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剣持刀也

結局、あのショタコンは何者だったんだろう

キラキラしていた幼少期の思い出も時が経てば、風化していく

剣持刀也

ふふ、早く会いにこないと本当に忘れてしまいますよ?

伏見ガク

ん?誰に会いたいって?

剣持刀也

あー!ガクくん、何処行ってたんですか!探しましたよ

伏見ガク

悪かったって、テンション上がっちゃって!振り向いたら、とーやさん居なくて焦ったぜ

剣持刀也

自分より年上が異様に、はしゃいでるとスンッて冷静になっちゃうじゃないですか

伏見ガク

マジすんませんでした。

健全すぎる青空の下で高校生に土下座する成人男性

居た堪れない

剣持刀也

いやいや、土下座までしなくても

伏見ガク

でも、とーやさんもワクワクしただろ?綺麗すぎて非現実的って感じ!

剣持刀也

それは、確かにそうですね

伏見ガク

だよな!?

大きく弧を描くガクくんの口元を見ていたら怒るのなんて馬鹿らしくなってきた

剣持刀也

ガクくん

伏見ガク

うん?

剣持刀也

連れてきてくれて、ありがとうございます

伏見ガク

っ…!

剣持刀也

言ってなかったけど僕、向日葵が一番好きなんですよ

伏見ガク

…ああ、知ってるぜ

剣持刀也

あれ?言った事ありましたっけ?

伏見ガク

自分で言ってたと思うけど?

剣持刀也

そう、でしたか

本当は、凄く楽しみにしてました

いつもいつも素直に言えなくて、すみません

ガクくんも、あの人も

底なしに優しいから、ついつい甘えてしまう

伏見ガク

とーやさん

剣持刀也

はい?

呼ばれて何気なく見遣ると意を決したような瞳とぶつかった

伏見ガク

あのさ…俺と、今から約束してほしい事があるんだ

剣持刀也

…約束ですか?

伏見ガク

これから俺が言う言葉に正直に答えてほしい

伏見ガク

あ、気を遣うのはナシだぜ?

剣持刀也

…わかりました

ガクくんの後ろで向日葵が揺れる

暑い夏の日差しと

あの日にした約束

あの人とガクくんが重なった気がした

伏見ガク

俺は、刀也さんが好きだ。

剣持刀也

っ…!

伏見ガク

…ずっと前から

剣持刀也

……?

既視感のある

やりとり

伏見ガク

どうしても、ここで伝えたかったんだ

剣持刀也

あ…

普段、あれだけ言葉が出てくるくせに肝心な時には上手く紡げない

何か言わなくちゃ

答えなんて出てるだろ

剣持刀也

僕は…

剣持刀也

えっと

伏見ガク

あー、はは…ごめんな困らせて

剣持刀也

ち、ちが…

伏見ガク

急だもんな?やっぱ、答え焦らなくてもいいからさ!

伏見ガク

その…ただ伝えたかったんすよ

滅多に照れないガクくんが頬を染めて気まずそうに目を泳がせる

微かに手も震えていた

おい、コラ剣持刀也

この人に甘えてばかりじゃ駄目だろ

進むのを怖がってる場合じゃない

剣持刀也

ガクくん

伏見ガク

っ…

よほど緊張していたのか名前を呼んだだけでビクッと反応するガクくん

可哀想なくらい怯えた様子に僕も深呼吸して覚悟を決める

剣持刀也

答える前に、一つ確かめたい事があります

伏見ガク

へ?

剣持刀也

ちょっと動かないで下さいね

伏見ガク

は、はい

困惑したまま律儀に固まるガクくんに、ちょっと可愛いとか思ってしまう

僕は、ズンズンとガクくんとの距離をつめ

伏見ガク

!?

真正面から彼に抱き着いた

伏見ガク

と、とーやさん!?

瞬間ふわりと香る

陽だまりの匂い

ああ

やっぱり、そうなんですね

泣きたくなるほど懐かしい

剣持刀也

僕も好きです

言ってしまえば、あっさりとしたもんで

つっかえていた言葉がスルリと出てくる

胸の中に仕舞っていた重たい荷物が一気になくなった感じ

伏見ガク

……。

剣持刀也

…?

伏見ガク

……。

剣持刀也

……。

剣持刀也、一世一代の告白をしたというのにリアクションがないとは

我慢出来ず、ちらりと上目で覗くと

剣持刀也

え!?

無言で号泣している伏見ガクがいた

剣持刀也

落ち着きました?

自販機で買った、お茶を差し出しながらベンチで項垂れているガクくんの隣に座る

伏見ガク

申し訳ない…

涙の止まらないガクくんを連れて、あちこち休める場所を探すのは苦労した

傍から見て年上を、いじめる奴みたいに見えてなかっただろうか

剣持刀也

ふふ、そんなに嬉しかったですか?

伏見ガク

…嬉しかった

雰囲気を軽くしようと冗談っぽく言ったつもりが

剣持刀也

そ、そっか

あ"ああああああ

小っ恥ずかしい!

柄じゃない!

大事な話なのは、わかってる

わかってるけど

伏見ガク

あ…恥ずかしいよな、とーやさんも

剣持刀也

言うな…

伏見ガク

あのさ、本当に良かったんすか?

