
赫
パジャマ姿に白髪交じりの無精髭。 クシャッとした年季の入った笑顔がパッと明るく弾けた。
医者も患者も退院を告げる瞬間がお互いにとって1番ハッピーであることは間違いない。
笑顔に対抗するように俺なりの最大の笑顔で返した。
そのときふと目線を移した先に、村山さんが借りているテレビから流れる女性アナウンサーの映像と音声に意識が吸い込まれた。
アナウンサー
今年のストロベリームーンも6月4日....こんな偶然ってあるんだな........。
村山
赫
村山
村山
看護師
看護師長が釘を刺す。
赫
村山
赫
病室の出口で、
村山
自分が名医のように話す村山さんにクスッとしながら、俺は一礼して病室を後にした。
赫
橙
コメント
1件
おお、プロローグからもう引き込まれたわ。学生時代の橙との甘酸っぱい会話と、現在の医者・赫の日常が、同じ「ストロベリームーン」で交差する構成がすごくいい。檸檬の匂いとか、村山さんの「おねえちゃんは魂でぶつかれ」とか、細かい描写がキャラの温かさを伝えてくる。この後、過去と現在がどう絡むのかめっちゃ気になる🔥
#yaet jpna urrn