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新連載『speaking.』StaRt.
若井滉斗side.
先生.
定期的に行われる定期試験の結果を先生がひらひらと振った
みんなからブーブーと野次が飛ぶ
先生は「静かにしなさい、笑」と笑った
憂鬱
俺は勉強が好きではない
理系は当然のようにできないし
得意な文系も高校に入って苦手になってしまった
幼い頃の怪我がきっかけで運動もできない
先生.
wki.
試験の結果を恐る恐る覗く
結果は悲惨なものだった
ただでさえ苦手な理系が悲惨な点数な上に
得意な文系まで伸び悩んでいる
勉強はしたもののやっぱり試験の結果はよろしくない
でも今回まで悲惨な結果は見たことなかった
高校で何度目かの試験
早速心が折れてしまいそうである
一人でため息をついて長袖のシャツを触る
冷房で冷やされたシャツの表面が手のひらに沈む
隣の席をみると大森元貴がファイルに試験の結果を直していた
整えられた黒いさらさらの髪
陶器みたいに吹き出物の一つもない滑らかな白い肌
大理石みたいに磨かれた大きな瞳
彼の腕には醜い傷なんて一つもない
そして、いつもしている不織布の白マスク
omr.
wki.
omr.
屈託なく細められた瞳
彼とは一昨日の席替えで隣の席になった
学級委員をしていて、男女問わず人気がある
成績も良く、運動神経抜群で、俺みたいな陰キャにも優しい
でも彼はみんなとは少し違うところがあった
彼は絶対に
みんなの前で
マスクを外さなかった。
ーーー
ガヤガヤとした休み時間
俺には喋る人がいないので静かに一人で本を読む
特に好きなアーティストはいないから音楽は聞かない
本を読んでいるけれど好きな作家も特にいない
ただ本の雰囲気で読む本を選ぶ
隣の席はいつも大森の友達が騒がしい
omr.
omr.
omr.
隣はいつも楽しそうな会話でいっぱいだ
それをシャットダウンするように文庫本のページを捲る
ペラリと紙を捲る音が耳に響いた
ーーーーー
wkiママ
家に帰ってリビングに行くなりいきなりお母さんが言った
wki.
wkiママ
試験の結果が返ってくるのは三学年共通の日だ
お母さんが言う涼くんは藤澤涼架のこと
高校三年生で俺の二年先輩だ
小さい頃はお互いの家を行き来して遊んでいた
『若井』、『涼ちゃん』と親しげにお互いを呼び合って
でもそれは過去の話
涼ちゃんは俺とは違う次元に踏み入れた
涼ちゃんは今全国に注目されるフルート奏者である
全国フルート大会で優勝してから
涼ちゃんは前より一層注目されている
にこにこと人当たりがよく
決して愚痴も不満も言わない
みんなから好かれる人気者
俺とは大違いである
ファイルに入れた結果をお母さんに渡す
するとお母さんの眉が大きく吊り上がった
そして頬が熱くなって
左耳がキーンと耳鳴りを起こした
頭が揺れ、視界がぼやける
wkiママ
wki.
wkiママ
wkiママ
wki.
お母さんの声が頭に響く
嫌になってリビングを飛び出した
扉の向こうからお母さんのため息が聞こえて来る
俺は自分の部屋に飛び込んだ
服が散乱し、暗く、汚い部屋
試験前の日に勉強した教科書とノートが広がっている
鞄を放り投げて俺はベットに沈み込む
そして手探りでカッターを手に握る
シャツを捲って肌に刃先を滑らせる
ぱっくりと割れた傷口から赤い血が滴り落ちた
こんにちは
新連載です ♡と💬沢山ください
それではまた
コメント
5件
うわあああああ好き。好きすぎる。愛してますこういう物語。尊敬します本当に大好き。
若井さんメインか…!めっちゃ良い✨️ 病んじゃってるねぇ〜 どんな展開になるか、楽しみ🤭
めちゃタイプすぎるぅ