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第1話 - あ

2023年03月10日

#恋愛

結城真矢

タカ

おはよう、アカネ

タカ

もう引っ越しは落ち着いたかな？

タカ

大学生活、楽しみだね

タカ

たしか文学部だったよね？

タカ

もう教科書は揃った？

タカ

あ、ひとり暮らしなんだから防犯は気を付けるんだよ

タカ

男物の洗濯物とか吊るすと良いみたいだよ

タカ

初めてのひとり暮らしはどんな気分？

タカ

少し開放的になっちゃうかな

アカネ

え、誰でしたっけ…

アカネ

連絡先交換してました？

アカネ

もしそうだったらすみません

タカ

えーひどいなｗ

タカ

僕だよ僕

タカ

タカだよ

アカネ

タカ…さん？

アカネ

どなたですか？

タカ

そうか…そうだよね

タカ

上京とかあってバタバタだったもんね

タカ

色々混乱しちゃってるのも無理ないな

タカ

ほら高校で一緒だったタカだよ

タカ

これで思い出せない？

アカネ

えっとあの…知りませんけど

タカ

え～

タカ

確かに3年間クラスは別だったけど

タカ

ちょっとガッカリだな

タカ

恋人の名前まで忘れちゃうんだ

アカネ

恋人？

アカネ

誰の恋人ですか？

タカ

え？

タカ

それはもちろん君だよ

タカ

アカネ

いやちょっと意味が…

タカ

僕たちは付き合ってるんでしょ？

タカ

だって高校の時、しょっちゅう目が合ってたし

タカ

廊下でスマホ落としたときも拾ってくれたじゃないか

タカ

ああこの子は僕のこと好きなんだな～って

タカ

でも僕に黙って上京するなんて話が出てたから

タカ

もう焦っちゃったよ

アカネ

いや、それはただの偶然じゃ…

タカ

偶然なんかじゃない、運命だったんだよ

タカ

ほら、こうして連絡が取れていることも運命だよね

アカネ

…そういえば、どうして連絡先を知ってるんですか

タカ

僕の友達に偶然連絡先を知ってる人がいてね

タカ

実は高校一年生の時から連絡先は知っていたんだよ

タカ

まさに運命だと思ったね

タカ

そのときは緊張して会話もせずに電話を切ったり

タカ

変なメール送っちゃったこともあったんだ

アカネ

あの無言電話と迷惑メール、あなただったんだ

タカ

そうだよね、迷惑だったよね

タカ

これからはちゃんとこうやって連絡取るよ

タカ

僕たちはもう交際してるんだからね

タカ

あ、そういえば僕もそろそろ引っ越しが終わるよ

タカ

そしたらちゃんと会えるね

アカネ

え、引っ越しって…

アカネ

上京するの…？

タカ

うん、そうだよ

タカ

アカネが上京するっていうから

タカ

地元の大学受かってたけど蹴ったよ

タカ

同じ東京で、偏差値は下がっちゃうけど私立の大学に行くことにしたんだ

アカネ

うそでしょ…

タカ

本当だよ！

タカ

良かったー、そんなに喜んでくれるなんて

タカ

わざわざ国立大学蹴った甲斐があったよ！

タカ

これからもずっと一緒にいられるんだね

タカ

アカネ、アカネ！！

タカ

何度言っても言い足りないよ！興奮してきた！！

タカ

やっと2人の夢が叶うんだね

タカ

一緒になろう

アカネ

えっと

アカネ

私も大学入ったばかりで物凄く忙しいの

タカ

うんそうだよね、忙しそうにしてたよね

アカネ

まさか、どこかで見てたの？

タカ

そりゃ自分の彼女がちゃんと大学に馴染めてるか確認しなくちゃ

タカ

彼氏の務めだよ、当たり前じゃないか

タカ

実は驚くかと思って、君の真後ろに立ってたこともあるんだよ

タカ

気付かなくて天然なアカネも可愛らしかったな～

アカネ

あの、しばらくは忙しいから連絡取りたくないんだけど

アカネ

わかってくれるよね…？

タカ

どうして？

タカ

連絡くらいはしても良いじゃないか

タカ

僕は忙しくないから、大学まで付き添うよ

タカ

それで良いだろう？

アカネ

本当にやめて

アカネ

…いい加減にしてよ

アカネ

あなたには関係ないから

アカネ

もう連絡してこないで

タカ

ご機嫌ナナメだね

タカ

今日のところはひとまず連絡は控えるよ

タカ

それじゃあ、またね

～1週間後～

タカ

おはよう、アカネ

タカ

って今はお昼だけどね

タカ

今頃は入学式の真っ最中かな？

タカ

ふふ

タカ

お化粧も決まって今日も可愛かった