剣持刀也

なんです?今更

伏見ガク

いや

剣持刀也

気を遣うなと言ったのは、あなたです。まぁ言われなくても遣いませんが

伏見ガク

はは、剣持刀也だもんなぁ

剣持刀也

そんなに不安なら…んーと

剣持刀也

…今後言わないかもしれないので、よーく聞いて胸に刻んで下さい

伏見ガク

ん?

剣持刀也

い、いきますよ?

伏見ガク

…?

剣持刀也

僕は、あなたが…その…だ、大好きです…ずっと側にいてください。

伏見ガク

!!

剣持刀也

くっ…剣持刀也の告白ボイスなんてプレミア物ですよ!?良かったですね!

剣持刀也

これで満足ですか!?

真っ赤な顔で威張り散らかしても威厳は、なかろう

くそぉ…穴があったら入りたい

伏見ガク

〜〜〜っ!とーやさん!!

剣持刀也

うわっ!

僕は勢いよく飛びつかれて仰け反るが、さすがガクくん

グッと腰に回された腕によって倒れる事は、無かった

剣持刀也

もう、危ないなぁ

伏見ガク

俺が、とーやさんを落とす訳ないんだねぇ

心底嬉しそうな声

つられて僕も笑顔になる

行き場のない自身の手を一通り悩んだ末、そっと彼の背中に回した

剣持刀也

昔の約束守ってくれてたんですね

伏見ガク

えーと…なんの事?

剣持刀也

ふふ、なんでもありません

きっと

僕が知らない事情は多い

それでも

出会ってしまえば

貴方だって、もうわかる

伏見ガク

変な、とーやさんだなぁ

休日を存分に満喫した僕等は、ぼちぼち帰り支度を始めた

剣持刀也

楽しかったですね

伏見ガク

そうっすね!!

ガクくん、浮かれてるなぁ

まぁ気持ちは、わかる

僕も似たようなもんだし

この場に鏡があれば盛大に顔が緩んでいることだろう

伏見ガク

〜♪

でも、こういう時ってちょっとからかいたくなるよね

剣持刀也

そういえば僕、小さい頃に神社で迷子になった事があるんです

伏見ガク

へ、へぇ〜?

剣持刀也

その時、助けてくれたお兄さんと仲良くなったんですけど

伏見ガク

うんうん

剣持刀也

やたら優しくしてくれるんで

伏見ガク

うん

剣持刀也

ずっとショタコンだと思ってました

伏見ガク

そんな訳あるかー!!

伏見ガク

伏見ガク

いや

剣持刀也

なんでガクくんが怒るんですー?

伏見ガク

え、いや…そ、そのお兄さんの立場になって答えたまでっすよ!冤罪だー!って

剣持刀也

お兄さんの気持ちが、わかるんですか?

伏見ガク

そりゃ、そのお兄さんが常識人なら思ってるはずっすよ!

剣持刀也

ふーん?

ジト目の僕に見つめられ滝の汗を流すガクくん

あんまり詰め寄るのも可哀想か

剣持刀也

そうだ

剣持刀也

僕、そのお兄さんに言いたかった事があるんです
代わりに聞いてくれます?

伏見ガク

伏見ガク

まぁ…俺でいいなら

剣持刀也

ありがとうございます

駐車場までの道を並んで歩く

辺りは、すっかり夕方

僕は、ゆっくりと昔の気持ちを話し始めた

剣持刀也

『一人で泣いてた僕を助けてくれて、ありがとうございました』

剣持刀也

『友達になってくれて、ありがとうございました』

剣持刀也

『優しくしてくれて、ありがとうございました』

剣持刀也

『たくさん遊んでくれて嬉しかったです』

剣持刀也

『あ、でも人のラムネ勝手に飲んだりとかは許してません』

伏見ガク

!?

剣持刀也

それと

剣持刀也

会いにきてくれてありがとうございました

剣持刀也

すぐに会えなかったのは寂しかったですけど

剣持刀也

もう一人には、しません

伏見ガク

っ…

剣持刀也

ガクくん

剣持刀也

お兄さんなら、なんて答えてくれるでしょうか?

ガクくんの金色の瞳が大きく揺れ

泣き笑いみたいな表情になる

伏見ガク

俺も会いたかった

伏見ガク

ずっと探して

伏見ガク

やっと見つけた

伏見ガク

もう…一人は飽きたぜ

消え入りそうな声が、たまらなくって

隣にある手を急いで握った

相変わらず、ひんやりとした手だった

剣持刀也

僕らは、何処にいようと必ず会える

剣持刀也

大丈夫、ずっと一緒です

伏見ガク

…とーやさん

剣持刀也

そうでしょう?

伏見ガク

そうだな

剣持刀也

飽きるまで側に居てやりますよ

僕にとってあなたは

伏見ガク

それは頼もしいっすね

向日葵のような

沈まぬ太陽

強く光っている限り

僕は何度だって

見つけ出してみせる

END

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1,169

コメント

20

ユーザー

全私が泣いた 神作品

ユーザー

すごいいい話だ… どれだけ時間がかかってもいいから漫画にしたい…

ユーザー

好きでしかない() いやもうこれだから紫翠さんの書く咎人はたまんねえええ

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