タカ

連絡できるようになったら教えてね

アカネ

この前、連絡取りたくないって伝えたはずだけど

タカ

まだ機嫌直ってないんだね

タカ

女の子の日なのかな？

タカ

まあそこも可愛らしいんだけどさ

アカネ

デリカシーもないんだね

タカ

そんなことより都会のひとり暮らしにしては部屋が広いんだね

タカ

あ、机の上散らかしてる、ダメじゃないかぁ

タカ

お化粧道具も置きっぱなし、減点！ｗ

アカネ

え、なに、どういうこと？

タカ

あ！ちゃんと男物の洋服干してるんだ

タカ

玄関にもちゃんと男物の靴も置いてたもんね

タカ

関心関心、言い付け守れて偉いね～

タカ

へぇー、いまのアカネはこんな服着てるんだ、趣味変わった？ｗ

アカネ

いまどこ！？

アカネ

ねえ答えてよ！！

タカ

ほら脱衣所もこんなに脱ぎ散らかして～

タカ

ちゃんとカゴに入れておくね

タカ

それにしても男物多くない？

タカ

そうか、毎日同じ服干してたらフェイクだってバレちゃうもんね

タカ

そういう意識が高くて嬉しいな

アカネ

まさか、私の家に侵入してるの！？

アカネ

ねえ！！

タカ

誰もアカネの家に入ってるだなんて言ってないけど～？ｗ

タカ

それっぽいこと言ってるだけかもしれないでしょ？

アカネ

なんでこんなことするの？

アカネ

信じられないんだけど

タカ

だってここ1週間、まったく連絡取ってくれなかったし

タカ

ちょっとは構ってほしいんだよ

タカ

俺達恋人同士なのにそれらしいこと全然できてないから

タカ

それはわかってくれるだろ？

アカネ

そもそも私達恋人同士じゃないよ！

タカ

照れ隠しにしたっていまのはひどいなぁ

タカ

少し傷ついちゃったよ

タカ

お詫びに下着1つもらっていくからね～

アカネ

気持ち悪い…

アカネ

いい加減に警察に連絡するからね

タカ

何か証拠でもあるの？

タカ

適当に言っただけだって言ってるのにｗ

タカ

どうやって証明するのかな？

アカネ

本当にやめて！

タカ

だから冗談だって～

タカ

ほら、ちゃんと入学式参加しなきゃ、怒られちゃうよ？

タカ

ごゆっくりねｗ

～入学式後～

アカネ

ヒロ、いま暇？

ヒロ

アカネ？もう入学式終わった？

アカネ

うんそれは大丈夫なんだけどさ

アカネ

ちょっと相談乗ってほしくて

ヒロ

おお珍しいな、家帰ってからじゃなくていまのほうがいい？

アカネ

うん、できるだけ早いほうが良いんだ

アカネ

最近、私の高校の同級生のタカって人から連絡があって

アカネ

完全に恋人気取りで連絡してきて怖いんだよね

ヒロ

それはなんだか嫌だな

ヒロ

ストーカーってやつ？

アカネ

そうみたいなの！

アカネ

もう不気味で…

アカネ

私が上京したことも知ってたし

アカネ

大学とか学部とかも入学式の日程まで知ってて…

アカネ

そのタカって人も、わざわざ地元の大学蹴って一緒に上京してきたって言ってた

ヒロ

それって結構危ないよな

アカネ

あとで見せるけど、家に入ったようなことまで言ってて

アカネ

もう今日帰れないよ…

ヒロ

許せないな…警察には連絡した？

アカネ

いや、まだだよ

アカネ

入った証拠ないんてないって言い張ってて

ヒロ

わかった…いったん今日は俺が一緒に帰る

ヒロ

そろそろ講義も終わるから、待てるか？

アカネ

ありがとう、本当頼りになる

ヒロ

彼氏なんだからこんなの当たり前だろ

ヒロ

ひとまず人通りのあるところで待っててくれ

アカネ

わかった

アカネ

今後、どうしたら良いんだろう…

アカネ

本当に怖い…

ヒロ

何か対策をしないとな

ヒロ

俺に良い案があるんだ、それもあとで話すよ

ヒロ

こんな目に遭わせるなんて、絶対に許せない

～数日後～

タカ

アカネ、今日も大学だよね

タカ

僕知ってるんだよ

タカ

新入生のオリエンテーションがあるってさ

タカ

なんとなく察しついてる？ｗ

タカ

カギ開いちゃった！なんのカギだろうね？ｗ

タカ

お、今日も男物の靴ちゃんと出してて偉いねぇ

タカ

今度会ったらいい子いい子してあげないと

タカ

さーて、今日はどんなパジャマと下着を着たのかな～？ｗ

タカ

あ！エアコン付けっぱなしだよ、また減点！ｗ

タカ

代わりに消してあげるね

タカ

おい

タカ

おいどういうことだよ

タカ

なんで家に知らない男がいるんだよ！！

タカ

そいつにトンカチで殴られたからトイレに避難した

アカネ

だから何度も言ってるでしょ

アカネ

あなたは私の恋人でもなんでもないの

タカ

はあ！？ふざけたこと言ってんなよ！

タカ

浮気か！？

アカネ

だってそのトンカチで殴った人

アカネ

私の彼氏だから

タカ

へ？

アカネ

私の家にいた人が彼氏なの

アカネ

ちなみに高校のときからの彼氏だからね

アカネ

友達の紹介で出会った人で

アカネ

今まで遠距離恋愛だったから知らなかったみたいだけど

アカネ

そういうことだから

タカ

裏切ったな……

タカ

人の心をもてあそんで楽しかったか！？

タカ

なんでだよ、学校であんなに目が合っただろ

タカ

それにスマホ拾ってくれたときも微笑んでくれただろ！

タカ

それがどうしてこうなるんだよ！！

アカネ

本当に気持ち悪いよ

アカネ

そんな事実一切ないから

タカ

ってか殴られたし暴行罪だよなこれ

タカ

クッソ痛いわほんとに

タカ

これ下手したら骨折れてるよ、どうしてくれんのこれ？ねえ？

タカ

ふざけやがって

タカ

警察呼んでやるからな！！

タカ

これでお前の彼氏も終わりだよｗ

タカ

そのあとお前にも復讐してやるからな

タカ

楽しみに待っておけよｗｗ

アカネ

警察ならもう呼んでますけど

タカ

へ？

タカ

な、なんで？

アカネ

それはそうでしょ

アカネ

他人の家の合鍵を勝手に作って侵入してるんだから

タカ

そんな…

タカ

で、でも警察に僕が彼氏だって言えば…

アカネ

いま彼氏と同居してるんだよ

アカネ

不動産会社の人にも伝えてるから、今回の件は一方的にあなたが悪い

アカネ

彼氏が住んでいる家に不法侵入したことになるよね

タカ

じゃあ家にあった男物の靴とか服…

アカネ

全部彼氏のものだから、あなたの助言を受け入れたわけじゃない

タカ

くそ…くそ…ふざけんなよ

アカネ

逃げようとしても無駄だよ

アカネ

もう家の前に警察の人待機してるからね

タカ

は？なんで、5分も経ってないだろ！

アカネ

今日は大学の新入生オリエンテーションの日

アカネ

どうせあなたがそれも見越して侵入してくるって、彼氏の提案でね

タカ

そ、そんなバカな…

アカネ

私と警察の人とで管理人室で防犯カメラも見てたから証拠もバッチリ

アカネ

もう逃げられないよ

タカ

ね、ねえこんなこともうやめよう

タカ

僕が悪かったから

タカ

一度は愛し合った仲じゃないか！

アカネ

愛し合ったことなんて一度もない！勘違いしないで

アカネ

いい加減に変な妄想せずに現実見てよ

アカネ

あなたがやってることってストーカーっていうんだよ！

タカ

ストーカー…？僕が？

タカ

そんなわけ、ないよ

タカ

君への愛をそんな言葉で汚さないで…

アカネ

そんな愛いりません！！

アカネ

ちなみにあなたのご家族にも連絡済みだよ

アカネ

今こっちに向かってきてもらってる

タカ

え！？

アカネ

電話で泣きながら言ってたよ

アカネ

どうしてもやりたいことがあるから上京を許したのに

アカネ

そんな目的のためならすぐに連れ戻しますって

タカ

じゃ、じゃあ僕の東京生活は…

タカ

大学は…

アカネ

退学させるって言ってました

タカ

そんな…

タカ

どうしてこんなことに…

アカネ

しつこく女の子を追い回すとこんなことになるんだよ

アカネ

警察に連れてってもらって、しっかり反省しなさい

〜後日談〜

アカネ

その後、警察に連行されたタカは長い間拘留されたあと実刑にはならなかったみたい

アカネ

それでも大学は退学して地元で細々とバイトをして過ごしてる

アカネ

当然だけど、あんな事件があったからご家族やご近所からは常に監視されてて

アカネ

まったく自由のない生活を送ってるらしい

アカネ

ヒロもトンカチで殴ってしまったけど、タカに先に殴られてたことで罪には問われなかった

アカネ

一方で私はといえば、ヒロとのふたり暮らしを続けてる

アカネ

両親は心配してたけど、私自身は意外とメンタルはたくましいみたいで全然平気だった！

アカネ

今では憧れのキャンパスライフをヒロと一緒に楽しんでます！

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結城真矢

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